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トラウマ再び

《そっか……あの二人がね……うん。僕もきな臭いと思うよ》


あの後カノンに代わって内容を話した所、そんな返事が返ってきた。


「そうですよね……」


《だから、あの二人の面倒さは僕も十分に分かってるから、こっちでも動いてみるよ。上手くいけば領主軍とかも巻き込めそうだしね》


得意げな声が聞こえてくるが、一体どうするつもりなのだろうか?


この通信魔道具相手では俺は話すことが出来ないのが残念だ。


「えっと……何をするんですか?」


《それはまだ秘密。でも、こっちで情報を集めてはおくからカノンさんはそっちの依頼を完遂してから戻ってきてくれればいいよ。と言ってももう少しで終わりじゃないかな?》


「そうですけど……分かりました。よろしくお願いします」


《任せてよ。というか、あの二人が何か企んでるかもなんて話を聞いて無視するなんてできないからね……昔それでどんな目に遭ったか……》


最後の方は小さな声だったがしっかりと聞き取れたぞ?


というか、本当に何があったんだ?


《……あ、なんだか胃が痛くなってきた……というわけでごめん。戻ってきたら調査は終わらせておくから》


そんな声と共に通信が切れた。


「……大丈夫かな?ギルドマスター……」


『まぁ……胃薬飲んで寝てれば治るだろ……』


「ギルマスって過去に何があったのよ……」


向こうの声は聞こえないまでも、カノンの様子と最初のロンの反応で向こうの状況を何となく察した様子のアイリスが首を傾げていた。












「なるほどね~、多分……って言うか間違いなく私が冒険者になる前だけど、ギルマスも苦労したのね」


ギルドからの帰り道、カノンから説明を受けたアイリスがしみじみと呟いた。


『そもそもギルドどころか貴族にまで喧嘩売るような奴らだ。当時はまだ一般職員だったって話だし、そうとうたちの悪い相手ではあっただろうな』


「貴族に喧嘩って……正直言ってよく生きてられたわね…その二人……」


「運が良かったんだと思います。それでも反省しないのは流石だと思いますけど」


『運がよかったってか……そもそも普通は貴族に喧嘩は売らんぞ?』


この世界、貴族と平民の命の重さは平等じゃない。


だからこそ、その辺のチンピラすら貴族らしき相手には喧嘩を売ることはしない。


「まぁ、その冒険者をやってた貴族って人も相当なお人よしだったのかしらね?」


アイリスがそんなことを呟くと、カノンが不思議そうな視線を向ける。


「どうしたの?」


カノンの視線に気が付いたアイリスが首を傾げる。


『どうしたもこうしたも……よく考えてみるとアイリスみたいな冒険者だったんじゃないかって……』


「アイリスさんも貴族なのに冒険者やってて……絡まれてもとくに問題にしてないですし……」


いままで、アイリスが絡まれた……というかナンパされてたりと言った現場には遭遇したことこそないが、その結末に関しては見たことがある。


その時アイリスは、相手を叩きのめしてはいたがそれ以上には事を荒立てなかった。


その気になれば、領主軍に引っ張っていってもらうことも出来たはずなのにだ。


「あ~、私の場合は私自身の体裁とかどうでもいいからね~」


そう言って苦笑するアイリス。


「私って、例えば公の場で貴族として何かしているときに絡まれれば対処はするけど、それはあくまで家の品位を落とさないためで、本音を言っちゃうと面倒だから放っておきたいのよね」


あぁ、確かに大事にすれば事後処理も面倒にはなるのか。


『そういえば……貴族の冒険者ってそれなりに居たりするのか?』


何となく疑問に思ったので聞いてみることにした。


「いるには居るわよ?私みたいに高ランクの冒険者は少ないけど、例えばカノンちゃんの同室のテイマーの子、あの子も貴族だけど冒険者登録はしているはずよ?学園の生徒は基本的に冒険者登録しているはずだしね。後は趣味で冒険者をやっているのとか……単純に戦うことが好きだから冒険者をやってるって人にもあったことあるわね」


『色々いるんだな……』


貴族って、もっと近寄りがたいイメージがあったんだが……。


「……アイリスさんが特別なのかと思ってました……」


カノンが呟くと、アイリスは遠くを見て苦笑していた。


アイリスが冒険者をやっている理由。


多分、普通の理由ではないのだろうな。


まぁ、今聞き出そうとも思わないが……。


「私はまぁ……特別だからね」


そう言ってウインクをしたアイリス。


その特別にはどんな意味が籠っているのか、察することはできてもそれを口に出すような野暮はしないことにした。





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