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ルネットのギルド

ルネットのギルドは、二つの建物から出来ていた。


片方が、他の町と同じように通常の依頼などの処理を行う建物で、もう一つが迷宮関連の処理を行う場所らしい。


二つの建物に分かれてはいるが、建物同士は繋がっており、既存のギルドの建物に迷宮関連の処理をするためのスペースを確保するために増築した感じだろうか?


カノン達が用事があるのは通常のギルドスペースだ。


とは言っても、用事自体は速攻で終わってしまった。


元々概要自体は乗合馬車組合に伝わっているので、カノン達のギルドカードを確認してもらい、報酬を受け取って終わりだ。


とは言っても、支払われたのは馬車の救助と護衛の分だけで、盗賊などは確認が終わり次第になってしまうが……。


因みに報酬をもらうとき、アンナがとても申し訳なさそうに受け取っていた。


まぁ、実際には救助された側になるし当たり前か……。


「あの……本当に受け取ってしまっていいのでしょうか?」


『あ~、気持ちは分からんでもないが受け取っとけ。断れる相手じゃないぞ?』


「ハク?それどういう意味?……って言うか実際、護衛は一緒にしてもらってるんだしいいじゃない」


カノンがふくれっ面で言う。


『確かにお前の言う通りではあるが、まさか報酬をそのまま三等分して渡されたら困るだろう……』


確かに救助と護衛の分を纏めて渡されたので、計算のしようもないわけだが……。


「ハクさんの言うことも最もではあるんだけど……正直内訳を聞いていないしどうしようもないよね……あ、そうだ!」


リーゼが何か思いついたように声を上げる。


「アンナさんはこの町の事詳しいの?」


「え?あ、はい。前に一度来たことがあるので多少は……」


リーゼの言葉にアンナが戸惑いながら答える。


「だったら、宿を紹介してもらったらどうかな?」


『宿か……。確かにそれもよさそうだな』


「そうだね。アンナさん。お願いしてもいいですか?」


「あ、はい。それなら任せてください。前に来た時に泊まった宿に今日も泊まるつもりだったので、そこに案内しますね」


それくらいはお安い御用とばかりに胸を叩くアンナ。


っと、その前に……。


『因みにカノン。ロンから預かった紹介状、出さなくていいのか?』


「紹介状?」


まさかの疑問符が返ってきた……。


『レセアールでもらっただろ?迷宮に潜るための……』


「……あ、そういえば貰った」


「そういえば、許可書の発行までは少しかかるんだっけ?だったら今から渡しておいて待つ感じかな?」


『そうなるだろうな。というわけでアンナ。すまんが少し待っててもらえるか?』


「あ、はい。分かりました」


あっさりと承諾してくれたな。


まぁ、そんなに時間は掛からんだろう。










「えっと…すみません」


カノンとリーゼは、迷宮用のカウンターで声を掛けた。


「はい、どうされましたか?」


受付に座っている受付嬢が笑顔で答えてくれる。


「はい、えっと……これをお願いしたいんですが……」


随分とアバウトな言い回しで紹介状を渡すカノン。


「はい……これは……レセアールのギルドからですね。少々お待ちください」


そう言って封筒を開け、紹介状に目を通す受付嬢。


目を通すごとに段々と表情が険しくなっていくが、顔を上げると元の笑顔に戻っていた。


が、すぐに振り向くと近くにいた職員に何かを言い封筒ごと紹介状を手渡す。


紹介状をもらった職員はすぐにどこかに行ってしまった。


恐らく、ギルドマスターにでも見せに行ったのだろう。


「はい、ではお二人のギルドカードをお願いします」


「あ、はい」


カノンとリーゼがギルドカードを見せると、内容を確認してすぐにカードは返された。


「では、これより迷宮の許可書の発行に取り掛かります。通常時ですと一週間程度かかるのですが、今回は状況を鑑みてギルドマスターの許可次第ではそれ以内に用意できるかと思います。できれば毎日こちらに顔を出してください」


なるほど。


ギルドマスター次第ではあるが何とか早めにはやってくれそうだ。


しかし……。


それでも数日か……。


やりたいことは色々あるが、カノン達はどうするつもりだろうか?

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