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連合軍

「カノンさん!無事で……え?」


男を捕えてしばらくして、マルガレーテが到着した。


その後ろに大勢の兵士を引き連れて。


マルガレーテには今回、不審な男に尾行されていると自分の家に報告してもらった。


友達と居る時に狙われたので、誰を狙ったのかは分からないとは伝えているだろうが、子供とはいえ貴族に手を出そうとする不審者を放っておくわけもなく、マルガレーテの家の私兵が出張ってきたのだ。


そしてこれは、マルガレーテからの提案でもあった。


自分が話をすれば、私兵を動かすくらいはしてくれるというマルガレーテは、学園に待機しているらしい連絡員に報告、王都の屋敷から私兵が直ちに出動したというわけだ。


その私兵には、カノンが囮になって交戦していると伝えられていた。


というか、マルガレーテ本人もまさか決着がついているとは思っていなかったらしい。


「えっと、カノンさん?そちらの方が犯人でしょうか?」


マルガレーテが指さす方には、マンイーターの蔓でぐるぐる巻きにされ、ついでに顔をスライムに覆われた男が倒れている。


この男、何か特殊な訓練でも受けているのか、10分以上スライムに覆われて息ができないようになっているはずなのに意識を失う気配がない。


いや、正確には正常な状態ではない。


意識は半分程度はないだろうが、それでも何とか逃れようと奮闘している。


まぁ、蔓で締め上げられているので周りからは分からないだろうが……。


「あ、はい。でもまだ意識はあるみたいで……ハクが窒息させようと頑張ってます」


カノンが苦笑気味にそういうと、マルガレーテの後ろの兵士たちから声が上がる。


「でもマルガレーテさん、なんだか多くないですか?」


カノンがマルガレーテの後ろの兵士たちを見ながら呟く。


それに対しマルガレーテは苦笑した。


「そうなんですよね。最初は家の私兵だけで来る予定だったんですけど、学園の警備兵、ついでに騎士団もいます。あと冒険者も数名……」


確かにやけに立派な鎧を着ているのもいるけど……。


そして確かに服装は三種類に分かれているな。


後は確かに冒険者もいるようだ。


前に町に入るときに話をした冒険者も居るしな。


入り乱れているから分かりにくかったが……。


で、なんだって学園の警備兵や騎士団まで出張ってきてんだよ……。


「学園の警備兵の皆さんは、学園の目の前で起こった出来事の鎮圧……という名目です」


名目って……。


恐らく、あの門番が手配してくれたんだろう。


「えっと、じゃあ騎士団と冒険者の皆さんは?」


カノンが首を傾げると、集団の中から騎士風の人物と、前にあった冒険者の男が前に出てきた。


「嬢ちゃん、よく会うな」


そう言って片手を挙げたのは冒険者の方だ。


確か名前は……サンドロ……だっけ?


「えっと、サンドロさん?どうしてここに?」


お?


カノンも名前を憶えていたか……。


「あぁ、俺たちは簡単な理由だよ。嬢ちゃんたちはギルドの依頼を受けている最中に尾行、いや、妨害されたって訳だ。ならこの件はギルドの依頼を遂行中の冒険者に向けられたものであり、ギルドに対しての敵対行動になる。そんなのをギルドは放ってはおかないからな。報告が上がった時にギルドにいた冒険者が出てきたってわけだ」


そういえばセシリーは依頼を受けている最中だったな。


そもそもその依頼の物を取りに来たらこうなったんだし。


「騎士団の方は学園側と似たようなものですね」


サンドロの説明が終わったのを見計らって口を開いたのは20代くらい若い騎士だ。


「初めまして、騎士団のギリアムと言います。グレゴール魔法学園は国営の施設です。ですので、学園の警備兵が動く場合は状況に応じて我々も動くことになるのです」


そう説明してくれたギリアムだが、要は学園の警備兵で手に負えないと判断する場合はってことだよな?


何でこの程度の内容で出張ってきてんだよ……。


「まぁそれは通常の場合ですね、今回はたまたまです。巡回中に学園の警備兵が走っていくのを見かけたので、合流しただけです」


なるほどな……。


騎士団に関してはたまたまだったというわけか……。


しかし、そうするとこの男にとっては運が悪いということになるだろう。


実は途中から耳だけは塞がないようにしていたんだが、冒険者、騎士団と聞いたぐらいからいきなり大人しくなった。


今だ意識を失っていないことには驚きだが、大人しくしているのなら引き渡しもしやすいだろう。


というか……。


『これ、どいつに渡したらいいんだ?』


「えっと、これって誰に渡せば……」


俺の言葉をカノンが伝えてくれた。


それに最初に口を開いたのはギリアムだった。


「そうですね、我々は流れで来ただけですし、ギルドか学園のどちらかでも構いませんよ?」


「そうだな……。俺たちとしては身柄は確保したいが……それはそっちもだろうしな……」


サンドロは学園の警備兵の方を見つつそう呟く。


これ……長くなりそうな予感がする……。



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