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最後の授業

「はい、今日はここまでです!」


訓練場に教師の声が響く。


今日は授業の最終日。


明日から学園は一か月ほどの長期休暇となる。


そして、それを以ってアイリスの依頼も終了となるわけだ。


因みにセレンたち新入生は、明日から学園の寮に入ることになる。


そして、一週間後には授業が始まるらしい。


とは言っても、クラスなどは仮の物で、その成績によって正式なクラスに振り分けられるようだ。


この間に冒険者登録も行い、一か月後から始まる本格的な授業に備えるようだ。




話が逸れたが、今はマルガレーテ達がいるクラスの授業が終わったところで、今日の最後の授業となった。


「ふぅ……これでここでの仕事もひと段落か~」


そんなことを呟きながらアイリスが体を伸ばす。


「そうですね……因みに少し気になっていることがあるんですけど……」


カノンが言いにくそうにアイリスに話を振る。


「え?何?」


「いえ…最近リーゼさんを見かける頻度が少ないような気がするんですけど……」


そういえば……ここの所二日か三日に一回くらいしか見かけないな。


「あ、それ?リーゼちゃんは特別メニューで特訓中なのよね」


『特別メニュー?』


アイリスの口から出るとなんだか不穏な雰囲気のする言葉だな。


「リーゼちゃんの要望で、短期間で強くなる方法を少しね」


短期間……ね。


『カノンを意識しているのか?』


「多分そうだと思うわよ?だって私から見てても普通の人が普通に特訓するだけだとカノンちゃんには追い付けないもの」


「そうですか?」


アイリスの言葉に俺が納得する反面、当の本人は首を傾げている。


「そうよ、カノンちゃんって、少し前まで普通の村娘だったのよね?それが今じゃCランク冒険者じゃない」


「……そう言われてみれば…」


アイリスに説明されようやく納得した様子のカノン。


「でもそれってハクのおかげのような……」


そうでもなかったか?


『確かにスキルに関しては俺の能力の恩恵もあるし、魔力も俺の能力なのは確かだが……それだけで戦えるほどこの世界甘くはないだろ?アインを見ていて俺はそう思ったぞ?』


セレンとアインを比べてみるとよく分かる。


セレンは戦士系だしアインは魔術師系ではあるが、それでもスペックではアインの方が上だった。


それが今ではセレンの方が格上になっている。


これは、セレンのセンスももちろんあるだろうが、セレン自身の努力の賜物だろう。


「確かにスキルがあれば戦いの幅が広がるって言うのは間違いないけど、スキル頼みじゃCランクまでは上がれない。それは間違いないわね」


そこまで言うとアイリスはそのままカノンから視線を外し、空を見上げる。


「だから、リーゼちゃんの特訓もスキルを鍛えるって言うのとはちょっと違うのよね。スキルに頼らない動きを出来るようにって感じかしら?それだけで大分動きは変わってくるわよ」


『なるほどな……確かにスキルに現れない部分は俺にもどうにも出来んし……思えばカノンはその辺り器用なんだよな』


「そうかな?」


『魔装だってそうだろ?あの高速移動も本来は魔装の能力じゃない。あれは魔装で集まった魔力を再使用しているだけで、スキルとして構築された技じゃない』


「そういえばそうだけど……あれはただ単に思いついただけで……」


「そういうひらめきを実行するのがカノンちゃんの強さよね……」


カノンの言葉を聞いたアイリスが思わずと言った様子で呟いた。


確かにそうだな。


『で、リーゼの特訓ってのもそういった頭を使うものなのか?』


何となくアイリスに聞いてみる。


するとアイリスは不敵な笑みを浮かべた。


「それは本人から聞いてみて?……っと、私達を呼んでいるみたいだし行きましょうか」


そう言ってアイリスが歩き出す。


見ると、確かに教師がこちらに向かって手招きしている。


カノンは少し慌てたようにアイリスを追うのだった。



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