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忘れられた仲間

ギルドで新しい冒険者カードをもらったカノンは、そのままギルドを後にした。


アイリスは次の目的地が決まっているようで、その足取りに迷うそぶりは見られない。


『アイリス?何処に向かってんだ?』


「騎士団の詰所よ。騎士団にはさっさと動いてもらわないとね」


そう言ってニヤリと笑うアイリス。


正直怖い。


「でも、詰所の方は難しいかもって言ってませんでしたか?」


「難しいとは思うわよ。多分牢まで見せては貰えないでしょうし、そもそも管轄の問題もあるしね。でも、このままじっとしていても仕方がないし、行ってみて考えればいいでしょ?」


まぁ、行動しないよりはマシかも知れんが……。


もしかするとこの二人、忘れているのではないだろうか?


リーゼの事……。


『因みに確認するが、リーゼに対して伝言とかは残してるんだよな?』


俺がそういうと、二人が同時に足を止めた。


「……カノンちゃん…宿を出るときに何かお願いしてきた?」


「いえ、アイリスさんが宿の人と話していましたし……」


そう言う二人の頬を冷や汗が垂れる。


『つまりリーゼは帰ってきても宿はもぬけの殻で、二人の足取りも分からない……と?』


「そ、そういう事になる…かな?」


珍しく焦った様子のアイリス。


『で、あの守衛とはカノンと一緒にリーゼもあってるからカノンの仲間ってことはバレてるはずだ。下手するとリーゼも襲撃の対象になりかねんのだが……何も知らない状態で如何にか出来るか?』


正直、生徒を連れて学園に戻るまでは大丈夫だと予想している。


生徒の中には貴族もいる上に、学園の依頼の最中を襲えばどうなるか分からないはずはない。


闇ギルド自体はこの件からは手を引くという話だが、それ以外のルートの刺客がいないとも限らんしな。


そういった意味では、ある程度までは自力で対応できるカノンよりも、リーゼの方が危ないという事にもなるわけで……。


『どうする?アイリスの話ではそろそろ町に戻ってくるんじゃないのか?』


既に日は高くなっている。


「……カノンちゃん…行先変更してもいい?」


「……何処にでしょうか?」


「学園。リーゼちゃんはそっちに戻ってくる筈だからそこで捕まえて今回の経緯を話しましょう」


「それがいいですね」


確認のための会話と言った感じだ。


というかその前から二人の中では結論は出ていただろうな……。


二人は詰所から行先を変え、いつもより急ぎ気味に学園を目指すのだった。













カノン達が学園に着くのと、リーゼが学園に戻ってくるのは殆ど同時だった。


リーゼは生徒たちを事務所に送り届けると、カノンに言われて事務所の片隅にある応接スペースで今回の出来事の説明を受けたのだった。


「カノン…よく無事だったね……」


経緯を聞き終えたリーゼが開口一番、呆れたような口調で口を開いた。


「あはは……ハクのおかげで何とか……。でもハクがいなかったら死んでたかも……」


カノンは苦笑しつつ返す。


『まぁ……姿は見えるのに気配はないって結構不気味だったぞ……。まぁ、見えてる時点で対処は出来るが』


「普通は見えないから対処できないんじゃない……」


カノンの横で話を聞いていたアイリスが呆れたような口調で言う。


「そういえばアイリスさんは気配が分かったんですか?」


ふと思い出したようにカノンが聞く。


しかしアイリスは首を横に振った。


「いえ、残念だけど私にも気配は分からなかったわ。でも私の場合は気配を感知できない時の戦い方も熟知してるし、あらかじめカノンちゃんから話を聞いてたから対策出来ただけよ」


対策か……。


しかしアイリスでも感知できないとなると……。


『能力的にはマンイーターの擬態スキルみたいなもんか?』


「多分そうね。隠密系のスキルなのは間違いないけど、あの手のスキルは数が多いしどれもこれも似たような能力だから一回戦っただけでどのスキルかは分からないわ。でも、マンイーターよりは優しいと思うわよ?向こうは私じゃ見つけられないもの」


『あれは俺たちも鑑定頼みだからな……。今回みたいなのは通用しないし新しい感知方法を考えないとな……』


正直、気配察知は便利ではあるがその限界も見え始めている。


気配察知のレベルを上げて上位スキルを獲得するか、今あるスキルでの新しい感知方法を見つけるのは必須だろう。


もしくは、嗅覚探知のような気配以外を感知できるスキルを探すか……。


「私たちが使えるのって……鑑定と気配察知と嗅覚探知……」


「後は私の竜感知くらいかな?」


カノンとリーゼを合わせて合計4つの感知能力だ。


『後は俺の眼か?』


「正直それが一番反則だと思うんだけど……」


カノンがそう呟くとアイリスとリーゼも頷いた。


「でも…話を聞く限り闇ギルドはもう襲って来ないんでしょ?あの守衛さえ捕まえればゆっくり考えることも出来るんじゃない?」


リーゼがそういうと、アイリスは頷いた。


「ひとまずはそれで大丈夫だと思うわよ。問題はその守衛の奴をどうやって探して捕まえるかね」


確かにそれは一番難しい……って、待てよ……。


『なぁ、その守衛ってここに勤めてるんだよな?』


「え?えぇ」


俺の問いにアイリスが頷く。


『それなら……』


俺は守衛の行動を少し考えてみることにした。


その結果、俺たちにとって都合のいい結果になっている可能性に思い当たった。


これ、もしかすると後一時間くらいで解決するかも……。





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