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セシリーの特技

翌日、カノン達は再び森の中に戻る学生を見送り、町に戻ってきた。


アイリスとリーゼはこのまま護衛兼引率を続け、明日の夜には町に戻ってくる予定だ。


町に戻ってきたカノン達は、まず学園に向かい事務所に向かい課外授業の終了報告を行った。


その後カノンたち4人は何故かギルドに来ていたりする。


あぁ、因みにカノンが今日と明日自由時間ということは昨日カノンの元に戻った際に伝えてある。


で、何で4人がギルドに居るのかというと、セシリーの一言が原因だ。


「お金がないです……」


マルガレーテは貴族なのである程度の小遣いも貰えているし、学園で必要なものは買ってもらえる。


それに対して平民のセシリーは元々あまり裕福ではないため授業料などは別にしても生活費は休みの日に自分で稼いでいたようだ。


なのでこのままカノンの為に王都を案内しようとしていたマルガレーテとソフィアに申し訳なさそうに自分はギルドで金策をすると伝えた所、せっかくなので全員で依頼を受けようと言うことになったのだ。


学園の生徒は殆どがギルドに登録しており、基本的にはその全てがFランクかEランクらしかった。


これには理由があり、単純に授業がある日は依頼を受けることが出来ないからだ。


基本的に学生がギルドに登録する理由は昨日のような課外授業で手に入れる素材の買い取り目的や、ソフィアのようにお金を稼ぐためだ。


とは言っても基本的に戦い方も学んでいる学生であるため、ギルドの試験は問題なく突破できるらしい。


しかし、休みの日だけ依頼を受けてもランクアップまでは遠く、卒業するまでにDランク以上に上がれる生徒はほとんどいないらしい。


因みにマルガレーテはEランクで、セシリーとソフィアはFランクらしい。


話が逸れたが、セシリーの金策という目的のためギルドを訪れた4人は、そのまま掲示板を眺める。


「所でセシリーさん?どんな依頼を受けるつもりですか?」


「はい、考えていません!」


マルガレーテの質問に対しすがすがしいまでの笑顔で答えるセシリー。


カノンとソフィアは、それでいいのかと言った表情でセシリーに視線を向けた。


「えっと、受けられるのはDランクまでですよね?それだとあんまり選べませんよ?」


カノンがそういいながら掲示板の一角を指差す。


そこはFからDランクまでの依頼が張られている場所なのだが、依頼表はほとんどなくめぼしい依頼は他の冒険者に取られた後のようだ。


それをじっと見つめていたセシリーは、やがて一枚の依頼表をはぎ取った。


そこには、《薬草の納品》と書かれていた。


『ん?薬草って常時依頼じゃないのか?』


俺は思わずそう呟いた。


「あの、薬草って常時依頼でありますよね?」


カノンが代わりに三人に聞いてくれた。


そして三人は、何かに納得したような顔で説明してくれた。


確かに薬草は常時依頼、つまり、ギルドに持っていけば換金してもらえるのだが、これは薬屋からの直接の依頼らしい。


曰く、ギルド経由で出回っている薬草は品質も種類も不安定で、基本的には出回っているときに買いこむらしいのだが、どうしてもすぐに欲しい場合はこうして依頼を出すことがあるらしい。


こういった依頼の特徴として、数量や種類、そして品質が指定されていることが多い。


そして、出回っていない薬草ということはそれだけ見つけにくいという事だ。


その分、報酬は常時依頼よりも高く設定されているらしいので、上手くやれば稼げる依頼だ。


「えっと、大丈夫なんですか?」


カノンが心配そうに聞く。


ランクはFランク。


カノン以外は受けることが出来る。


しかし、受けることが出来ても達成できるかどうかは別問題だ。


しかしセシリーは、自信満々と言った顔をしている。


「大丈夫です!これなら私育ててますから!」


自信満々にそう言い切ったセシリー。


うん。


確かに達成する自信はあるだろうな。


自分で育てているのなら採取に行く必要もないだろうし。


というか、どこでだ?


「セシリーさん?貴女一体どこで……」


マルガレーテ達にも心当たりはないらしく、不思議そうに呟いている。


「寮の裏手です。誰でも自由に使える畑があるじゃないですか」


得意げな顔でそういうセシリー。


畑って、そうやって使うものだっけ?


「それって……大丈夫なんですか?」


カノンがマルガレーテ達に聞く。


「一応は問題ありませんよ。そもそも裏手の畑なんて日当たりも悪くて誰も使っていませんでしたから」


苦笑しつつ説明してくれた。


その後詳しく聞いた所、その畑は申請さえすれば寮に住む生徒は誰でも使えるらしい。


元々は、お金のない生徒が学園に掛け合い用意された場所らしい。


しかし、日当たりが悪く元々畑ではなかった場所を無理やり畑にしたため土壌の栄養もない。


そんな悪条件の畑はいつしか誰も使わなくなっていったそうだ。


そこを使って薬草を育てていたとは……。


「薬草って、種類によっては日当たりが悪い方が良かったりするんです。あの畑は丁度良かったんですよ!」


どや顔でそんなことを自慢するセシリー。


意外な特技があった物だな……。



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