10階層へ続く道
カノンが編み出した感知方法は、結論だけを言えば凄まじい成果を上げた。
その結果、6階層から9階層までの敵はその優位性を殆ど失いカノンとリーゼに刈られていった。
勿論、魔力を垂れ流しているようなものなので魔力消費は跳ね上がっているが、そこは休憩を増やして凌げる程度だ。
俺の総魔力量が増えたおかげだな。
そして、これは思わぬ副産物なのだが、こんな無茶苦茶な魔力の運用をしているおかげかカノンの魔力制御スキルがレベル7まで上がっている。
レベルが上がったおかげで魔力消費も減り、感知能力も上がってさらに多用する様になり、そのおかげでまたレベルが上りという好循環になっている。
まぁ、流石にもう簡単には上がらなくなったが、それでもこの迷宮を攻略する頃には8か9くらいにはなっているのではないだろうか?
……レベルの上がり方が可笑しくなってきているのは気のせいだろうか?
とりあえず、それは置いておくとして、カノン達の目の前には10階層に降りる階段がある。
進もうと思えば進めるのだが、カノンが大分魔力を消耗しているので回復させるため休憩しているのだ。
10階層も5階層と同じく一つの大きな部屋になっており、階層主が陣取っているはずだ。
ここの階層主は少し特殊で、そのせいでこの階層は地面が雪に覆われている。
……いや、少し語弊があるな。
正確には、とんでもなく分厚い粉雪の層に覆われており、足を踏み入れれば雪に足を取られそのまま底なし沼のように沈んでしまうらしい。
そんな、雪の海とでもいうべき場所で戦わないといけないのだ。
とはいえ、一応というレベルではあるが足場はあり、階層自体に踏み込めないという事はない。
最も、その足場も氷でできているうえに狭く、しかも少ない。
足を滑らせて粉雪に落ちれば終わりだ。
だから、殆どの冒険者は今いる9階層までしか来ない。
いや、むしろ、6階層以降のうま味の無さを考えるとここまですら来ないかもしれない。
実際、6階層以降は冒険者とは出会っていない。
話が逸れたが、10階層は難易度が跳ね上がっている状態だ。
因みに、この階層を攻略するには飛行能力のように足元の環境に依存しない機動がとれるか、そもそも足場から動かずに戦える固定砲台のような戦闘スタイルを持っている冒険者が推奨される。
それ以外の攻略法があるとすれば、点在する氷の足場を飛び回りながら一切のミスをせずに戦うかだ。
まぁ、そんなリスキーな戦い方をする冒険者はいないだろうし、そのような危険を冒す必要もないだろうが……。
ここまでの説明で充分だろうが、この階層はカノンにとっては相性がいい。
リーゼをサポートする必要こそあるが、油断さえしなければ遅れは取らないだろう。
だからこそここで休憩して魔力を回復させているのだ。




