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到着

結局、その後はペースを落として進むことになった。


ペースを落としているといっても、充分に速く、5日でレセアールが見える距離まで来れてしまったが……。


ムードラの町も立ち寄らずに通過し、そのまま南の森も突っ切った。


その結果がこれではあるのだが、流石にリーゼの疲労具合は酷そうではあった。


「リーゼさん?」


「…だ、大丈夫……」


死にそうな顔でそんなことを言われても……。


今の時間は夕方ではあるが、ここからなら走る必要もないだろう。


『カノン、そろそろ歩こう。このままだと倒れるぞ?』


「う、うん。そうだね」


俺の言葉に頷いたカノンは、そのままゆっくりとペースを落としていき、そのまま歩きに移行する。


「か、カノン?どうしたの?」


「疲れたからもういいかなって」


そう言って悪戯っぽく笑うカノン。


「わ、私はまだ……」


『このまま走ってたら多分倒れるぞ?町に入る辺りで……』


既にふらふらしているリーゼに言う。


まぁ、カノンもカノンでだいぶ疲労がたまっている様子なのは間違いないが……。


『まぁ、カノンが疲れているってのも間違ってはないな。魔装なしでここまで走ってきたんだし、流石に行きみたいにはいかないだろうしな』


「……それでもカノンには勝てないんだよね……」


少しだけ悔しそうな声で呟くリーゼ。


『カノンと張り合うのはやめた方が良いと思うぞ?アイリスよりはましだがそれでも大概普通とはいいがたいからな』


「ちょっと?」


あれ?


カノンからとても冷たい声が聞こえてきたぞ?


『か、カノン?』


「なんか好き勝手言ってるけど、私の能力の殆どってハクのだからね?」


怒気をはらんだ声が響く。


やばい。


怒らせてしまった……。













その後カノンにこってりと絞られつつも、レセアールの町に入ることが出来た。


ギルドに向かって歩きながら街並みを眺めているカノン達。


「なんか久しぶりって気がするね」


『あぁ……そりゃ一か月以上いなかったんだしな……』


「ハクのテンションが低いような……」


当たり前だ。


怒ったカノンほど怖いものはないからな。


「さっきのはハクが悪いと思うけど……」


リーゼが隣でそんなことを呟く。


自覚はしてるさ。


だから大人しく反省してるんだよ……。


そんな話をしつつもギルドの前に到着し、カノンが扉を開ける。


すると、その場にいた冒険者たちが一斉にこっちを見て、そのまま目を見開いた。


「おい!嬢ちゃんたち帰ってきたぞ!」


「まじか!誰かギルマスに報告行け!」


何か大騒ぎになってきたな……。


「えっと……」


始めてみるレベルの大騒ぎにカノンが首を傾げる。


「おぉ嬢ちゃん。戻ったならすぐにギルマスんとこに言ってやってくれ。お前さんを待ち望んでたぜ?」


近くにいた冒険者にそう言われた。


何かあったのだろうか?


いや、通信魔道具で伝えた事の延長だとは思っているが……。


それにしては冒険者のこの慌てようは……。


「どうする?」


『むしろこれで行かないって選択肢があるのか?』


「……ないよね…」


カノンは少しだけ落ち込んだ様子だが、流石に無視も出来ないと分かっているのだろう。


大人しくロンの部屋に向かうのだった。


「よく考えるとカノンって…ギルドの偉い人と縁があるよね……」


カノンの後ろを歩いているリーゼがそんなことを呟く。


確かに……。


『言われてみるとそうだな……』


「色々巻き込まれてるからね……」


前を歩くカノンがそう漏らす。


まぁ、大体は巻き込まれたことによる縁だよな。


アイリスの場合は少し違う気がするけど……。



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