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「そこまで!」


教師の声が訓練場に響く。


「ふぅ…」


その言葉を聞いたカノンが魔装を解除して一息つく。


それと同時に、カノンの目の前にいた少女も元の姿に戻った。


そしてその場にへたり込む。


「無念…」


少女の落胆した声が聞こえてきた。


結果はカノンの勝ちだ。


あの後仕掛けてきたのは少女のみで、他の生徒は誰も仕掛けてこなかった。


というか、二人が速すぎて誰も仕掛けることが出来なかったというのが正しいだろうか?


「カノンさんの勝ちです。というか、何で後半誰も攻めなかったんですか!?全員で攻めれば勝てたかもしれませんよ!」


教師による説教が始まってしまったが……。


まぁ、言っていること自体は間違ってはいない。


これはあくまで鬼ごっこで、別に下手に仕掛けてもケガをしたり死ぬわけじゃない。


寧ろ、異次元の戦いを安全に経験できる貴重な機会だっただろう。


因みに、最後までカノンを攻めていた少女はお説教には巻き込まれず、カノンの隣で座り込んでいる。


軽く息が上がっているだけのカノンとは違い、限界間近だったようだ。


アイリスはというと、カノン達からも教師からも離れた場所でのんびりと待っている。


というか、さっきまでで生徒たちの動きを観察していたようだし、もしかすると自分の立ち回りを考えているのかもしれないな。


『しかし…意外な強敵が居たな』


カノンが一息ついたタイミングで声を掛ける。


「うん。凄かったね」


カノンはそう言いながら自分の横で休んでいる少女に視線を向ける。


少女は息を整えるのに必死でカノンの視線には気が付いていない。


「スピードには自信があったんだけど……もっと頑張らなくちゃ」


そう言って密かに拳を握るカノン。


これ以上早くなるつもりか……。


『そういや、さっき空中で移動したよな?どうやったんだ?』


呆れついでに思い出した。


あれのからくりを聞いておきたい。


「え?別に……普通に蹴っただけだよ?」


しかしカノンはきょとんとした後でそんなことを口にした。


蹴っただけって……どんな脚力なんだよ……。


魔装の高速移動の応用なのだろうが、難易度が桁違いじゃないのだろうか?


「えっと、多分魔力を蹴ってたんだと思う」


カノンが少し考えながら口を開いた。


説明してくれるらしい。


カノンの説明を要約すると、魔装の一部を消費しているのは高速移動と同じで、違う点は地面の上か空中かという事だけらしい。


ただし、この場合魔力の流れが少し違っており、地面で使った場合は足に魔力を集めた身体強化の一部発動のような状態だったのに対し、空中で使うと足先から余剰分の魔力を放出し、それを蹴ることで推進力を生んでいるらしい。


カノンとしては全く同じ運用をしただけのつもりだったのだが、何故か挙動が完全に違うものに変わってしまっていた。


これについてはカノンにも分からないようだ。


「ハクは何か知らない?」


『知らないって言われても……初めて見たし、魔力感知もしてなかったからな……』


正直、そこまで気にしていなかった。


同じ運用で挙動が変わるというのは危険だし、原因を解明してカノンの意思である程度制御できる、もしくは条件を把握しておかないと、いざというときに大変なことになるかもしれない。


『どっちにしろ、原因がわかるまではこの空中移動は封印だな』


「……実戦だけ?」


カノンが渋々と言った様子でそんなことを聞いてくる。


『あぁ、むしろ訓練では積極的に使ってみて検証するべきだろうな。ある程度理解が深まれば実戦でもつかえるだろう』


それを聞いたカノンの顔が明るくなった。


そんなに使ってみたかったのか……。




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