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宿なしの危機

「じゃあ、前の宿には泊まれないって事?」


カノンが説明を終えたのち、リーゼの問いにカノンは頷いた。


「一応、アイリスさんの家の問題もあるみたいだから……私達だけが別の宿に泊まる分には問題はないかなって……考えてはみたんだけど……」


『それすると後でアイリスに文句言われそうだな』


俺が思わず呟くと、カノンとリーゼが同時に頷いた。


「それもあるけどアイリスさんに言われたし……。別の宿はダメだって」


あぁ、確かに言われたな。


『けど黒幕は捕まったんだし大丈夫じゃないのか?』


確かに、依頼を受けた人物が他にいないとは限らないが……。


「正直言って、私は同じ状況で身を守れる自信はないかな……。カノンだけならなんとかなるかも知れないけど、私が足を引っ張りそうだし」


リーゼが落ち込んだ様子で言う。


確かにリーゼの能力は普通のDランク冒険者程度だろうが……。


刀さえあればCランク程度の能力はありそうではあるが。


どっちにしろ、昨日のような奇襲を受けて無事で済むとは思えない。


カノンも俺も、守れるだけの余裕はないかも知れないしな。


『案としては、ギルドでアイリスも泊まれそうな宿を紹介してもらうか……安全策を取るのなら一旦学園の敷地内で夜を明かすかだな』


いくら何でも、あの学園の中に侵入してくる馬鹿はいないだろう。


「でも……泊めてもらえるかな?」


しかしカノンは首を傾げる。


まぁ、部外者だしな。


「どっちにしてもアイリスさんと相談じゃないかな?というかアイリスさんなら勝手にそっちの話も進めてそうだけど」


言われてみると……。


リーゼの言う通り、アイリスはそういう性格だった。


というか、ある程度の話がついたら気配察知などを駆使して俺たちを探し出すだろう。


なら、それまで自由に散策していてもいいかもしれないな。











そんな感じで王都散策をすることが決まったのだが、土地勘のない二人組だ。


下手に行動範囲を広げて厄介ごとを呼び込むのはどうかということになり、学園からギルドまでの道のりで何か見つけたら寄り道してみようということになった。


というわけでカノン達が歩き始めて5分ほど、不意にカノンが足を止めた。


『カノン?どうした?』


「これ、なんだろう?」


カノンが見ていたのは店の前に並べられた薬草だ。


「薬草?」


リーゼがカノンの目線を追う。



「うん。でも見たことない種類だなって」


カノンがそういいながら不思議そうに薬草を眺める。


『カノン?お前薬草に詳しかったか?』


「そんなことないけど、レセアールじゃ依頼受けてたし多少は勉強したよ?」


カノンが苦笑しながら言う。


確かにレセアールでの生命線だったが……。


いつの間に……。


『しかし薬草ってことは……薬屋か?』


「みたいだね。せっかくだし買ってく?」


リーゼがカノンに聞く。


「どうしよう?薬って使ったことなくて……」


そういえばカノンが使ったことがあるのって魔力回復用のポーションだけだったか?


『確かに薬を買った所を見た記憶はないが……、村でもか?』


「う~ん……少なくとも私は見た事ないかな?村に来てた商人さんも持ってきてなかったと思うし……」


カノンが昔の記憶を引っ張り出しながら言う。


そうだとすると何かあった時に大惨事になりそうではあるが、この世界ではそういうものなのだろうか?


「それに今だと傷も出来ないし」


あぁ、カノンが怪我しても高速再生ですぐに治るからな。


それも傷跡すら残らないように完全に……。


しかしだ。


『カノンはいいが……リーゼは問題だぞ?俺の高速再生はリーゼには使えないんだしな』


「あ、そうだね。じゃあ……何がいるんだろう?傷薬?」


カノンが困ったようにリーゼを見る。


「あ~、一応自分の分は持ち歩いてるんだけど……確かに補充はしたいし覗いて行こ。何がいるかは分かるから大丈夫だよ」


リーゼはそういうと店の中に入っていった。


カノンも入り口の薬草に目を引かれつつ中に入っていく。


というか、何であんなに興味持ってるんだ?


何かあるのだろうか?



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