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動く鎧

目に見える範囲のゾンビは粗方片付いた。


後は……、奥にいる強めの反応だけか……。


「ゾンビよりは強そうだけど……アンデット?」


カノンも気配察知で気が付いているようで、首を傾げる。


「……あぁ、なるほどな。こりゃ珍しいな」


シルフィードがそう呟く。


この様子だと、シルフィードはどんな魔物か知っているようだな。


『なんか知ってそうな反応だよな?』


「あぁ、知ってるぞ?けど言わない方が面白そうだ。そもそもこいつはお前にぴったりだぞ?あたしはそろそろ帰るから後は頑張ってみな」


そういうのと同時に、シルフィードの気配が消えてアンナの気配に戻る。


「……あ…えっと」


恐らく憑依されているときでも自分の様子は分かるようで、困惑するアンナ。


『……俺にぴったり……ね』


アンナに戻ってしまった以上、これ以上話を聞くことはできない。


しかし……。


「ハクにぴったりって……、スキルって事かな?」


「もしかして変身すると便利なのかも?」


カノンとリーゼがさっきのシルフィードの言葉に首を傾げている。


確かに精霊は物知りだろうし、キメラドラゴンの特性も知っているだろう。


そのうえでぴったりだというのなら、変な事にはなるまい。


気がかりなのは、その魔物の能力だな。


便利な能力というのは敵に回すと厄介でもある。


余程の事が起きない限り対処できるだろうが、警戒しておくに越したことはないだろうな。









墓地の奥、言ってみれば第二層……ボス部屋のようなポジションだろうか?


奥にある開けた場所にそれは居た。


「……何?…あれ」


敵にギリギリ感知されないであろう距離から観察していたカノンが首を傾げる。


「……甲冑?」


カノンの隣でリーゼが呟く。


空間の中央に一体の甲冑が置かれている。


甲冑だが、何となく予想と違うデザインのような?


ごつい感じではなく、細身の甲冑だな。


武骨過ぎず、スマートな印象を受ける鎧だ。


しかし、魔物の姿は……。


いや、あれ自体が魔物か?


鑑定してみると、リビングメイルという魔物のようだ。


スキルの構成はアンデット共通の怨霊スキルは覗いて、剣士タイプの人間そのものだな。


ただし、一つだけ……霊装というスキルがあるな……。


どんなスキルかは分からないが、シルフィードが言っていたのはこれか?


『鑑定した。リビングメイルだな』


「あの鎧そのものが魔物という事ですね。でも……何でこんな場所が?」


アンナにもこの空間がある理由は分からないか……。


『推測できる理由は……特別な墓でもあるか……単純にまだ使われていない洞窟の空間か……』


元々、洞窟を利用した墓地だ。


まだ使用されていない空間くらいはあるだろう。


しかし、ここが特別な墓地、例えば、何かの偉業を為した人物の墓であった場合、ここ自体が特別な場所という可能性も十分にあり得るわけだ。


で、その場合あの鎧の出所も何となく予想がついてしまうわけだ。


リビングメイルとは、そもそも唯の鎧がアンデット化したものであるため、元となる鎧が無ければ存在できない。


使用されていない洞窟に都合よくそんなものがあるとは思えないので、何らかの遺品だと考えて間違いないだろう。


さて、その場合……。


『鎧に傷をつけて大丈夫なのか?』


「「「…………」」」


俺の疑問に、三人共無言を返してきた。


さて、本当にどうしたものか……。


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