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確保完了

カノンが男を縛り上げ、そのまま闘技場の出口を潜ると、そこにはアイリスとリーゼが待っていた。


「あ、カノンちゃん、終わった?」


何処かのんびりした口調で言うアイリス。


「はい、弱かったですよ」


『しかし……ここまで来てたんなら中に入ってくればよかったのに』


俺がそういうと、リーゼが気まずそうに顔を逸らし、アイリスが苦笑した。


「ごめんね。でも、闘技場の中から出てきたらここで止めないといけなかったしね」


ここ以外にも出口はあると思うんだが……。


「アイリスさんが面倒がっただけじゃないですか」


「り、リーゼちゃん!それは内緒で!」


さらっと暴露された内容にアイリスが慌てる。


「はぁ、別にいいですけど、これ、お願いしてもいいですか?」


ため息を吐きつつ男を縛っているロープの先端をアイリスに差し出すカノン。


「えぇ、それくらいは引き受けるわ。で、どうだった?地下通路の感想は?」


「え?感想と言われても……」


『正直言って、別に何とも……あぁ、照明用の魔道具は面白そうだったな』


俺たちの感想にがっくりと肩を落とすアイリス。


「カノンちゃん?ここに上がってくるときに魔法陣付きの扉無かった?あれ、私最初は開け方分からなかったんだけど……」


あぁ、そういえばそんなものあったような……。


「えっと、それならハクが……」


「あぁ、ハクがあっさり開けてくれたんだ」


「壊しましたけど」


「壊した!?」


カノンの言葉に叫び声をあげるアイリス。


『いや、正直壁にしか見えなかったし…自由にしていいって』


「限度ってものを考えなさいよ!うわー、これ私が学長に頭下げないといけない奴じゃない……」


そういいながらがっくりとうなだれるアイリス。


「そうならないように最初に言っておけば良かったんじゃ……」


隣のリーゼがそんな事を言うが、追い打ちをかけているようにしか見えんぞ……。


「だって……カノンちゃんは魔法陣の事ってあまり知らないだろうし勉強にはちょうどいいかなって……まさか魔法で固めた壁を壊すなんて思わないじゃない……」


それも地下で……。


そんな声が最後に聞こえたかと思うと、アイリスは顔を上げてカノンを見た。


「そもそも地下で壁壊すって危ないわよ?」


「あ、はい。すみません……」


何故か素直に謝るカノン。


はて?


カノンは別に壊しては……。


いや、壊そうとはしてたな。


だから謝ってるのか……。


別に気にしなくてもいいと思うのは俺だけだろうか?















その後学園の外に待機していた騎士団に男を引き渡し、カノンとリーゼは王都を散策していた。


アイリスはリーオへ報告へ行ったのだが……、怒られているのだろうか?


まぁ、自由にしていいって言ったのはアイリスだし、取り返しがつかないことはしていないはずなので大丈夫だろう。


カノン達は行かなくてもよかったのかと思わないでもなかったのだが、今回は俺たちが思っている以上に話が大きくなってしまっていたようで、当事者とはいえあまり外部に漏らせない内容もあったらしい。


まぁ、それもこの件が収束していないからなので、片がついたらアイリスから説明がある予定ではある。


というわけで町へ繰り出した二人だったのだが……。


「で、どこ行くの?」


「……どこ行こう?」


リーゼの疑問にカノンが疑問形で返す。


うん。


分かっていた。


王都の地理にも詳しくない二人が外に出たとしても、こうなるって事くらい……。


『お前ら……』


「む、ハクはどこかいい案でもあるの?」


むっとした口調で聞いてくるカノン。


『そりゃ……』


言いかけて言葉に詰まる。


まぁ、候補はないっちゃない。


しいて言うのなら今日の宿だが、下手するとレセアール家で厄介になるかもしれんしな……。


こればっかりはアイリスとクラウスのやり取り次第化か。


「ほら、ハクもアイデア無いじゃない」


カノンが勝ち誇ったように言う。


『まぁ……よく考えれば王都をゆっくり観光するのって初めてだしな』


この町に来て行った場所と言えば、学園、武器屋、レセアール家、ギルドくらいの物だ。


そして、今の時間は午後3時くらいで中途半端なのだ。


ギルドで依頼を受けるには遅すぎるし、かといって日が暮れるまでにすることもない。


というか……。


『その前に……今日の宿どうするかアイリスと相談してなかったよな?』


「あ…」


俺がそう呟くとカノンが声を上げる。


対してリーゼは首を傾げている。


「え?宿がどうかしたの?」


あぁ、そういえばリーゼは宿を引き払った事は説明してなかったから知らないのか。


「あはは……えっと……」


カノンもそのことを思い出したようで誤魔化す様に笑いつつも説明を始めた。



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