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ハーフの少女

「ねぇ」


カノンが新しい技をどう活用するか考えていると、隣から声を掛けられた。


隣にいるのはカノンと互角に渡り合った少女以外にはいない。


「えっと、はい?」


まさか声を掛けられるとは思っていなかったのか、少し驚いた様子でカノンが返事をする。


「カノンさん?でよかった?さっきはいい経験になった。ありがとう」


そう言ってわずかにほほ笑みを向けた少女。


「え?あ…はい。こちらこそ」


淡々とした口調の少女だ。


カノンにとっては初めて経験するタイプだったようで、少し戸惑いつつも返事を返す。


「……」


しかし、それだけ言ってそのまま黙ってしまった。


セレンとは違う意味での無口なのだろうか?


「あー、えっと……」


カノンはカノンで何とか話を続けようとするが、どう続けていいものなのか分からないようで、口に出す言葉を探していたりする。


「あ、名乗ってなかった。私はニコ。よろしく」


そう言って淡々と自己紹介してくれた少女。


「えっと、ニコさん?よろしくお願いします」


「えぇ、よろしく。カノンさん、私に何か聞きたそうな顔してるけど、何が聞きたいの?」


その言葉を聞いたカノンが驚いた顔をする。


確かに今のカノンには、ニコに聞きたいことがあったはずだ。


しかし、それは顔に出していないつもりだったのだろう。


「えっと、何で分かったんですか?」


気まずそうにカノンが聞く。


「顔に出てる」


端的に答えたニコは、そのまま黙ってしまった。


これは、質問していいという事なのだろうか?


「えっと……ニコさんのさっきのって何だったんですか?」


カノンよ……。


いくら許可らしきものがあったとしても唐突過ぎやしないか?


「さっき?あ、これの事?」


そういったニコにはいつの間にかウサギのような耳が生えていた。


「はい、それです」


その耳を見つつカノンが頷く。


ニコはそんなカノンを微笑ましそうに眺めつつ、口を開いた。


「これは別に特別なスキルじゃない。ただの獣化スキル」


獣化スキル?


確か獣人が持っている、竜化の獣版みたいなスキルだよな?


見た感じ、ニコは獣人ではなさそうだが……。


「獣化ですか?獣化って獣人のスキルなんじゃ……」


カノンも同じことを思ったようで、首を傾げる。


「私は獣人と人間のハーフ。だから見た目は人間で獣化を使える。でも獣人の獣化とは別物」


ハーフか。


そんなのもいるんだな。


そりゃ同じ生活圏で生活をしているのだから異種族で結婚しても不思議じゃないが……。


そもそも異種族間で子供が生まれるとこうなるんだな……。


俺が納得していると、カノンは少し不思議そうな顔をしていた。


「ニコさん?」


カノンが心配そうにニコの顔を覗き込む。


ニコの眼もとには、わずかに涙が浮かんでいたのだ。


「カノンさん、貴女は私をどう思う?」


淡々とした口調でニコがカノンに聞く。


「どうって……凄いなーって思いますけど?」


カノンがそう答えると、ニコの顔にわずかに驚きの感情が見えた。


「だって、私は竜の力を使えますけどそれもハクのおかげで私一人じゃできません。でもニコさんは自分の力で変身できるんですよね?凄いじゃないですか!」


カノンがそういうと、ニコはわずかに口をゆがめる。


「不気味だと思わないの?耳生えるんだよ?」


「そんなもの、私なんてなんでも出てきますよ?ハクのせいですけど」


なんでもって……。


『そんななんでも出したかな?』


「スライム、マンイーター、ゴブリンの手、サーベルボアの角、翼、……」


『すまん、俺が悪かった』


カノンがそんな単語の羅列を呟きだした瞬間に謝った。


うん。


色々出してるわ……。


因みにカノンのその言葉に、ニコが目を丸くしている。


「カノンさん?貴女って封印者(シーラー)だよね?何を封印したらそうなるの?」


「あ~、えっと……あはは~」


無理やり誤魔化すカノン。


いや、誤魔化せてはいないからな?


「えっと、私の封印者(シーラー)としての固有スキルは竜装です」


「竜装?竜にそんな能力を持っているのが?」


「その内お教えしますよ」


カノンはそう言って笑った。


とはいえ、こんな能力を持っている竜など限られているだろうし、調べれば簡単に分かるのだろうな。


「って、そんな事より私だってこんなですけどみんなによくしてもらっているんです。だからニコさんも大丈夫ですよ!」


そう言ってニコの手を取るカノン。


ニコは少し驚いた後、笑みをこぼしたのだった。




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