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白虎の封印者

ギルドの中に入ってみると、ロンが女性に詰め寄られていた。


何故かロンがホールまで出てきているが、屋根の上を飛び回る人影の報告を受けて、それが例の封印者(シーラー)だと推測したのだとしたら、そんなに不思議でもないか。


「で、どこなのよ!新しい子は!」


「ちょ、ちょっと落ち着いてよ、そもそも君はまだ向こうでの処理が終わってないだろ?」


「そんなものギルマスがやっておけばいいでしょ!で、どこにいるのよ!」


ロンが何を言っても優先順位を変える気はないらしい。


「なんか逃げた方がいい気がする」


『奇遇だな、俺もだ』


俺とカノンが逃げるかどうかの相談をしていると、ふと、ロンと目が合った。


「……あ」


「……」


何故か安堵した様子のロンに対して、カノンは目を逸らす。


「か、カノンさん!何で目を逸らすの!?何でUターンして逃げようとしているの!?」


ロンが何か言っているが全て無視するカノン。


しかし、あの女性の前でやっても無意味な気がする。


逃げるにしても、同じ封印者(シーラー)から逃げ切れる気がしない。


確か前に聞いた話ではAランクの冒険者という話だし、さっきの移動を見る限り空を飛んでも普通に追い付かれる気がしてならない。


あんな機動力の前では地上の障害物などないのも同じだろう。


『カノン、逃げるだけ無駄だと思うぞ?』


「……分かった」


俺がそういうとカノンは諦めたのか立ち止まってロン達の方を向く。


「あの子だよあの子!新しい封印者(シーラー)は」


ロンがそう言ってカノンの方を指さす。


それを聞いた女性がカノンの方を見る。


「カノンちゃん、彼女はアイリスさん。この町で活動しているAランク冒険者だよ」


ロンはその女性、アイリスを紹介しながら離れていく。


「えっと……初めまして……」


カノンが挨拶をすると、アイリスは笑顔で近づいてくる。


「カノンちゃんね、私はアイリス。貴女と同じ封印者(シーラー)よ」


アイリスは笑顔で手を差し出す。


「は、はい。よろしくお願いします」


カノンがそう言ってその手を取る。


その瞬間しっかりと分かった。


アイリスの中には何かがいる。


それも俺よりももっと上位の存在だ。


握手を通して流れ込んできた僅かな魔力だけではっきりと理解できる。


しかし魔力の感じでは敵意を持っているというわけではないのだろう。


どちらかというと、こっちの事を探りに来ているといった所か?


しばらく握手をしていたアイリスとカノンだが、やがてアイリスの方から手を放す。


「へぇ、カノンちゃんも中々強い子がいるのね」


「!?」


その言葉にカノンは驚いて一歩後ずさる。


『カノン、大丈夫だ』


俺がそういうとカノンはわずかに頷いた。


「あぁ、ごめんね。ソル……私の中にいる白虎なんだけど、その子の能力で触れた相手の能力が少しだけ分かるのよ」


後ずさったカノンに対して慌てて謝るアイリス。


しかしカノンは自分の情報が漏れることには慣れていないよな。


鑑定持ちなんてめったにいないから仕方ない事とは言え……。


でも向こうがこちらを確認してきたし、こっちも鑑定してもいいよな?


さっきまでは英雄と呼ばれるAランクだと思って自重していたが……。


というわけで鑑定っと……


----------

種族・人間 名称・アイリス(???)

職業・封印者(シーラー)・Aランク冒険者 年齢・20

HP・2052 MP15(214360)

スキル

感覚系

心眼・方向感覚Lv3・気配察知Lv10・身体強化Lv8・王威Lv2・気配遮断Lv10・夜目Lv1・嗅覚探知Lv3

戦術系

拳闘術Lv7・蹴闘術Lv10・戦技Lv4

魔法系

魔力操作Lv10・詠唱破棄Lv9・詠唱短縮Lv10・魔力制御Lv2・火属性Lv10・火炎属性Lv2・光属性Lv10・閃光属性Lv2・聖炎属性Lv2

状態・耐性系

火炎耐性Lv10・闇耐性Lv7

技能系

解体Lv5・採取Lv2・統率Lv2

特殊系

跳躍Lv6・召喚術Lv1

固有スキル

獣装Lv4

----------


これは凄いな……。


名前のところにある?が気になるが、それはこの際置いておく。


カノンと俺以外でこれだけのスキルを持っているのは初めてかもしれない。


ついでにもう少し集中したらこんなのが出てきた。


----------

封印・白虎(名称・ソル)

白虎

神獣の一体

----------


ここまでしか鑑定できないのは存在の格が違うからなのかもしれない。


「ハク、どう?」


俺が鑑定したことはカノンも気づいていたようだ。


『スキルの数も多いが、白虎ってのは神獣みたいだな』


「神獣?」


「あれ?そこまで分かっちゃった?」


カノンの呟きにアイリスが驚く。


「白虎って言うとみんな魔物の方を連想しちゃうんだけど、神獣って当てられたのは初めてね」


アイリスの言うことを整理すると、どうも魔物にも白虎と呼ばれるものは存在しているらしい。


「あ、でもこれあんまり知られたくないし、少し移動しましょ」


そう言って返事を待たずにカノンの腕をつかんで引っ張っていくアイリス。


カノンは成すすべもなく引きずられていった。










































そのままカノンはギルドの一室に連れてこられた。


応接室のような場所で、アイリスは空いている部屋を確認もせずに使ったのだ。


「ここなら誰にも話は聞かれないし、大丈夫だね」


そう言って笑うアイリスに対してカノンはどうしたものかとあたふたしている。


「あの、この部屋勝手に使って大丈夫なんですか?」


「大丈夫大丈夫、私これでもAランクだし」


Aランクで何が大丈夫だというのだろうか?


「はぁ、そうですか……」


カノンも諦めたようだ。


「あの、私に何か用事があったんですか?」


「ん?特にないよ?」


カノンの質問に首を傾げるアイリス。


「だって入り口で私の事探してましたし……」


カノンにそういわれ、あぁ、と言った感じで納得するアイリス。


「いや~、私達って滅多にいないじゃない?カノンちゃんはこの国に封印者(シーラー)が何人くらいいるか知ってる?」


「えっと、すみません、分かりません」


「冒険者だけで6人、カノンちゃんが入ったから7人だね。冒険者以外も合わせても10人くらいしかいないんじゃないかな?」


アイリスは思い出す様にいう。


「だから私達って、滅多に仲間に会わないんだよ。他の冒険者は同じクラスで仲良くしてるのに!」


ドン


両手を机にたたきつけるアイリス。


しかし他の冒険者ってそんなに同じクラスで集まってるものなのか?


いや、この世界のクラスとはあくまで戦闘スタイルによって勝手に決まるものだ。


同じ戦い方をする者同士、情報交換くらいはするのだろう。


「いくら特殊クラスって言っても不公平だよ!カノンちゃんもそう思うよね!?」


「え!?」


いきなり同意を求められて戸惑うカノン。


今日はカノンの心労が大変なことになりそうだ。


「……え?あ、はい。すみませんでした……」


いきなり弱腰になった。


多分中にいる白虎に怒られたのだろう。


カノンも傍から見るとあんな感じなのだろうか?


しかし、なんというか…………、白虎の立ち位置ってもしかしなくてもアイリスの保護者なのかな?


そう考えてふと思った。


周りから見た時、俺とカノンの関係ってどういう風に見えているのだろう?



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