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新しい訓練

翌日


カノンとマルガレーテは日が昇る前に訓練場に来ていた。


この訓練場は寮の裏手にあり、学生が自主練をするのに使っているらしい。


印象としては予備の訓練場と言った感じなのだが、その設備は中々しっかりしている。


まず、的に使えるものも各種揃っており、基本的には自由に使える。


そして訓練場を囲む壁には魔法陣が仕込まれていて、魔法が当たった場合はその魔法を拡散させて威力を減衰させ、そのまま消滅させてしまうという。


なので壁にはいくつか的が描かれており、威力の低い魔法なら態々的を出してこなくても訓練出来たりもする。


なので寮生には中々人気があるんだとか。


とは言っても時間が時間なので誰もいなかったりするのだが……。


マルガレーテは朝練は欠かさずしているらしいが、それでもこんな時間から始めたりしないらしい。


ではなぜあこんな時間に来たのかというと……。


「ハク、準備はいい?」


『あぁ、いつでもいいが……』


カノンの訓練を見に来ていたりする。


参考になるかも知れないからという事で、カノンに合わせてここまで来たのだ。


因みに俺は既に召喚されている。


今日の訓練は魔銃の扱いメインだ。


というわけで、俺は自分の周りに火の球を浮かべた。


火属性のファイヤーボールだが、発射準備の段階でその場に留めている。


これで動かない的の完成だ。


俺とカノンは10メートル程の距離を取っているので射撃の難易度はある程度は高いだろう。


『いつでもいいぞ』


「うん」


俺の言葉にカノンは頷くと、魔銃を構えた。


そして火の球に狙いを付けて引き金を引いていく。


ボン……ボン……ボン……ボン


そんな調子で魔銃に撃ち抜かれた火の球が小規模な爆発を起こして消えていく。


狙うのにかかっている時間は約1秒程度。


静止している的とはいえ、未経験でこれだけの速度で狙いを付けられるのは凄い。


そして10秒ほどですべての的を撃ち抜いたカノンは、魔銃を収納に仕舞って一息ついた。


「ふぅ……どうだった?」


そういいながらこちらに近づいてくるカノン。


『そうだな。狙いは正確だから問題はない。後はいかに早く狙えるか、それを極めていけばいいんじゃないか?』


寧ろそれ以外に思いつかん。


「うん。でも魔法の方が狙いは付けやすいよね。なんでだろ?」


カノンがそう言いつつ無詠唱でフレイムアローを放つ。


フレイムアローは訓練場の壁に描かれている的の中心に命中しかき消えた。


片手間のように撃ったフレイムアローで、あっさりと的の中心を射抜いた。


恐らく発射まで1秒もかかっていないにも拘らずだ。


まぁ、これについては何となく理由は分かっている。


『そもそもイメージで撃てる魔法と腕で狙いをつけなきゃいかん魔銃は一緒にならんだろう……』


真っ先にこれが原因じゃないかと思った。


というか、それ以外に理由は思いつかない。


「どういう事?」


『発射地点と軌道をイメージして、その通りの魔法を打つのと、軌道をイメージしてから実際に腕を動かしてその軌道に合わせなきゃならない魔銃では一緒にはならないってことだ』


カノンがこれほどまでに魔法をスムーズに撃てるのは魔力制御スキルのおかげだろう。


制御能力が高いおかげで思った通りの魔法を瞬時に生成できる。


しかし、魔銃にはそういったスキルは乗らないため、自分の力で狙いを合わせに行かないといけない。


とはいえ、魔法の精度にしてもやけに素早いとは思うが……。


『結局は体が覚えてしまえば魔法と同じようには使えるはずだ。後は練習あるのみだな』


「うん、頑張る……ってことでもう一回お願いね」


とてもいい笑顔でそんな事を言われると、断れないのがつらい……。


















『ふぅ……今日はこんなもんだろ』


そのあと数回同じことを繰り返し、ある程度形になってきたところで俺がストップをかけた。


「…………うん」


それに納得していないようなカノンは渋々魔銃を収納に仕舞う。


『忘れてるかも知れんが、日課の訓練もあるんだぞ?』


「あ、忘れてた」


カノンには日課にしている訓練がある。


それをないがしろにするわけにも行かんからな。


ついでに、カノンから少し離れた所で魔法の練習をしながらちらちらとこちらを見ているマルガレーテも誘ってみるべきだろうか?



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