表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
245/317

迷宮

「な、何!?」


『揺れてるってこれの事か!?』


突然揺れだした地面に、カノンとリーゼは倒れないように膝をついてバランスを取る。


「うん。でもこんな激しくないよ!?」


震度で言うと最低でも6以上だろう。


俺自身、震度5以上の地震に遭遇したことがないので推測だが……。


念のため、カノンの体からスライムの触手を出して壁を作る。


それを使って周りを覆ってしまえば何か落ちてきても収納スキルで対処できるからな。


ついでに触手を地面に突き刺し、カノンとリーゼの体も支える。


「あ、ありがとう」


体に俺の触手が巻き付いたことに気が付いたリーゼが例を言うが、まだ少々不安定だな。


これ以上はどうしようもないが……。


さて……。


『これ、なんだと思う?』


とりあえず二人に聞いてみる。


この世界に地震があるのかどうかも分からないので、一応だ。


「……地震?」


リーゼがポツリとこぼす。


あ、この世界にも地震あったのね。


「地震?これの事?」


と思ったらカノンは知らないらしい。


『カノンが知らないって事は少なくともこの周辺で地震は起きてなかったってことだな?』


リーゼが知っているのは、単純にそういった知識を持っていたからか?


「私が聞いた話だけど、火山の近くとかでたまに起こるって」


なるほど。


その程度の知識だったか。


『多分、地震じゃない』


「どうして?」


断言した俺に、カノンが不思議そうな顔を見せる。


『揺れが収まる気配がない。普通の地震ならとっくに収まってる』


少なくとも、こんな話をしている間に終わってるはずだ。


しかし、現在も規則的な揺れが続いている。


「どうするの?」


『どうもこうも、揺れが収まるまでこの中から出ない方が良いな』


既に木の枝なんかが落ちてきてスライムに当たっている。


スライムの弾力と収納でしのいでいるが、生身で外に居たら大変なことになっていただろう。


普段ならともかく、まともに動けないカノン達が外に出るのは自殺行為でしかないだろうな。













その後数分で揺れは収まってきた。


揺れが完全に収まるのを待って、スライムを消すと、目の前の風景が一変していた。


「……何?これ?」


カノンの口からそんな声が漏れる。


気持ちは分かる。


『なんだろうな?何となく、さっきの揺れの原因はこれだってことは理解できるが……』


目の前の岩肌には、さっきまではなかった横穴が開いている。


それ以外には、多少周りの景色があれている程度か?


そっちは間違いなく揺れの影響だろうが、目の前の光景は揺れの影響というより揺れの原因だろうな。


「ハクは何か知ってる?」


『全く知らん』


「…………」


俺とカノンの不毛な会話の横で、リーゼだけは横穴をじっと見つめている。


『リーゼ?』


「あ、ごめん。なんか……竜の気配が強まった気がして……」


そういいながらも視線を穴の奥から外さないリーゼ。


「気配が強まる?って事はこの奥に何かいる?」


『かもしれんぞ?まぁ、こんな得体の知れないものは調べてみるに限るか』


調べると言っても、魔力感知で見てみるだけだが……。


『……ん?』


早速魔力感知で確認してみたが、違和感を感じる。


「どうしたの?」


『いや……この横穴……魔力が溢れていて魔力感知が上手くいかないんだよ』


「魔力が溢れてる?」


俺の言葉にいまいち想像がつかないのか首を傾げるカノン。


「ハクさん、それってもしかして」


対してリーゼは何か心当たりがあるようだ。


『何か知ってるのか?』


竜に関係する何かか……もしくは全く別の物か……。


「もしかしてだけど……迷宮かも知れない」


迷宮……。


リーゼの口から思いもよらない単語が飛び出てきたな……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ここ最近の小説の中で一番面白いです。続き楽しみにしてます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ