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到着と報告

街の入り口に到着したカノン達は、馬車の一行の聞き取り調査のために待たされることになってしまった。


流石に、街と街を結ぶ乗合馬車が山賊に襲われて、御者が犠牲になったかもしれないという話は大きかったようだ。


なので、まずは乗客に事情を聴き、それと並行してカノン達にも馬車を発見したときの様子などを確認された。


なので、話の流れ的にアンナを助けた事を説明する必要があったので実際にカノンが召喚術を使って俺を召喚し、カノンが馬車に居てもアンナを救出できることを証明したりした。


で、俺から聞いた話という事で山賊を埋めてきた話をしたところ、馬車が襲われた現場の確認ついでにそちらも確認に行ってくれることになった。


もし山賊がまだ無事だったのなら、相場よりは金額が下がるが生け捕りにしてきたのと同じ扱いにしてもらえることになった。


これは、10人近い命を救うために山賊の捕縛を諦めた事に対する補填……というか特別措置のような物のようだ。


「……しかし…二人が馬車を発見したときには襲っていたのはゴブリンだったって言うのは……運が悪かったんだろうか?」


カノンの説明を聞いた門番がため息を吐く。


「でも、ゴブリンに襲われてなかったら被害はもっと大きくなってたかもってききました」


「あ、そうだよな。不謹慎だな」


ため息を吐いた門番は申し訳なさそうに頷く。


今回の門番、大分若い。


下手すると20代前半だろうか?


見習いみたいな感じだし、後ろに控えている上司らしき男が厳しい視線を向けている。


「……実際、どっちの方が被害が少なかったかなんて永遠に分からんさ。だからお嬢ちゃんも、あんまり考えすぎないようにな」


さっきまで黙っていた男がゆっくりとカノン達に言い聞かせるように言う。


そして、門番の男に向かって口を開いた。


「お前も運がいい、悪いなんて口に出すな!部外者にはそれで片付くだろうが、当事者にとってはそんな話じゃないんだぞ!」


「う…すみません」


静かだが、迫力のある声に門番は項垂れる。


たしかに……最初は俺もゴブリンが出てきたのは運がよかったのかもと思ったが、馬車の乗客に対しては絶対に言ってはいけないな。


向こうからそう切り出してきたならいいだろうが、こっちからそんな話をしてしまうのは被害者の感情を無視してしまう。


今後、気を付けていかねば……。


「っと、話が逸れてしまったね。お嬢ちゃん達に対しての連絡事項として、まずこの後早め……出来ればすぐにギルドに行って貰いたい。そこで、馬車の救助と乗客の護衛の依頼の処理をしていってくれ」


迫力ある声の連絡事項に、カノンが緊張しつつ頷く。


どうやら、ここで簡単な報告をした時点で既に乗合馬車組合には伝令が向かったようだ。


その報告を受けた乗合馬車組合は、恐らくそろそろギルドに話を通しに向かっているだろうとのことだ。


馬車が襲われた、それを助けたのが冒険者で、そのまま乗客の護衛をしてきたという程度の情報しか伝わってはいないだろうが、それだけの情報でもギルドに臨時の護衛依頼の事後申請をしてくれるだろう。


カノン達は、それをギルドで受けて、そのまま完了報告をすればいいらしい。


そうすれば、今回の一件に関する報酬が払われるはずだ。


勿論、詳細な内容が不明な段階なので報酬の額などは決まってはいないだろうが、元々どういう事態にはどの程度の報酬を払うというのはギルドとの間で決めているようで、支払いの意思さえギルドに報告しておけば金額はギルドが判断してくれるので迅速な対応が出来るようだ、


逆に、これくらい迅速な対応をしているのにも理由があるのだが、今回の件に直接は関係ないので割愛する。


勿論、これは山賊の討伐報酬とは別枠なので俺たちの懐事情が温かくなるのは間違いない。


まぁ、そんなに困ってはいないが……。


盗賊の死体でも確認されたのなら、討伐報酬も入ってくるだろうしな。


まぁ、盗賊って無茶苦茶強い奴は基本的にいないのである程度の腕のある冒険者にとっては獲物だよな。


一連の話を聞いて、カノンは少し考え込んだ様子だ。


そして、少しの間をおいてゆっくりと口を開いた。

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