本体は弱い?
氷の足場に立っているリーゼの周りで、ブリザードシャークが襲う機会を伺うように泳いでいる。
この感じだとその内襲ってくるだろう。
その瞬間を狙う事も出来るわけだが……。
『リーゼ、今度はこっちに向かって跳んでくれ。カノン、そこを狙うぞ』
今の状態でカノンが攻撃すると、氷の足場まで壊してしまう可能性がある。
「了解!」
「うん。じゃあ行く……!」
リーゼが言葉を途中で止めて跳び上がる。
その瞬間、ブリザードシャークが足場の上をかすめるように飛んできた。
「このまま行くからよろしくね!」
リーゼはそういうと空中を蹴って体制を整え、そのままこちらに向かって空を蹴る。
その後ろからは、ブリザードシャークが向かってくる。
そろそろ来そうだな。
「ハク、行くよ」
カノンがハクティアを持つ手に力を籠める。
そのままリーゼよりも高度を上げ、ハクティアを下に向かって構えた。
そして、リーゼを飲み込もうと再びブリザードシャークが飛び上がった。
「はぁ!」
そのブリザードシャークの頭上に移動したカノンがハクティアを振りぬいた。
ドオォォン!!!
ハクティアが振りぬかれた瞬間、爆発にも似た轟音が響き渡り、粉雪を盛大に舞い上げた。
雪が落ち着いて視界が晴れると、バラバラになって粉雪に飲み込まれていくブリザードシャークの姿があった。
そして、何故か雪に沈まずにいる魔石。
どうやら一撃で倒せたらしい。
階層主にしては弱い気もするが、ここは単体の強さというよりも地の利を得た魔物、もしくは環境そのものが敵みたいなものだ。
実際、空を飛べれば大した敵ではないのだろう。
一番の問題は雪に落ちてしまう事なのだから。
「ハク、回収お願い」
『おう』
俺はスライムを伸ばして魔石に触れ、収納する。
さて、これで先に進めるはずなのだが……。
「道は何処だろう?」
上空から周りを見渡しているカノンが首を傾げる。
確かに……見当たらないんだよな……。
入り口と反対の壁にあるわけでもないし……。
「雪の下みたいだよ!」
近くの足場に着地したリーゼがメモを見ながら教えてくれた。
「……この下?」
カノンが恐る恐ると言った感じで下を指さす。
……嘘だろ?
この雪、どうしろってんだ?




