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授業終了

「そこまで!」


「ふ~、こんなもんかしら?」


教師の終了の合図とともに大きく息を吐くアイリス。


アイリスの周りには、息を切らしながらその場に座り込む生徒たちの姿がある。


今回は全員が最後まで攻めていたので、全員がグロッキーのようだ。


因みに一番頑張っていたニコは、アイリスの前で地面に突っ伏している。


別にアイリスに落とされたとかそんわけではなく、教師の合図とともにそのまま倒れたのだ。


「えっと……ニコさん?大丈夫ですか?」


そんなニコにカノンが近づいて声を掛ける。


「…………」


しかし返事は帰ってこない。


「えっと……立てます?」


再度カノンが声を掛ける。


「……………………む……り…」


暫しの沈黙ののち、今にも消えそうな声が返ってきた。


うん。


だろうね。


最後の方は正直気合だけで動いているような状態だったし……。


寧ろあの動きを最後まで続けたのだから大したものだ。


「このままでいいのかな?」


カノンが心配そうに呟く。


『よくはないが……自力で動けそうにはないぞ?』


下手に歩かせることも出来そうにない。


多分、カノンが支えても起きることすらできないだろう。


まぁ、スタミナが尽きているだけだし、しばらくこのままにしておけばそのうち動けるようにはなると思うが……。


「スライム使ってもいいからお願いできない?」


俺に動かせと?


別にいいけど……。


『寝かせたまま動かすけど、仰向けにはするからな』


この体勢でスライムで掬い上げると、そのまま窒息しかねない。


俺はスライムをニコの下に滑り込ませる。


そしてそのままニコを仰向けにして、スライムで作った板に載せるようにして掬い上げる。


息を切らせながらもそんな光景を間近で見た生徒たちは息をのむ。


カノンのやっていることは、普通の人間にはできないことなのだから。


しかしカノンは周りの様子など気にした様子もなく、そのまま訓練場の隅に移動していった。











訓練場の隅に寝かせたニコは、少しして体を起こした。


「えっと、大丈夫ですか?」


隣に座っていたカノンが心配そうに聞く。


「大丈夫、ありがと。少し疲れただけ」


少しってレベルじゃなかったが……。


現に他の生徒は倒れたりしていない。


というか、ここまで頑張っていたのはニコだけだ。


因みに他の生徒も今は休憩中だ。


この後の特別メニューの為に体力を戻しておこうとしているのかも知れないな。


どんな特別メニューなのかは知らないが、話を聞いた時の生徒たちの反応を見るに地獄なのは間違いないだろう。


「……カノンさん」


息を整えていたニコがカノンに声を掛けた。


「え?どうしました?」


突然声を掛けられてカノンは少し困惑するも、返事を返す。


「さっきの勝負を見て、私に足りないものって何か分かる?」


「足りないもの…ですか?」


カノンが困ったように答える。


ニコは真剣な表情でカノンを見つめている。


「そうですね……」


その顔を見て、本気で知りたいのだと感じたカノンは、さっきの戦いを振り返って考える。


俺も思い返してみようか……。


まず、スピードに関しては問題ない。


寧ろ、カノンに迫れるスピードは並みの冒険者を軽くしのぐだろう。


周りの状況をよく観察して動いてもいた。


これに関してはカノン以上だ。


周りの生徒の動きに気を配ったうえで、自分はどのように動くべきかを瞬時に判断し、それを実行する。


口で言うのは簡単だが、実行するとなるとその難易度はけた外れだろう。


っと、そこまで考えて、ふとある事実に思い至った。


『なぁカノン……』


「ハク?どうしたの?」


『俺、ニコに足りないもの分かったかもしれない……』


何となく確信めいたものを感じつつ、カノンを通してニコに伝えることにした。


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