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ムードラの町

その後も何度か休憩をはさみながら走り続け、翌日の夕方には目的地の町が見えてきた。


あれ?確か徒歩で10日ほどかかるって聞いたんだけど……。


いや、走る速度が車並みだったし、休憩時間もそこまでは長くなかった。


そこまでおかしな話ではないなか。


「見えてきたわね。あそこがムードラ、目的地よ」


アイリスがそういいながらスピードを落とす。


カノンもそれに倣ってスピードを落としていく。


「はぁ…はぁ…やっとついた……」


カノンは肩で息をしているが、アイリスは平然としている。


流石としか言いようがない。


『お疲れ様』


「…うん…流石に疲れた」


普通疲れたでは済まないと思うのだが……。


俺の魔力もあまり残っていない。


マナポーションこそ使わなかったが、それでも最後の方では魔力の回復がギリギリだった。


もしもう少し距離があれば魔力切れになっていただろう。


『アイリス、カノンさんが辛そうですし、今日は宿を取って休みましょう。』


「そうね、じゃあ町に入りましょ。カノンちゃん、もう少しだけ頑張ってね」


「は…はい」


二人はそんな会話を交わしながら町の門に向かった。





















門に近づくと、荷馬車が行列を作っていた。


その荷馬車の間に、思い出したかのように旅人らしき人影が見える。


これらはすべて入場審査待ちの列なのだろう。


ん?つまりこれに並ぶのか?


「あ、カノンちゃん。私たちはこっちよ」


アイリスがカノンの手を引いて門に向かっていく。


ソルが何も言わないので大丈夫なのだろうが、列の横を通っていくときの並んでいる人からの視線がつらい。


カノンも同じだったようで、門に着くまでうつむいたままだった。


門の前まで来ると、近くにいた小柄な門番が走り寄ってきた。


「アイリス様!お待ちしておりました!」


そう言って一礼する門番。


その声を聴いて少し驚いた。


最初は成人したての新人なのかと思ったのだが、女性のようだ。


「も~、様付けはやめてよ。幼馴染でしょ?」


笑いながらいうアイリス。


「いえ!仕事中に私情を挟むわけには……あれ?アイリス?この子は?」


さっそく敬語が崩れたぞ!?


「この子はカノンちゃん。レセアールの冒険者よ」


そういいながらカノンを前に押し出す。


「え、えっと、カノンです。よろしくお願します」


「カノンちゃんね。私はテル。この町で衛兵をやってるの」


門番改めテルはそう言ってアイリスの方を見る。


「こっちのAランク冒険者様の幼馴染ね」


なるほど、だからアイリスが来た時に走ってきたのか。


「でも珍しいわね、アイリスが誰かと一緒に来るなんて」


「だってしょうがないじゃない。他の人と組んでも楽しくないんだから」


そういう問題でいいのだろうか?


そしてカノンといるのは楽しいのだろうか?


まあ同じクラスの冒険者と組むという経験のないカノンにとってはありがたい話ではあるのだが。


「あ、忘れるところだった。カノンちゃん、冒険者カードを出してくれる?入場手続するから」


「あ、はい」


カノンが冒険者カードを取り出してテルに渡す。


それを見てテルは目を丸くした後、アイリスに向かって怪しく微笑む。


「そういうことか~」


それを聞いてそっぽを向くアイリス。


「はい、Dランクのカノンちゃん……と、はい、ありがとう」


そう言ってカードを返したテルは脇によった。


「じゃあ依頼頑張ってね」


「は、はい」


優しく微笑みかけられてカノンは戸惑いながら答える。


「じゃあ行きましょ。テル、いつもの所で宿取るからね」


そう言ってカノンの手を引いて歩いていくアイリス。


何でかいつの間にかカノンと手を繋ぐことになっているが、カノンも嫌がっていないしいいか。






















その後カノンとアイリスはアイリスの先導により宿に到着して、二部屋に分かれて宿を取った。


その後二人は一階にある食堂に来た。


そして二人が席について少しした頃、テルもやってきた。


「お待たせ~」


そういいながら空いている席に座るテル。


「早かったわね。仕事はいいの?」


「いいのいいの、どうせ引き継ぎの最中だったしね」


そういいながら店員を呼びそのまま注文をするテル。


因みにカノンはアイリスのおすすめの品を勝手に注文された。


「で、カノンちゃんだったよね?アイリスがごめんね~、この子勢いだけで突き進んじゃうから大変だったでしょ~」


テルがそういい、アイリスが頬を膨らませる。


自覚はないのか?


「いえ、まだ大丈夫です」


「まだ!?」


カノンの言葉に驚くアイリス。


しかしカノンもかなり毒舌だ。


いや……本心かもしれんな……。


この数日でかなり振り回されたからな……。


『アイリスはいい加減に自覚するべきだと思いますよ?自分がいかに周りを振り回しているのかを』


『まぁ……大変だったのは事実か……』


体力的にではなく、主に精神的にだが……。


「ソルにハクまで……」


アイリスはそのまま崩れ落ちる。


「で、今回は何か手伝うの?」


テルはため息を吐いた後でアイリスに聞いた。


「……あぁ、忘れてたわ……」


なんだかやけにローテンションだが気にしない方向で行こう。


「これをお願い。明日の朝までね?」


そう言って一枚のメモを渡すアイリス。


テルはそれを見て顔を引きつらせる。


「ちょ、これって……」


「お願いね?ここの支払いは私が持つから」


「……はぁ、分かったわよ。じゃあもっと頼んでもいいわよね?すみませーん!追加注文お願いしまーす!」


そう言って店員を呼んで高そうなメニューを大量に注文していくテル。


まぁ支払いはアイリスらしいが、面倒な仕事を依頼するようだししょうがないか。


「そ、そんなに頼まれると私のお財布が……」


本人は何やら苦笑いしているが、まあAランク冒険者として稼いでいるだろうし大丈夫だろう。


こういった女子だけでの集まりというのもカノンにとってのいい経験だろうしな。


それに明日からはBランク依頼が待っている。


明日からは嫌でも大変だろうし、今日くらいはこういうのもいいだろう。






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