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アンナの能力

「あの……本当に私もよかったのですか?」


ギルドに向かっているカノンとリーゼの横から、アンナの戸惑ったような声が聞こえてくる。


「はい。だって、アンナさんがいなかったらもっとひどいことになったかも知れないじゃないですか。それにここまでは一緒に護衛してきましたし」


対してカノンが笑顔で返す。


カノンの考えていたこととは、今回の依頼の報酬をアンナと分けることだった。


そもそも、馬車の乗客ではあったが俺たちが見つけた時点では唯の要救助者だったので報酬は支払われないはずだった。


ゴブリンを全滅させたのもカノン達だし、アンナを攫った山賊を倒したのも俺だしな。


しかし、俺たちが発見する前に馬車を守ろうと奮闘したのは間違いないし、その奮闘で稼いだ時間が命運を分けた可能性もあるのだ。


……いや、正直、ゴブリンが寄ってきたのはアンナの血の匂いのせいではないかと思えないこともないのだが、そうだとしても馬車に押し入ってきた山賊が乗客をどうするのかを考えるとなんとも言えない。


どちらにしろ、カノンが言った通りその後の護衛はアンナもしていたので報酬を分けることに対しては俺もリーゼも賛成している。


というわけで、カノンが門番に提案をして、カノン達がいいのならという事でアンナを呼んでもらったのだ。


『しかし……』


改めて三人を見て、思わず声が漏れる。


「どうしたの?」


そんな声にカノンが反応した。


『いや、お前ら三人共特殊クラスなんだなって思ってな』


「あ~、そういえばそうだね」


俺の言葉にリーゼが苦笑気味に頷く。


「私が巫女、カノンが封印者、で、アンナさんが憑依士だもんね」


「そういえばそうだね」


『そもそも、今回は臨時パーティを組んだ扱いにすることになるだろうが、それでも特殊クラスだけのパーティってのは珍しいんじゃないのか?』


「確かにそうかもね。そもそも特殊クラスばっかじゃバランス悪くなりそうだし」


自分とカノンを見比べてそう呟くリーゼ。


それは二人の戦闘スタイルの問題であって、別にバランスは悪くないんじゃないのか?


とはいえ……。


『確かにリーゼは純粋に近距離型、カノンは中距離の混ざった近距離型だしな』


俺がカノンの中に居れば中距離型の立ち回りも難なくこなすが、俺が召喚されている状態だと近距離メインの立ち回りになるからな……。


確かに相性によって例外はあるが、魔法剣と魔銃で魔装の速度を活かした戦い方が得意になってきた感がある。


「そういえば、アンナさんはどんな戦い方をするんですか?」


「え?私ですか?」


カノンが思い出したようにアンナに聞くと、アンナは少し考える仕草をして口を開いた。


「そうですね……私は契約している風の精霊の憑依しか出来ませんが、基本的には遠距離から風属性の魔法の総攻撃……って感じでしょうか?」


まさかの物量作戦だった。


風と言った時は、カノンと似たような速度で圧倒する戦い方かと思ったのだが……。


「……でもよく考えてみると、風の総攻撃って危ないよね」


リーゼがボソッと呟く。


『間違いないな。目に見えない攻撃、しかも風の圧力で体制を崩されてまともに動けない。そんなものの嵐を食らえばひとたまりもないぞ』


イメージとは違うが、それでも風の効果的な使い方ではあるだろうな。


思わぬアンナの実力に少し驚きつつ、カノン達は冒険者ギルドに到着したのだった。

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