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スライムロード

しばらく進んでいると、さっきまで俺たちの後をつけていた気配が茂みの中に逸れて行った。


「あ、上手くいったみたいね」


アイリスも確認したようで苦笑いしながら呟く。


「憎いはずなんですが……なんだか気の毒になってきました」


「追いかけてるのはホーンラビットですからね」


リーゼとカノンも同じような顔で言う。


『しかし、人の通った後が残らないのであまり長くは騙せないと思いますよ?』


『だろうな、あれは半分は嫌がらせだし』


ソルの指摘に内心で不敵な笑みを浮かべながら返す。


「そういえば、さっきの感じで刻印自体も消せばいいんじゃないの?」


『いや、あの魔力は刻印とは独立していたから出来ただけだ。刻印に干渉するには相当時間がかかるし、カノンの魔力制御でもどうなるか分からないからな』


不発だけならいいが、万が一リーゼにダメージが入ってしまっては元も子もない。


さっきの魔力の移し替えはそのリスクはないと判断して実行しただけだ。


「そっか……あれ?そういえば私のスキル使えるようになったの?」


あぁ、まだ説明してなかったな。


『さっきスキルシェアのレベルが上がってな。俺とカノンで相互にスキルを使えるようになったんだ』


「だから私の魔力制御が使えたんだ」


カノンが納得したように言う。


「じゃあしばらくは邪魔者も入らないし、さっさとスライムロードもやっちゃいましょ」


アイリスがそういうと、カノンとリーゼは頷いた。










































「ここ……ですか?」


カノンの見つめる先には、巨大なクレーターがあった。


盆地と聞いていたが、クレーターの事だったのか。


直径は3キロくらいに見える。


そしてクレーターの中には森が広がっており、中心にいくにつれて木が少なくなっている。


そして中心部には木のない開けた場所があり、あそこにスライムロードがいるのだろう。


「ここがスライムロードの生息地ね。でも基本的にはスライムの住処になってるわ」


『そのせいでたまにではありますがスライムロードの目撃報告もありますね』


二人の情報のおかげで何となくわかった。


要するに元々スライムの住処になっている場所で、そこにスライムロードが住み着いたということだ。


「ここからはスライムとはいえ魔物が増えるから気を付けてね」


そう言ってアイリスは進んでいく。


カノンとリーゼもその後に続いた。






『おぉ、本当にスライムばっかりだな』


絶え間のないスライムの襲撃に思わず声が漏れる。


その間にも触手を伸ばしてスライムを叩き潰していく。


「でも、本当にスライムしかいませんね」


リーゼはカノンから剣を借りてスライムを切っていく。


カノンは魔法剣から斬撃を飛ばしまくっている。


そしてアイリスは……。


「エクスプロージョン!」


ドオォォン!


かなりの範囲のスライムを森ごと消し飛ばしていた。


確かエクスプロージョンはカノンもまだ使えない。


火属性のレベルをもっと上げないといけないはずだ。


そんな魔法でスライムを消し飛ばしても何の影響もないほどの魔力量ということだ。


流石は神獣と言った所か。


「ハク!正面に範囲攻撃お願い!」


カノンの気配察知がスライムが密集している場所を見つけたようだ。


『おう!』


俺は触手をカノンの指示した方向に向け、ファイヤーウォールとトルネードカッターを放つ。


カノンの正面に炎の竜巻が生まれ、スライムを森ごと焼き払った。


あれ?


実際やってみて思ったけど、俺もアイリスたちと似たようなことやってる?


炎の竜巻が収まると、目の前にはクレーターの中心部までの道が出来ていた。


『中々の火力ですね』


ソルの感心したような声が聞こえた。


同じ立場の者にそういわれるのは少しうれしい。


「でもこれで道が出来たわね。カノンちゃん達は先に行きなさい、私は少しだけ片付けしていくから」


「「はい」」


アイリスの指示にカノンたちは同時に頷いて俺の魔法で出来た道を走る。


そしてその道を向けた先には、小さな人型の魔物がいた。


「これが……スライムロード?」


見た目は大きめの人形にも見える。


三頭身くらいで周りにはスライムが待機している。


大きさはカノンの腰辺りまでしかないが、その手には指揮棒のようなものが握られている。


----------

種族・スライムロード

HP・532 MP・935

スキル

感覚系

威圧Lv1

魔法系

魔力操作Lv4

状態・耐性系

精神耐性Lv2

技能系

契約術Lv6・統率Lv2

特殊系

召喚術Lv2


----------


『こいつで間違いなさそうだな』


しかも目的の契約術に加えて召喚術も持っている。


「じゃあやっちゃって!」


『よし!ファイヤーランス!』


カノンに言われて様子見で魔法を放つ。


「……」


しかしスライムロードが手を上げるとスライムがファイヤーランスの射線上に割り込んで盾になった。


『なるほど、スライムが居れば壁には困らないってか…』


面倒な相手だ。


こういった眷属を従える敵を相手にする場合は、大きく分けて二つの攻略法がある。


眷属を全て倒して無力化する方法と、眷属を無視して直接叩く方法だ。


今回のスライムロードは召喚術を持っているのでスライムをいくら倒しても魔力の続く限り召喚されてしまうだろう。


まあその場合でも魔力量なら圧勝しているのでごり押しできそうな気もするが……。


「先にスライム倒す?」


「でも倒してもすぐに召喚されてしまうのでは?」


カノンとリーゼもどうするべきか相談している。


『とりあえずまとめて焼き払うってのはどうだ?』


「あ、相変わらず作戦も何もないごり押しだね……」


俺の提案にカノンが呆れたように言う。


いや、自分でもそう思うけども……。


とりあえずやってみるか……。


『ファイヤーウォール!トルネードカッター!』


さっきと全く同じ魔法の組み合わせだ。


しかしこの組み合わせの効力は折り紙付き。


流石に全滅させることが出来るだろう。


炎の竜巻がスライムロードを覆い隠す。


スライムロードは迫りくる炎を見て何かをしようとしているようだ。


両手を上にあげて足元に魔法陣を展開している。


そして炎の竜巻が完全にスライムロードを包み込んだ。








『お?』


炎が収まりスライムロードの状態を確認して、俺は思わず声を上げた。


スライムロードはほぼ無傷で立っていたからだ。


「無傷?」


「みたいですね」


その光景にカノンとリーゼは警戒を強める。


しかし俺はスライムロードにもう後がないことを知っている。


恐らく先ほどの魔法陣はスライムを召喚するための物だったのだろう。


スライムが炎に焼かれている隙に新しく壁となるスライムを召喚し続け、炎の竜巻を耐えたといった所だろう。


しかし鑑定で見てみると、魔力の殆どを使い果たしてしまったことが分かるし、そもそも変な動きを見た時点で次の策は用意していた。


ズボ


「…!?」


突然スライムロードの足元の土が無くなり、スライムロードは何の抵抗もできないまま穴に落ちていく。


毎度おなじみの落とし穴だ。


カノンの足元から触手を伸ばし、スライムロードの足元の土を収納。


深さ3メートルほどの穴を掘っておいたのだ。


『ファイヤーランス』


そして穴の中に出していた触手から魔法を放ち、スライムロードを完全に燃やした。


「「え?」」


その光景をみて唖然とするカノン達。


リーゼはともかくカノンには慣れた光景だと思ったんだが……。


ともかくスキルを確認してみると、しっかりと召喚術と契約術を手に入れていた。


これでここでの目的は達成だ。





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