村人の思い
「くそ…ガキが……」
「ほら行くよ。あんたも分かってるだろ?今は勝てないって」
その後フレッドが目を覚ますと、二人は荷物を纏めて村を出て行った。
その際、相変わらずの悪態をフレッドがつくがセシリアが諫める。
一応二人とも理解はしているようだ。
カノンに従わない場合、どうなってしまうのかという事を。
まぁ、実際には命をどうこうと言った事にはならないだろうが、それでも今までのような事は出来なくなるのは間違いない。
もしもこのままギルドまで巻き込んでしまったのなら、素直に出ていくよりも状況は悪化するはずだ。
そうなるくらいなら、カノンに従って出て行った方が得策と判断するのは当然の事だろう。
まぁ、既にギルドは巻き込んでいるので二人が想像しているよりも状況は悪いだろうけどな。
そんな二人の背中を見送りながら、カノンが口を開いた。
「ごめんね。ハク」
『ん?何がだ?』
「私、この村に残る事にしちゃった」
そのことか。
『まぁ…仕方ないだろ?とりあえず魔力が回復したらリーゼにだけは知らせないとだけどな』
あのまま町の宿で待機は流石にまずいだろう。
「うん……リーゼさんにも謝らないとだね」
『案外リーゼは怒らないかも知れないぞ?』
「かもしれないけど……パーティ組んでるのに勝手しちゃったから……」
確かに今回は独断専行もいいところだが……。
『しかし……今回の事は仕方がない。あのまま二人を放置すればこの村とどんな確執を生むことになっていたか……』
その影響はカノンにも出てきてしまうだろう。
そうなってからでは遅いのだ。
「……ハク、リーゼさんに知らせるのは任せていい?私は村の人たちに伝えるから」
『おう、俺だけならレセアールまですぐだしサクッと行ってくるとしようか』
「お願いね……。正直…少し怖いから……」
怖いって……。
切れたカノンの方がよっぽど怖いと思うんだが……。
「へぇ~、そんな怖いんだ~」
「『…………」』
気のせいかな?
今、後ろから聞こえてきた声、リーゼに似ているような気が……。
「……ハク、私思ったより疲れてる見たい……幻聴が聞こえてきた…」
『奇遇だな……俺も同じこと思った』
「ハク、後ろに誰もいないよね?」
『そんな事確認できんよ……振り返ればすぐだろ?』
「ハクは振り返らなくても見えるんだからその方が良いじゃん」
後方確認を押し付けあう俺とカノン。
うん。
俺もカノンも気がついてはいる。
しかし、見たら終わりなきがして振り向けない。
「仲良く押し付けあわないでよ……それと、ハクさんの声もしっかり漏れてるからね?」
再び聞こえた声に観念したカノンが、恐る恐る振り向く。
「り、リーゼさん……」
『よ、よう……』
そこにはとてもいい笑顔のリーゼが立っていた。
何故か村人たちと一緒に。
「カノンちゃんや…」
その中から村長が歩み出る。
「あの…村長さん……すみません…勝手に」
申し訳なさそうに謝るカノンを村長が手で制す。
「カノンちゃんが謝る事じゃないよ。元はと言えば儂等大人がしっかりしていれば良かったんじゃ。儂らが不甲斐ないばかりにカノンちゃんにしりぬぐいをさせてしまった。申し訳ない」
そう言って深々と頭を下げる村長。
そして、そこにいる村人たちも口々に謝りながら頭を下げる。
「え…あの……」
『カノン、これだけは言っておくが、こういった問題ってのは大人の仕事だ。本来ならここに居る村の大人が頑張らないといけない問題だったんだ。それが出来ていればカノンの出番はなかったし、そもそもあの二人もここまで増長することもなかっただろう』
「ハクさんの言う通りだよ。結果的にカノンが出てきたことで無事に解決できたからよかったけど、そうじゃなかったら大変なことになってかもしれないんだから」
「でも……もとはと言えば私の両親の……」
『それは違うぞ』
「ハク?」
『そもそも親の責任が子供に来るなんてあってはならないんだ。あの二人のしでかすことはあくまであの二人の責任であって、カノンの責任になったらダメなんだよ』
「ハク…ありがとう」
お?
少しだけ笑顔を見せてくれたか?
「カノンちゃんや…フレッドたちの事は責任を感じることじゃないんじゃぞ?」
「それ…もう言われてますよ?」
俺と似たような事を言った村長にリーゼからそんな指摘が入る。
すると村長は嬉しそうに笑った。
「そうじゃったか。カノンちゃんはいいパートナーに出会えてという事じゃな」
あれ?
俺、ここの人たちに存在知られてるのか?




