倒す方法
暗転した意識が回復する。
目の前には俺に迫ってくる剣。
どうやら現実では時間経過はないようだ。
『おりゃ!!』
飛んできた元聖剣をサーベルボアの剣で弾き落とす。
ちらりとカノンの方を見てみると、魔法剣を片手に頷いた。
カノンも向こうで話を聞いていたので、どうすべきかしっかりと把握している。
こちらは任せてもよさそうだ。
アリエルが説明してくれたリビングメイルの倒し方は、聖剣と聖鎧で別々だった。
正確には、聖剣はアリエルの希望も考慮したうえでの結論だったが……。
とにかく、リビングメイルを倒すのは俺の仕事。
カノンの仕事は、この元聖剣を魔法剣で特定の手順を踏んだうえで破壊することだ。
あのリビングメイル。
実は既に数回倒されているらしい。
しかし、聖鎧という特殊な鎧に宿ったせいで変質し、ある程度の時間こそかかるものの復活する様になってしまったようだ。
しかも、倒された際には鎧も消えてしまうようで鎧自体を浄化することも出来ない。
厄介な状態だったらしい。
ならば浄化をしようにも、聖武具のせいで光属性に耐性がついてしまっており、怯みはするがダメージは通らなくなってしまったようだ。
なので、成仏させるという方法も使えない。
こんな状態だという事を説明された時、俺には一つ案が浮かんでいた。
そして、アリエルも同じことを考えていたようだ。
それは、俺がリビングメイルに止めを刺すことだ。
……それだけ?
そう思われるかもしれないが、それが大事なのだ。
目的は、俺のスキル。
スキルテイカーを発動させること。
アンデッドは怨霊スキルを確定で持っており、何らかの理由でこのスキルがなくなった場合は存在を維持できずに消滅する。
なので、俺が倒して怨霊スキルを奪ってしまえば2度と復活は出来なくなる。
その際、聖鎧ラティスマギナもまとめて吸収される可能性もあるようだが、アリエルとしてはそれでも構わないらしい。
とにかく、どうにかして長年にわたってアンデッドと化してしまった聖武具を如何にかしてほしいだけのようだ。
因みに、町の住人たちはこの鎧の事は何も知らないようだ。
詳しくは聞けなかったが、この町がまだ村の規模だったころからここに居るらしい
なので、鎧の破壊も大して問題にはならなさそうだ。
それを気にしなくていいのなら、戦い方はいくらでもある。
俺はこちらを警戒しているリビングメイルに向かって口を開け、魔力を溜める。
向こうも、こちらの雰囲気が変わった……正確には遠慮がなくなったのを感じ取ったのかも知れない。
先ほどよりもしっかり警戒されているようだ。
しかし、この距離で警戒はこちらにとって有利。
俺が竜だという事を忘れてもらっては困るな。
多少の距離など、問題にすらならんぞ。
『……おらぁ!!』
ボォッ!!
ため込んだ魔力をブレスとして一気に吐き出す。
今回のブレスは火属性。
一般的な竜のブレスと言った所だろうか?
最も、周りに影響がないように威力は抑えているが、それでも直撃を受けてしまえばどうにもなるまい。
俺の吐いた炎はリビングメイルを包み込んで、焼いていく。
『よし、これで……ん?』
このまま行けるかと思ったのだが、炎の中からは金属の擦れる音がする。
つまり、リビングメイルは問題なく動いているという事だ。
これは、楽勝とはいかないか?




