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依頼の相場

村長を筆頭にした村の代表者たちと、ロイドとギルドの職員との話し合いは割とすぐに終わった。


元々この村の周辺に生息している魔物やその密度に関してのデータはそろっていたらしく、ギルドを出発する前にある程度の見積もりは出してあったようだ。


後は、村の人たちが納得するかどうかと、マリアがこの条件で依頼を受けるかどうかだけがネックだったらしい。


しかし、村人に説明をしたところ、マリアどころかDランクの冒険者が常駐する場合でもフレッドたちに払っていた金額よりはかなり安くなるようだ。


「あの二人思ったより吹っ掛けてたんだね……」


話を聞いていたカノンが思わずと言った様子で呟く。


『いや、そうとも言い切れないぞ?』


「どういう事?」


『あの二人はDランクで、Dランクの冒険者二人に常駐してもらう報酬としては多すぎるとは言い切れない』


まぁ、それを踏まえても割高ではあっただろうが……。


しかもギルドへのマージンもないのに……。


「この村の場合はEランク一人でも問題ないって判断されたから過剰戦力だったのは確かだけどね」


隣のリーゼが補足してくれる。


確かにそれは間違いないな。


『確かにぼったくりというよりは押し売りに近いか?』


あまり大差は感じないが……。


「どっちにしても迷惑はかけてたんだね……」


カノンが大きくため息を吐いた。


まぁ、それ自体は否定できんな……。


どうやって村人に取り入ったのかは知らんが……。


因みに、マリアへの報酬は最低保証として一月あたり小金貨5枚で、魔物を倒して素材なり証明部位なりを納品すればそれに応じた報酬が発生するそうだ。


ギルドへの納品は、この村にくる行商人に納品し、次回に報酬を受け取る仕組みのようだ。


つまり、行商人が限定的だがギルドの窓口も兼ねてるらしい。


その為、薬草などは乾燥させるなどして日持ちする様にすれば間接的にがだギルドに納品できるので、冒険者としての生活にはさほど不自由はしないようだ。


その代わり、長期間村を離れる際にはギルドに連絡をして村の代表者とギルドの許可を取る必要があったりとある程度の拘束はされてしまうのが欠点か?


まぁ、許可さえとれば里帰りも旅行も自由とはいえ、流石にこの世界でそんな頻繁に遠出をすることはないようだが……。


何はともあれ、マリアにしても好条件であることには間違いないのでマリアもすんなりと依頼を受けることになった。












そんなわけでマリアと村長で契約書を交わし、マリアは一時的にカノンの家に住むことになった。


今後、マリアの他にもギルドから派遣される冒険者が住むための家は用意する予定らしいが、家など急には出来ないので、両親が出て行ったことでカノンの持ち物になった家に、カノン了承の元住めることになったのだ。


カノンの両親がいきなり戻ってこないとも限らないが、俺もロイドもその可能性は無いに等しいと判断している。


そもそも、実の娘とはいえ、力の差、それ以上にカノンの成長速度を知った今、不用意に戻ってきたら今度こそ手抜きのない制裁が待っているのは確実だからだ。


そして、この家にマリアが住む場合のメリットも大きい。


家というものは誰かが住んで手入れをしないとすぐに駄目になってしまう。


マリアが住んでくれるのならカノンが維持のために通う必要もないのでカノンにとってもありがたいし、村長の家などを間借りしていたのではマリアも気が休まらないだろう。


「で、洗い物は外にある井戸か村からすぐのところに水場……前にファングウルフが出た場所です。その二か所で出来ますよ」


というわけで現在、カノンの家に場所を移してマリアへの説明を行っているところだ。


カノンも数か月前まで住んでいた家なので恐らくこの村の誰よりも詳しいだろう。


マリアはカノンの説明を聞きながらメモを取っていく。


「えっと……あとは……」


一通り説明を終えたカノンが伝え忘れたことがないか考え始める。


これについてはカノンしか分からないので俺には何もできない。


「あの、カノンさん……」


カノンが考え始めてすぐに、マリアが声を掛けてきた。


「はい?」


「えっと、この辺りで採取できる薬草とかってご存知ですか?」


「……」


マリアの質問に固まったカノン。


「……ハク?」


『俺が知ってるわけがないだろ……』


「…リーゼさん」


「ごめん」


寧ろカノンが知らない村の事を何で俺たちが知ってると思ったんだよ……。







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