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いないはずの魔物

助けてくれと言われたのなら、遠慮なく手出しできる。


カノンは魔銃を取り出すと、フレイムスネーク目がけて引き金を引く。


バシィ!!


魔銃から放たれた魔力の弾丸はフレイムスネークに当たりはじける。


しかし、対して効いているようにも見えないな……。


だが、これでいい。


フレイムスネークは標的を、自分に攻撃してきたカノンに向けたようで追いかけていた二人からこちらに視線を移した。


『リーゼ、頼む』


それを確認してリーゼに念話を送ると、リーゼは小さく頷いて追いかけられていた冒険者の方に駆けて行った。


「シーーーーー!」


それと殆ど同時、空気の漏れるような音が聞こえたかと思うと、フレイムスネークがこちらに向かって火炎放射を撃ってきた。


「ハク!」


『よし』


カノンの意図は分かっている。


俺はスライムの盾を作って火炎放射を受け止めた。


何気にこのスライムの盾、火属性相手だと中々の防御性能を持ってるんだよな……。


まぁ、それでもこの火炎放射のような連続的な攻撃はしんどいが……。


それも対策出来てるけどな。


俺は別のスライムを横に向かって伸ばす。


そして、その先端からフレイムスネークに向かってフレイムアローを撃ちこんだ。


「シーー!!」


問題なく命中したフレイムアローは、フレイムスネークから見て側面から放たれた。


そのせいで、他にも敵がいると思ったであろうフレイムスネークはカノンへの火炎放射をやめてフレイムアローの飛んできた方向を見る。


しかし、既にスライムはひっこめているのでそこには何もない。


そして、そのタイミングでリーゼが冒険者二人を連れてカノンの後ろまで移動し終わり、その代わりにアンナがカノンの隣まで出てきた。


「ほぅ?この迷宮に似合わない魔物だな?」


……訂正。


シルフィードだったか……。


『まぁ、属性的にもあり得ないわな……』


環境に適応するためだったとしても、火属性を得て体を温めるくらいなら氷属性を得て耐性を手に入れる方が早い。


「何でここに居るのかは知らねぇが、あたしらに出会っちまったのがこいつの運の尽きだな」


そう言って笑うシルフィード。


まぁ、俺も殲滅するつもりだしな……。


この蛇にとっては運が悪かったな。


「……火属性って事は…」


カノンがボソッと呟いて魔剣を取り出す。


「ハク。今度は防がないで。跳ね返すから」


『分かった。が……出来るのか?』


風の力で火炎放射を跳ね返す。


確かに元の聖剣の能力を聞く限り可能だろう。


しかし、ぶっつけ本番で出来るのか?


「心配するな。あたしがサポートしてやるよ」


そういや隣にいるのは風の大精霊様だったよな。


なら、任せるとしようか。


フレイムスネークは、再び口を開けて魔力を溜める。


よくよく観察してみると、俺のブレスと似たような仕組みだな。


そして、そのブレスを何度も見ているカノンも同じことを思ったのだろう。


魔力の集まり方、そしてその様子から発射までの猶予もおおよそ予想が出来る。


それに合わせて魔剣に魔力を巡らせていく。


「……シー!」


「はぁ!!」


そして、火炎放射が放たれ、カノンに向かってきたのとほぼ同時、カノンが魔剣を振りぬいた。


すると、火炎放射はそのまま風に流されるようにして向きを変え、すべての炎を巻き込みながら球状に成長してフレイムスネークを直撃した。


「……なんだ。あたしの助けなんかいらなかったじゃねぇか」


カノンの後ろでは、いつでもカノンのサポートに動けるように準備していてくれたシルフィードが、どことなく嬉しそうに呟いたのだった。

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