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村での夜

その日の夜。


カノン達は、カノンの両親が住んでいた家で一夜を過ごすことになった。


カノンにとっては実家なので多少は過ごしやすいだろう。


因みに生活用品は残ったままになっている物も多い。


カノンのように収納スキルでもない限りあの量を持ち歩くのは困難だからだ。


しかし……。


『なぁカノン?』


「ん?どうしたの?」


『本当に良かったのか?着の身着のままで追い出しちまったが……』


「そうでもないと思うよ?」


どういうことだ?


「いくら私が怖くても…勝負に負けたとしてもあんなあっさりと出ていくなんてことはあり得ないもん。多分、もし村のみんなが反攻したらそのまま出ていく気だったんじゃないかな?」


なるほどな……。


しかし、それならもっと直接圧力をかけてしまえばよかったんじゃないのだろうか?


「カノンの言う通りだとしても、お金も掛け過ぎじゃないのかな?だって入学金も学費も結構するんじゃない?」


リーゼがそう言って首を傾げる。


「多分だけどため込んでたと思うよ?だってこの村ってお金使う事って殆どないし、村長さんに聞かないと分からないけどそれなりに用心棒としての報酬は出ていたと思うしね」


なるほどな。


『なら元々この村でため込めるだけため込んで移動するつもりだったのかも知れないな』


あわよくば、少しの間でも村人たちに意趣返しを出来ればといった感じだろうか?


カノンの一件で少なからず確執は出来ていただろうし。


「そういう事だと思うよ?」


なんとも……厄介な話だ。


下手すると、またどこかで会わなきゃいけないかも知れんな……。


出来れば会いたくないが……。


「それより……私はリーゼさんがどうやってここまで来たのかが謎なんだけど……」


そういいながらリーゼの方に視線を移すカノン。


そういえば……全力の俺たちよりも多少遅い程度の時間で着いたってことだもんな……。


『確かにそれは気になってたな……』


「え?」


いきなり話を振られて戸惑うリーゼ。


「私は走っていただけだよ?王都から走って帰ってきた事に比べたら全然楽だったけど」


なるほどな……。


「でも私は空飛んできたのに……」


「カノン、ひょっとして村に着いてからしばらく休んでた?私は竜化も使って走ったから休憩時間にもよるけど追い付けると思うよ?」


なるほどな。


『確かにそれなりの時間は休憩したな』


それでリーゼに追い付かれたのか……。


「でも流石に戦える体力は残ってなかったけどね」


そう言って苦笑するリーゼ。


それは仕方ないだろ。


逆に戦う余裕が残っていたらこっちが驚くわ!


何は兎も角、明日やってくるはずのギルド職員との打ち合わせが優先か……。














翌日の昼過ぎ、ギルド職員とロイド、そしてマリアがやってきた。


「カノンさん!お久しぶりです!」


「マリアさん?お久しぶりです」


『お前が来たって事は……』


「はい、私がこの村の常駐候補の冒険者です」


「で、俺が護衛って訳だ。ギルマスが言うにはCランク以上の方が良いって話だから俺が出向いてきたんだ」


マリアの隣でそう言って笑うロイド。


もしかして……というかもしかしなくてもカノンの両親との戦闘を考慮していたか?


「ま、そういうわけで俺たちは村長さんと打ち合わせをするわけなんだが……リーゼ、昨日のうちに村長には伝えてくれたんだよな?」


「あ、はい、村長さんも乗り気です」


リーゼの答えにロイドはわずかに安堵した表情を見せる。


「じゃあ行くとするか。っと、カノンちゃんはどうする?立ち会うか?」


ロイドに言われ思案顔になるカノン。


しかし、すぐに顔を上げる。


「はい。お願いします」


カノンはそう言いつつ隣にいるリーゼに視線を移す。


「リーゼさんも一緒にどう?」


「あ~そうだね。そうしようかな」


カノンの視線がついてきて欲しいと物語っていた。


それを読み取ったリーゼは笑顔で頷いたのだった。



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