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地下通路の出口

カノンが壁を壊すという暴挙に出ようとしていたので慌てて止めたはいいが、さて、今回はどうしようか。


ぶっちゃけ、手段などいくらでも思いつく。


例えば、以前闇奴隷を扱う商会の地下に侵入したときと同じように収納を使えば簡単だし、マンイーターの溶解液で壁を溶かすという方法もある。


溶かすのは、壊すのと同じに思えるが、溶かしながら周りを地属性の魔法で補強していけば生き埋めのリスクは低くなる。


そうなると、安全なのは収納に壁を一部ずつ入れていくことなのだが、今回は少し方法を変えてみることにする。


『カノン。壁に触れてみてくれないか?』


「え?うん、分かった」


カノンが壁を静かに触る。


触ったことで確認できたが、この壁自体には魔法陣のようなものは存在しない。


魔力捕食が発動しないのですぐに分かる。


で、ここからだが、壁を硬化させるというのは、地属性のレベル1から出来る魔法だ。


やっていることは単純で、自分の触れている土、もしくは岩などを操作することが出来るアースコントロールという魔法を使って土を圧縮、固定しているだけだ。


因みにこの魔法、コントロールとは言うもののそこまで精密な操作はできない。


精々が圧縮、もしくは丸や四角などの単純な形への成型が限界だ。


しかも、成型に関しては正直使う機会がない。


地属性にはアースウォールなどの、地面にある土や石を直接使う魔法があるのだから、態々細かな調整が必要なこの魔法は使う機会がないのだ。


まぁ、こういった地下道や、建物の基礎を作る工事の際には便利らしいが……。


話が逸れたが、この壁は魔法で固めてはあるものの、魔力を持っているわけではない普通の壁だ。


ならば、多少固いだけの土の壁などどうとでもなる。


俺はカノンの腕からマンイーターの蔓を出す。


そしてその蔓を壁に当て、そこから根っこを出して壁の中にめり込ませていく。


「ハク?」


『なんだ?』


そんな光景を見ながらカノンが話しかけてきた。


「これ、時間かかる奴じゃないの?」


あぁ、確かにそう見えるわな……。


『いや、心配はいらん…………よし、カノン、力籠めて引いてみろ』


「え?うん……あれ?」


ボゴン!


カノンが両手で蔓を掴んで引くと、そんな音と共に壁が円状にくりぬかれた。


「え?なにこれ?」


『根っこで壁に切れ込み入れたんだよ。後は引っ張れば脆くなった切れ込み部分から壊れるって訳だ』


「で、ここはどこ?」


俺の説明を聞き流しながらカノンが穴を潜る。


穴の直径は1メートル程で、壁の厚みは30センチほどだったらしい。


その先には、石造りの階段と通路が続いているが、地下通路とは違って手入れをされた痕跡もある。


『どこかの地下室か?何にせよここが地下通路への正規の入り口なのは間違いなさそうだな』


カノンの後ろをを見てみると、壁の一角にぽっかり空いた穴と、その上にある魔法陣が目に入った。


恐らく、あの魔法陣がこの壁を動かす回路なのだろう。


足跡を追ってしたばかり見ていたので気が付かなかったが、恐らく中にも同じ魔法陣があったのだろう。


そこに魔力を流せば壁が動くなりして入り口が開く……と。


もう少し周りを観察すればよかったか……。


「どっちに行ったらいいのかな?」


カノンの目の前には、地上に続いていると思われる階段と、地下通路とは少し違う、恐らく何かの建物の地下室と思われる場所がある。


『とりあえず……ここ塞いどけば逃げ場はないだろうし上に行ってみるか』


俺は収納からちょうどいいサイズの岩を取り出し、穴の前に設置する。


「じゃあ階段上がってみるね?」


カノンが階段を上っていくにつれ、気配察知の感度も元に戻ってきた。


壁を隔てた先にアイリスとリーゼの気配があるのが分かる。


そして、別の方向に一人だけ別の気配を見つけた。


それが恐らく俺たちが追いかけている奴だろう。


『階段を上った正面に一人いる。後は……外にアイリス達がいるな』


「じゃあ先に捕まえる?」


そうだな……。


合流している間に逃げられる可能性も考えると……。


先に捕まえに行った方がいいか……。


『気配察知も仕事してるしアイリスもこっちに来てくれるだろう』


希望的観測ではあるものの、最悪合流が遅れたとしてもカノン一人で如何にか出来なくはないと思っている。


まぁ、それもこの階段の先にいるのがあの守衛の男だった場合だが……。



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