キラービー戦
上空には空を覆いつくすほどのキラービーの大群。
前はあんな数逃げる以外に選択肢は思いつかなかっただろう。
というか、あれより小規模の群でもそれなりに苦労したしな。
まぁ、今はあの時と違って魔法もあるし、あの規模でもなんとかなるだろうな。
『さて……これならどうだ?ファイヤーウォール!トルネードカッター!!』
安定の火属性と風属性の組み合わせだ。
炎の壁を突き抜けた風の刃がそのまま炎の刃となってキラービーの大群に襲い掛かる。
「……!あぶな!」
炎に焼かれて落ちてくるキラービーをカノンが慌てて避けた。
「ハク!」
『すまん……』
怒られてしまった……。
「普通に考えて真下から攻撃したら駄目でしょ……」
リーゼからそんな突っ込みが入る。
確かにな……。
一瞬で消し飛ばさない限り残骸が落ちてくるもんな……。
さて……そうなると……。
『カノン、少し場所を変えられるか?』
「言われなくても変えるよ!」
そういいながらキラービーの大群の真下から移動していくカノン。
因みにさっきの一撃で相当数のキラービーを倒したはずなのだが、数が減ったようには見えないな……。
「数が多すぎない?」
「それもそうだけど、思ったより早いね。振り切って上昇も難しそう」
カノンはキラービーの大群の真下から移動したはいいのだが、大群もカノンを追うように移動している。
そして、問題なのは台地とカノンの間に割り込むように移動し続けているので掻い潜る隙間は無さそうだ。
「でも……すぐに襲ってはこないね」
リーゼがキラービーを観察しながらそんな事を呟く。
そう言われてみれば……。
「こっちを警戒してる?」
『虫にそんな知能があるとは思えんが……』
どちらかというと、自分たちのテリトリーを主張しているような感じも……。
「……もう少し近づいてきてくれれば私も戦えるんだけどな」
『こんな至近距離で刀振り回されたくないから大人しくしててくれ』
リーゼの小声をしっかりと聞いてしまった以上釘は刺しておく。
間違って触手をバッサリなんて洒落にならん……。
「でもハク?あれ如何にか出来る?」
『どうにか出来なくはないが……さっきみたいに降ってくるぞ?』
寧ろ、それさえ気にしなければ手段などいくらでも思いつく。
「カノン、むしろこの際突っ込んじゃう?」
リーゼがとんでもないことを言い出したぞ!?
「……そうですね……その方が楽そうですし……ハク、上に行ったら一気にやっちゃって」
そういいながら走行転換をしてキラービーに突っ込んでいくカノン。
……マジか……。
「トルネードカッター!!」
キラービーと接触する寸前、カノンの風属性魔法が正面のキラービーを吹き飛ばす。
それによって生じた隙間にカノンが突入していく。
なんとも無茶をする……。
まぁ、このチャンスに俺も攻撃準備をしておくことにしようか……。
準備と言っても、翼と蔓、要はカノンから飛び出している部分から可燃性に調整した粘液をキラービーの群に向かってまき散らすだけだが……。
キラービーの群は見た目は相当だったが、厚みはそれほどでもなく数秒で突破した。
『さて、これで遠慮はいらんな。フレイムアロー!』
カノンが群を突き抜けた直後、群の中心に向かって炎の矢を放つ。
その直後
ボォォン!!
背後からそんな爆発音が響いてきた。
さっきばら撒いた粘液に引火して爆発しただけだが、亜竜種にすら通用する攻撃だし威力は充分だったようだな。
爆発に巻き込まれたキラービーは跡形もなく消し飛んだし、余波を受けた個体もそのまま体の一部を失って絶命していたりバランスを崩して墜落していく。
これでも無事な個体もいるにはいるが、数えられる程度には減ったな。
後は一匹ずつ倒しても行けそうだな。
「無茶するねハク……でもこれなら」
半ば呆れた声で呟きつつ魔銃を構えるカノンに、最近カノンの感覚も麻痺してきたのだと実感するのだった。




