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ハクだけの戦い

山賊の剣が振り下ろされる瞬間、俺は全身をスライムに変えて物理無効スキルを発動させる。


すると、剣は俺の体をすり抜けるように受け流された。


「な!なんだこいつ!?」


剣を振りぬいた山賊の一人が驚愕の表情を浮かべる。


まぁ、気持ちは分からんでもないな。


っと、それより今度はこっちの反撃だ。


上半身をキメラドラゴンの姿に戻し、それと同時にスライムの触手で三人を絡めとる。


山で活動している山賊なだけあって、魔物の扱いには慣れているのかも知れない。


しかし、俺のステータスやスキルから繰り出される攻撃は一般常識でどうにかなるものではない。


寧ろ、その知識が足を引っ張る事になるだろう。


現に、俺の異常な変化にあっけに取られていた三人はあっさりと触手に拘束された。


「な、なんすかこの化け物!?」


「知らねぇよ!とにかくさっさと振りほどけ!!」


「無茶言うな!!すげぇ力だぞ!」


俺に拘束されながら揉めている山賊たち。


普段ならここまで手の内は晒さないが、今回は人命優先だ。


『終わりだな。スパーク』


「「「ぎゃ!」」」


俺の全身、触手も含めた範囲から放出された電撃によって、山賊たちは短い悲鳴を上げて沈黙した。


よし、とりあえず無力化完了っと……。















『ヒール!ヒール!ヒール!』


山賊どもを無力化した俺は、とりあえず動けないように三人とも生首状態で地面に埋め、その後女性の治療をしていた。


何処で手に入れたのか覚えていない……というか、多分どこかで倒した魔術型のゴブリンなんかが持っていたであろう治癒属性で治療をしている。


とはいえ、今までまともに使った事のない属性なのでレベルは1しかない。


これではこの女性に対してはまともな治療は出来ないだろう。


そもそも、ゲームのようなステータスが存在する世界とは言え、治癒魔法を使えるからってヒールを連発すれば着々と回復していくというような事はあり得ない。


詳しく様子を見て分かったことだが、この女性の胸から腹にかけて、いくつもの切り傷と刺し傷があった。


山賊と交戦した結果だとは思うが、正直生きているのが不思議なレベルの傷だ。


いつぞやのカノンの怪我よりひどいかもしれない。


あちらと違って貫通はしていないが……。


話を戻すが、俺の魔法だけではこの傷を回復させることは不可能だ。


なので、今掛け続けているヒールはこれ以上悪化しないようにする気休めのようなもの。


ヒールと並行して収納からポーションを取り出し、女性の傷口にかけていく。


一応、王都で購入した薬以外にも緊急時用に少量のポーションは常備しているのだ。


ポーションは薬と違って目に見える効果がある。


「…………っ…」


沁みるのか、もしくは急激に治っていく体に違和感のようなものでも覚えるのかわずかな声が女性から漏れる。


しかし、ポーションの効果は凄まじい。


これほどの重症でも、目に見える速度で傷がふさがり始めているのだ。


ただし、これほどの傷を一本のポーションで完治させることも出来ないので、数本のポーションと治癒魔法で軽傷まで持っていくのが限界だろう。


で、後は残った怪我に普通の薬を塗って包帯を巻けばとりあえずの応急処置は完了だ。


……応急処置にしてはやりすぎな気もしないでもないが、細かいことは気にしない。


さて、ここでカノンの中に戻ってもいいが、流石に目を覚ますまでは待っていた方が良いだろうな。


この女性と、ついでに生首状態にしている山賊の護衛を兼ねて……。


恐らく、この女性は馬車の関係者だろう。


確証はないが、状況的にそう推測できる。


そうだとするのなら、せめて馬車までの案内程度はすべきだろうからな。

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[気になる点] 誤字報告です。 「これほどの重賞でも、目に見える速度で傷がふさがり始めているのだ。」 ↓ 「これほどの重傷でも、目に見える速度で傷が塞がり始めているのだ。」
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