魔力制御と魔力操作
スノーウルフの群を倒したあとは、その場で検証をしてみた。
内容はカノンが編み出した感知方法だ。
やっていることは簡単で、超音波の代わりに魔力を使ったソナーだ。
ならば、仕組みを理解している俺でも扱えるのではないかと思ってやってみたのだが、どうもうまくいかない。
魔力を周囲に展開するまではいいのだが、展開した魔力の変化を捉えるなど出来るはずがない。
そもそもスキルなしにそんなことが出来るのなら、魔力を感知するスキルなど必要ない。
しかし、カノンに聞いてみた所、さっき使ったのは魔力制御だけだという。
ならば、どうにかして魔力制御で魔力を感知したという事なのだろうが……。
そんなことが出来るのか?
因みにリーゼもカノンの説明を元に頑張っていたのだが、最初の魔力の展開の時点で躓いてしまった。
魔力操作スキルしかないリーゼでは、薄く均一に魔力を拡散させることが出来なかったのだ。
どうしても、魔力が安定していない、不規則な波のような状態になってしまっているのだ。
ソナーとして使うには、不均一すぎて役に立たない。
しかし、カノンとリーゼの魔力の運用を見比べて分かったこともあった。
カノンが比較的早く魔力制御を手に入れていたこともあって、魔力制御スキルは魔力操作スキルより細かな制御が出来るようになるだけだと思っていた。
しかし、どうも違うような気がする。
何というか、操れる範囲が違うというか、操り方が違う気がするのだ。
魔力操作も魔力制御も、基本的には魔力を自分の意思通りに動かすためのスキルであることに変わりはない。
しかし、動かし方は違うような気がするのだ。
例えば、魔力操作スキルは魔力にお願いして動かしている感じだとする。
それに対して魔力制御は、魔力に命令をして動かしているような感じ……だろうか?
丁度いい表現が思いつかないが、魔力操作より魔力制御の方が細かい制御も出来るし、反応も早い。
そして、コントロールできる範囲も広くなるのだ。
魔力操作はあくまで自分の魔力に対してのみ有効だが、魔力制御の場合は魔力操作ではコントロールできない、自分以外の魔力に対してもわずかながら干渉出来る。
つまり、放出した魔力もあくまで制御下にあるという事であり、制御下にある魔力の変化程度は魔力操作や魔力制御で判別できる。
それを利用しているという事か……。
考えてみると単純な理屈だが、相変わらずカノンの発想には脱帽だな……。




