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目指せDランク

翌日、カノンはギルドに来ていた。


依頼を探すためだ。


昨日は図書館を出た後、そのまま宿に戻って休んだ。


そして今日から、仕事再開というわけだ。


とは言っても、俺もカノンも冒険者による依頼の争奪戦に参加する気はない。


というか、参加できる気がしない。


いくら強くなろうとも、それは別の話なのだ。


なので俺たちは依頼が張り出されて少したって、冒険者たちがある程度依頼を奪い合った残り物から選ぶことにした。

目的はDランクに上がることなので、何かしらの依頼さえこなせれば問題ない。


お金の方も、この前の依頼でかなり稼いでいるし、最悪、その辺りにいる魔物を討伐して丸ごと持って来ればある程度は稼げる。


丁度冒険者がはけたので掲示板を見ているのだが、流石は残り物というべきか、あまりいい依頼はなさそうだ。


因みに残っているのは、殆どがFランクの配達依頼だ。


初めて受けた町の外にある施設への配達依頼は街中への物と比べると危険が高いのでFランクになっている。


とはいえ、これを受けてもDランクへの昇格条件は満たせない。


基本的には今のランク以上の依頼をこなす必要があるようだ。


とは言っても受けられないことはなく、基本的には自分のランクと、その前後のランクを受けることができる。


なのでカノンが受けることが出来るのはF、E、Dランクの依頼になるわけだ。


ただし、常時依頼に関してはどのランクでも問題ないので、たとえばカノンがCランクやBランクの魔物を倒して持ち込んでも依頼の達成回数にはカウントされる。


とはいっても常時依頼はカウントが少ないらしいので、通常依頼をこなしていくのが近道だ。


なので当然の如くカノンも通常依頼を受けようとしていたのだが……。


「無いね」


『無いな』


Eランクの場所には、一枚も依頼が張られていなかった。


確かにEランクで討伐依頼はほとんどでない。


通常依頼での討伐依頼は殆どがDランクからとなっている。


かといって、Fランクのように近場への配達依頼もなく、Eランクでの通常依頼は村までの配達などになってしまう。


そんな依頼がポンポン出てくるわけもなく、今現在、掲示板には何も存在しないという状況になっているのだ。


「どうする?少し待って次の依頼が張り出されるのを待つ?」


少し想像してみた。


毎回恒例の冒険者による依頼の争奪戦。


そこにカノンが突っ込んでいったとする……。


駄目だ、なんどやってもはじき出されるカノンの姿しか想像できない。


『この間のマリアの二の舞にしかならんと思うが……』


「だよね~」


カノンも分かっていたのか、ため息を吐いた。


こういう時、小さいカノンは不利である。


「じゃあ……Dランク?」


『そうなるが……いいのはあるか?』


Dランクの依頼は多分残っているだろうが、今の時間で残っているのは遠方からの依頼で長期間この町を離れる者だったり、依頼の内容にないして報酬が少なかったり不確定要素が多い物ばかりだろう。


一応Dランクの場所を見てみると……。



・オークの肉200キロの調達

・王都への配達(往復約30日ほど)

・外壁工事の護衛



などがあった。


最初のオークの肉に関しては、どこかの食堂か何かだろう。


ギルドから買う場合、入荷しない場合もあるし鮮度の心配もあるから直接の依頼を出したといった所だろう。


この依頼が残っている理由は二つだ。


一つ目は、依頼料が安いこと。


普通にオークの肉を持ってきて売るのと変わらない報酬しかない。


だから、もしオークの肉を狩ることが出来て、この依頼が残っていれば納品しようと思っている冒険者もいるはずだ。


二つ目は、200キロという重量を運ぶことの出来る冒険者が果たして何人いるのかだ。


パーティなら可能だろう。


しかし、カノンのようにソロの冒険者は運ぶこと自体が不可能だ。


カノンの場合は収納があるので簡単だけど……。


二つ目の依頼は問答無用で却下だ。


一回の依頼で拘束時間が1か月とか流石に長すぎる。


それでいて、報酬もそんなに良くはない。


もし王都に行く冒険者がいたら、そのついでに受けてくれる程度の物だ。


三つ目の依頼は、この町の外壁工事の際の護衛、つまりこの町のすぐ外で出来る。


ただし、こちらに関しては人数制限があり、10人以上の冒険者を含むパーティに対して出されている。


なので、カノンでは受けることが出来ない。


これ以外の依頼も似たようなものばかりで、流石残り物と言わざるを得ない。


「どうする?」


『どうするか……。オークを狩りに行くか?』


というか、それしか選択肢はないだろう。


オークの脅威度はEランク、なので常時依頼としてでも昇格には近づける。


「それしかないよね…」


カノンも同じ考えだったらしい。


俺たちは受付でオークが出る場所を聞いて、そこに向かった。
































カノンが向かっているのは、町から見て北にある平原だ。


というか、ぶっちゃけ俺とカノンが出会った場所の近くらしい。


『こんなところにオークなんていたんだな』


あの時は余裕がなかったというのもあるが、そもそもサーベルボアとゴブリンにしか出会わなかった。


「うん、私も驚いた。でも、よく私無事だったよね……」


カノンが遠い目をしている。


確かにあの時のカノンがオークの群に出くわしていたら、無事では済まなかっただろう。


というか俺も、無事でいられた自信はない。


もしカノンと出会う前にゴブリンと遭遇したとしても、勝てる見込みはなかった。


あの時の俺の能力では、一対一でならともかく、複数のゴブリンと戦ったら負けていてもおかしくないステータスだった。


なので、カノンに封印されたことで生き延びられたと考えるなら、これはこれで悪くない結果だったということだろう。


『そうだな……しかし、カノンは森中逃げまどってたんだろ?オーク以前に、よく魔物に出会わなかったよな』


「そうだね~、サーベルボアと挟み撃ちされたら諦めてたと思うよ?というか、ハクが前に見えた瞬間に諦めたよ?」


そういえば、カノンが森から飛び出してきたとき、丁度俺とサーベルボアでカノンを挟む形になったっけ……。


「まあ、すぐに助けてもらったからいいんだけどね。私も森から出るつもりなかったし」


カノンが言うには、森の中で木々を利用して逃げ切る算段だったらしい。


しかし、間違えて森の外に出た時に俺と遭遇したらしい。


『なるほどな…、で、森を逃げ回って逃げ切れる確率は?』


そういうとカノンは気まずそうな顔になった。


「えっと……逃げきれたらいいな~って……」


なるほど、最初から無理だとは思っていたらしい。


しかし、そうだとすると……。


『なら、お互いに運がよかったんだな』


「そうだね、正直言って、ハクと会わなかったら間違いなく死んでたし」


そんか会話をしながら気配察知を発動していたのだが、ようやく魔物の反応を見つけた。


『カノン、前方に魔物だ』


「オークかな?」


『それは分からん、どうする?』


「そんなの決まってるよ」


カノンはそういうと、収納から剣を取り出して歩みを速めた。


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