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武器屋にて

薬屋を後にしたカノン達は、再び王都散策をしていた。


とは言っても、そうそう目が留まる店もなく、ふらふらと店の軒先を眺めながらギルドの方向に向かって進んでいくのだった。


『しかし、必要なものはないのか?』


何となくカノンに聞いてみる。


思えば、その場その場で必要なものを購入したことはあったが、こうやって買い物をしたことはなかったはずだ。


カノンはカノンで村での生活のせいかあまり何かを買おうと考えないし……。


「う~ん、何か必要な物ってある?」


カノンが隣を歩いているリーゼに振る。


「え?必要なもの?そうだな~、今のところないかな……、消耗品はストックを確認してからじゃないと怖いし……」


リーゼが考え込むそぶりを見せる。


確かに、まだ在庫が大量にあるのにまた買ってしまうのは避けたいが……。


「リーゼさんの武器もまだまだ時間がかかりそうだし……、防具?」


不意にカノンがリーゼの全身を眺める。


リーゼの来ている防具は軽装だ。


急所は守れるようになっている、動きやすさを重視した革製の鎧。


カノンのようなオーダーメイドではないが、それなりに高価な物だろう。


しかし、よく見ると傷も多いし買い替えとまでは行かないにしてもメンテくらいはした方が良いような気もする。


『リーゼ、その防具、最後にメンテしたのはいつだ?』


「え?宿に泊まってるときには毎日してるよ?」


違う。


そういう事じゃない。


「リーゼさん?武器屋とかに見て貰ったのはいつですか?」


カノンが聞くと、リーゼはゆっくりと顔を逸らせた。


こいつ、まさか……。


「え~っと……」


『まさか……全くないとか言わないよな?』


「あはは~」


笑ってごまかすな。


ついでに言うと全く誤魔化せていないぞ?


「リーゼさん、いい機会だし見てもらった方がいいんじゃ」


「そうだね……。しばらく学園の依頼もあるし……、その間に頼んでおこうかな……」


リーゼがそう言いつつ鎧を見る。


『確かに今から頼めば刀と一緒に貰えるかも知れないしな』


「そうだね。じゃあこれからセシルさんのとこ行ってみよ」


カノンがそういうとリーゼも頷いた。


















「こんにちは~」


そんな声と共にカノンがセシルの店の扉を開ける。


「いらっしゃーい……ってあれ?カノンちゃん達じゃない?どうしたの?刀はもう少し待ってくれると……、もしかして魔銃壊れちゃったりした!?」


何故か慌てだすセシル。


「い、いえ、壊れてません!今日はお願いがあって……」


カノンが少し焦ったように否定し、そのままリーゼの方を見る。


「リーゼさんの防具のメンテナンスをお願いしたいんですけど……」


「え?あ、あぁ、防具ね……」


無理やり平静を装ったセシルはリーゼが来ている防具を眺める。


「ふーん、これ、買ってから一回もメンテナンスに出してないでしょ?駄目だよ~、自分で出来ることにも限度があるんだから」


半目でリーゼを見ながら防具の状態を確認していくセシル。


「あ、あはは。お金がなくて……」


叱られている事を自覚しているリーゼは苦笑しつつそういった。


「お金がなくても武器と防具は最優先でお金回さないとだめだよ?いざって時にこまるからね……っと、これなら明日には終わるかな?じゃあ奥で防具預かるね。あ、奥に更衣室あるからそこで着替えていくといいよ」


「あ、はい。カノン、服お願い」


カノンから服を受け取ったリーゼはそのまま奥へと消えていく。


防具だけなら服まで着替える必要はないと言えばないのだが、流石に違和感があるらしく普段着を着ることを選んだようだ。


「さて、着替えるまで多少は時間かかるだろうし……カノンちゃん。魔銃の使い心地はどうかな?」


先ほどまでの雰囲気から一変、わくわくした様子のセシルがカノンに迫る。


「え?えっと……」


しかしカノンは反応に困った様子だ。


まぁ無理もない。


魔銃を使ったのは二回だけ。


正直、訓練もなしに使う気にはなれないし、そもそも王都の宿で訓練が出来るはずもなく、殆ど日の目を見ていないのだ。


『あ~、実はな……』


ここで誤魔化すのは魔銃を作ったセシルに失礼だろうし、俺が説明することにしよう。


ついでに、どこか訓練できそうな場所がないかも聞いてみることにしよう。




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