迷宮走破の報告
「はい。ではギルドカードをお返しします」
ギルドの受付で、ギルドカードを受け取るカノン達。
診療所からまっすぐにギルドにきて、受付で迷宮走破の報告をしたのだ。
解体している暇のなかったフロストギガースを証拠として解体所に出し、少し待って無事に走破が認められた。
走破の証はギルドカードに書き込まれるらしく、別に証明書などはない。
強いて言えばギルドカードが証明書だな。
そんな説明を受けながら意外とあっさりとギルドでの手続きは終わった。
ただし、受付嬢がちらちらとリーゼの腕に視線を送ってきているが……。
「ではこれでレセアール周辺に出現した迷宮の調査を行えますが、決して無理はしないようにしてください」
「「はい。ありがとうございます」」
受付嬢の言葉に二人がそろって返事を返す。
「それと、お二人に手紙を預かっています」
一通りの手続きが終わったところで受付嬢がそういってカウンターの下から書類を取り出す。
「手紙?」
この町で俺たちに手紙を残すって……一人しかいなくないか?
「アンナさんじゃない?」
カノンの疑問の声にリーゼが答えてくれた。
「はい。アンナという冒険者からお二人へですね」
受付嬢がそういって手紙を渡してきた。
「ありがとうございます」
カノンは受付嬢にお礼を言って手紙を受け取ると、カウンターから少し離れた場所で中身を見る。
アンナからの手紙には、迷宮から戻ったら一度会いたいという内容と、アンナが宿泊している宿の場所が書かれていた。
ご丁寧に地図までついている。
ただ、ギルドにアンナ宛に伝言を残してくれたらアンナの方から会いに行くのでカノン達の都合のいいようにしてほしいとも……。
「確かに一度挨拶はしておきたいよね」
手紙を覗き込みながらリーゼが呟く。
迷宮の中にこもっていたので実感が薄いが、実はすでに迷宮に潜ってから半月程度が経過している。
6階層以降は実は1日1階層か2階層のペースでしか進んでいない。
感知能力が落ちているせいで動きが鈍かったせいではあるが……。
ちなみに15階層から引き返すのにかかったのは1日半程度だ。
身体強化や魔装によるごり押し、さらに威嚇で戦闘を極力避けた結果だ。
あの強行軍は二度とごめんだが……。
「来てもらうこともできそうだけど、一回行ってみる?」
カノンが宿の場所を見ながらいう。
『そうだな。アンナとしては気を使って選択肢を増やしてくれたんだろうが、今から行っても支障はないしな』
そういって宿の場所を確認するが……。
『ここからだとだいぶ遠くないか?』
地図を見る限り、ギルドからはかなり離れていて冒険者が止まる宿には思えないのだが……。




