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元の二人に

その後も、シルフィードとの相談を重ねた結果、アンナへの負担を考慮してここで引き返してもらうことになった。


本来は次の階層へ続く通路まで案内して貰う予定だったのだが、アンナへの負担が増えることにカノンとリーゼが難色を示したのだ。


そして、もう一つ、俺とカノンから提案があった。


「えっと、シルフィードさん、よかったらハクと一緒に戻ってください」


『あぁ、俺は迷宮の入り口からでもすぐに戻れるから護衛にはちょうどいいぞ?』


こういう場合は召喚術が便利だ。


離れていても召喚を解除すれば一瞬でカノンの元に戻れる。


しかも、俺が離れていても魔力はカノンに供給されるからカノンの戦闘力には影響しない。


俺がいない分多少の制限はあるが、この階層で待機する分には大した影響じゃない。


そう思って提案したのだが……。


「せっかくだけど、あたしがしっかりと入り口まで連れてくから安心してくれ。それに、そこまで世話になったらこいつも……アンナも申し訳なくなっちまうからな。せっかく目標も出来たみたいなのに」


『目標?』


「おっと、それはまだ内緒だった。まぁ、お前らがアンナにいい影響を与えたってことだよ。楽しみにしとけ」


「はい。そうします。アンナさんにもよろしく伝えて下さい」


「迷宮攻略したら報告に行きますね」


「おう。じゃあ悪いな」


カノンとリーゼの見送りを受けながら、シルフィードは風のようなスピードで見えなくなった。


「さて、ここからは案内なしで頑張らないとだね」


『そうだな。アンナも頑張ってくれた』


地図を見ながらだったが、ここまで最短ルートで来ることが出来たのはアンナのおかげだった。


階層を進む段階ではずっとシルフィードを憑依させていたが、新しい階層に入った時には憑依を解除して俺たちに道を教えてくれた。


この迷宮は、地図があっても最短ルートが分かりにくい。


地図では分かりにくい高低差がある上に、そもそものサイズが大きすぎるのだ。


なので、一度潜ったことのあるアンナが地図を補足していってくれて、シルフィードも自分の覚えている範囲の道を教えてくれた。


しかし、アンナがいなくなったのでここからは分かりにくい地図だけで如何にかするしかない。


まぁ、流石にアンナも潜ったことのない階層は案内のしようがないだろうからここらが限界ではあっただろう。


しかし、少し寂しくもあるものだな……。


珍しいクラスだったし、カノンも親近感を覚えていたようだしな。


「……アンナさんも何か考えていたみたいだし、次に会うのが楽しみだね」


「……うん」


リーゼの言葉に、カノンも頷いて迷宮の奥を見つめる。


まぁ、二人がこの迷宮を攻略する程度の期間で飛躍的に変わることはないだろうが、それでも俺も、アンナの成長が楽しみになっている。


『よし、じゃあさっさとここを攻略しないとな』


「うん」


力強く頷いたカノンは、階層主の待つ5階層に向かって進むのだった。

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