結末
報告書は数枚の紙に渡って面倒くさく書かれていた。
それを要約していくと、まず、闇ギルドに関してだが、流石に巻き込んだ形だったとは言えアイリスを襲ったことに関しては冒険者ギルドと貴族家双方から追及をされてしまい、その結果として表立っての活動は当分の間出来なくなってしまうだろう。
それだけかと思わないでもないが、闇ギルドはいわば必要悪の側面もあるため、ギルドとしてもこの国としても切り離すのは難しいようだ。
ただし、流石に無傷とはいかなかったようで、闇ギルドにとって不利な約束事を色々とさせられてはいるようだ。
因みにそれとは別でカノン達に向けて闇ギルドから提案もあった。
その内容は、もし今後カノン達が冒険者としては対処できない問題があり、それが闇ギルドの管轄であった場合、一度だけではあるが闇ギルドとして全力でサポートすると言った内容だ。
あまりうれしくない味方ではあるが、敵対するよりマシであろう。
迷惑料代わりではあるだろうが……。
因みに今回の件に関して、闇ギルドも解決のために動いてくれたらしい。
主に、闇ギルド経由以外の暗殺者を雇っていたかどうかの確認をしてくれたようだ。
その結果、犯人の男が依頼をしたのは闇ギルドに対しての一回だけで、他の刺客の心配はなさそうだった。
ひとまず、新しい暗殺者の心配はしなくてもよさそうである。
次に、アイリスの実家であるレセアール家に関してだが、こちらも闇ギルドと何らかの契約を交わし、それで手打ちにしたようだ。
というか、アイリス自身がこの件を実家に関わらせることに消極的であったし、そもそも勝手に出張ってきてそのまま自分たちに有利な契約を交わしてしまうあたり、中々にやり手なのかも知れない。
まぁアイリスとしては、利用されたようで面白くないだろうが……。
そして、一番気になっている主犯の男についてなのだが、どうやらカノンの暗殺未遂以外にもいろいろと余罪が出てきたようだ。
まず、俺たちも気になっていた闇ギルドへの依頼料の出所なのだが、これについては実家の金を持ち出していたようで、この男の家からも責められることとなった。
いくら自分の息子や孫でも、勝手に金を持ち出すような輩は許さないと騎士団に訴えたらしい。
よって、そのまま男はその方面からも罰を受けることになったようだ。
報告書には書かれていなかったが、男の実家がここまで大事にしたのは自分たちが今回の一件の共犯者だと思われたくはなかったからではないかと思う。
いくら男が勝手にやったことであっても、それをおとがめなしにしてしまうと関係を疑われる可能性もある。
しかも相手は冒険者ギルド、そして貴族であるアイリスだ。
問題になれば立場はかなり悪くなってしまうだろう。
というわけで、男は有期の犯罪奴隷としての強制労働が課せられることになった。
普通、人を殺そうとしたのなら無期でも可笑しくはないのだが、そこは貴族だからだろうか?
しかし、いくら期限が決まっているとはいえ、今まで貴族として過ごしてきた男にとって奴隷落ちはこの上ない屈辱だろう。
『っとまぁ、こんな感じだな』
「なるほどね……もし家のお金に手を出してなかったら結果は違ったのかな?」
俺の説明を聞いたリーゼがそんなことを呟く。
『そうだな。そこまでは書かれていないが、刑期が変わるだけで結末自体は変わらなかった可能性もあるぞ?』
恐らく、ギルドに喧嘩を売った段階でこの結果は決定していただろう。
そこに、別件が増えてそのまま刑期が伸びるって感じではないのだろうか?
「まぁでも、なんかすっきりしたかも!」
カノンがそういいながら伸びをする。
確かに、これでようやくすべてが終わった感じはあるな。
後はレセアールに帰れば……新しい問題が待ってるんだっけか?
一難去ってまた一難……。
これ、どうにかならんのだろうか?




