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特訓ついでに

カノンとリーゼは行きと同じように走っていた。


この方がレセアールまで早くつけるし、何よりリーゼが特訓になるからとそれを希望したからだ。


「リーゼさん?大丈夫?」


カノンから少し遅れて走るリーゼにカノンが声を掛ける。


「う、うん。これくらいは大丈夫!」


少しだけ息が上がっているリーゼだが、竜化スキルを使って何とかカノンに食らいついているようだ。


因みにカノンは今回は魔装ではなく竜装を使っていたりする。


魔装では流石に速すぎてリーゼが付いてこれないし、竜装使った方がカノンに取ってもいい特訓になるからだ。


因みに、竜装と竜化は使用条件が違うだけで、低レベル帯で出来ることはほとんど同じだ。


しかし、何故カノンの方が余裕があるのか。


それは単純に、身体強化スキルのレベル差と魔力量の差だろう。


まぁ、それでもカノンにとっては魔装を使って走るよりはるかに大変だし、魔力消費も多いように感じる。


魔装の場合は足だけに余剰魔力を集中させているので、意外と燃費はいい。


それでもアイリスより先に魔力切れになるのは単純にアイリスとカノンの魔力と基礎体力の違いだろうな。


話を戻すと、竜装の場合は体全体を満遍なく強化する。


正確には、身体強化の上にバフを掛けていると言った感じか?


体力自体を底上げしているようなものではあるが、魔装のようにピンポイントでは使えない分どうしても無駄がある。


とは言っても、魔装は本来自分の魔力で鎧を作るイメージのスキルで、本来の使い方をしたことは殆どない気もする。


カノン得意の高速移動も、あくまで魔装によって発生した魔力の塊を魔力制御スキルで動かすことで実現している。


スキル本来の能力ではなく、応用によって実現している能力と言える。


本来の使い方をせずに応用だけを極めているのもどうかとは思うが、カノンの場合はどうしても防御に重点を置いてしまうとカノンの良さを発揮できないので仕方ないか?


カノンの場合はスピードを生かして戦うし、そもそも魔装など保険程度にしかなっていない。


保険としては優秀ではあるが、使う機会は殆どない。


そういった事を考えると、今の使い方が魔装の力を一番引き出しているのかも知れないな。


気になることもあるにはあるが、その辺はもう気にしないようにしているし……。






その後2時間ほど走り続けたカノン達は、道の脇にある広場で休憩することになった。


ここは乗合馬車や商隊、旅人の為の休憩スペースだ。


簡易的な井戸が設置されていて、誰でも自由に使うことが出来る。


この国では、主要な道路には一定間隔でこういった休憩所が設置されているらしい。


なんでも、こういった場所を設置することで商人や旅人が町の間を移動しやすくなり、物流も人の流れも活性化していくのだとか。


ただし、こういった場所は言わば水場なので盗賊や魔物もいついてしまう事があるようだ。


なので、定期的に騎士団や依頼を受けた冒険者が安全を確認したり手入れを行っているらしい。


そういった維持費だけでもかなりの金額になりそうなものだが、それでも維持をしているという事はそれ以上の経済効果があったという事か…もしくは赤字でも国のためになんとか維持をしているのか……。


まぁどちらにせよ、こういった場所があるのは有り難いな。


「リーゼさん?」


カノンが心配そうに隣に倒れ込むリーゼを見る。


「……す、少し休ませて……」


息も絶え絶えなリーゼからそんな返事が返ってきた。


「ハク?」


『流石にきついだろうよ……そもそも何でお前は平気なんだ?』


魔力消費的にはカノンにもかなりの疲労が蓄積していても可笑しくないんだが……。


「平気じゃないよ?大変だったし」


あっけらかんとそんな事を言うカノン。


『なるほどな……ならお前が疲労を感じ始めた段階で休憩するかペースを落とせばリーゼにとって丁度いい感じか?』


「それで大丈夫なの?」


『まぁ……大丈夫とは言えないかも知れんが……ある程度のペースは維持できるだろうな。それかペースを落とすか……』


一番いいのはリーゼが無理なく走れるペースに合わせることではあるが、そう簡単にはいかないかな?


リーゼもリーゼで特訓の為って言って無理するし……。


『おーい、リーゼ?どうしたい?』


「……このままで……大丈夫…でも……休憩は……増やしていい?」


『お、おぅ…』


「は、はい…気を付けます……」


流石にリーゼをここまで追い込んだ責任は感じるのか、素直にうなずくカノンであった。



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