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課外授業を終えて

オーガを倒した後は特に珍しい事はなかった。


他の班が取り逃がしたらしいオークを5体見つけたのだ。


何故分かったのかというと、気配察知で他の班が戦闘をしていたことには気が付いていた。


そこから複数の魔物の気配が逃げたことを確認し、それを追いかけたのだ。


まず俺とアオが飛び出し、アオが威圧しつつ足止めをしている間にカノン達が追い付いた。


後はアオの威嚇に恐怖して足を止めているオークをサクッと倒して終了だった。


因みに内訳はアオとマルガレーテが2体ずつ、ソフィアとセシリーが合わせて1体だ。


今回はカノンが手を出す必要すらなかった。


マルガレーテも気配察知はレベル1ではあるが持っているらしく、戦闘により気が立っていたオークの気配は充分に感知できていた。


後はカノンが保険として気配察知で追いつつ、アオが先行した時点でもう捕えたのは確定だった。


戦いに関しても、危なげなく戦えていた。


ソフィアに関しても最初に会った時にはオークから逃げていたので最初は弱いのかと思っていたのだが、二人でかかれば一体だけなら仕留める実力はあるようだ。


そして、オークのポイントは10ポイントなのでオーガと合わせてこれで150ポイント達成でノルマクリアとなった訳だ。


そんなわけで班に分かれた場所が集合場所になっているので戻ってきたのだが、そこには一人しかいなかった。


「おや?カノンさん達ということは臨時編成の班が一番でしたか」


カノン達の姿を見て意外そうに言ったのはリーオだ。


何で学長直々にここにきてるんだ?


「学長先生?なんでこちらに?」


マルガレーテもリーオがいるとは思っていなかったらしい。


「面白そうでしたので来てみたのですが、何故かここの担当をすることになりました」


誰かが仕事を押し付けたらしい。


「そ、そうでしたか……。あ!これが証明部位です」


マルガレーテがそう言って三人分の証明部位を入れた袋を渡す。


「拝見します。おや?オーガですか?それも二体も……」


「は、はい。アオちゃんが群を見つけてくれたので……」


「なるほど、群ということは他にも?」


「あ、はい。三体はカノンさんに引き受けてもらいました」


気まずそうにそういうマルガレーテ。


「なるほど、しかしよく倒せましたね?オーガは強いはずですよ?」


「アオちゃんに威圧してもらって三人で総攻撃しました」


尋問のように質問してくるリーオだが、不正がないかの確認の為だろう。


そうして一通り質問をし終えたリーオはそのままカノンに視線を向ける。


「所でカノンさん、カノンさんから見てこの三人はどうでしたか?あぁ、別にカノンさんの中の白竜さんの見解でも構いませんよ?」


「え?えっと……ハク?」


いきなり質問されて困ったカノンがこっちに振ってきた。


『結局俺かい……。まぁ……戦いに関しては安定重視って感じだったな。無理をせずに安全圏を常に確保していた印象だ』


「えっと……安定重視に見えたって言ってます。安全圏も常に確保してたって……」


「なるほど、白竜さん、ありがとうございます。ならばマルガレーテさんたちの課外授業はこれで終了で構いませんよ」


そう言ってマルガレーテに何かを手渡すリーオ。


それにカノンが首を傾げていると、マルガレーテが説明してくれた。


「本来この課外授業は数日かかることもあるんです。普通はオーガなんて狩れませんし、そうなるとオークなどをたくさん倒す必要があります。しかし魔力が持たないのでこの場所で野営して数日森に籠ることになるんです。ですが、今日のように予定より早くノルマを達成した場合、これを学園の事務所に提出することでこの課外授業が終わるまでは休みになるんですよ」


なるほどな。


確かにここで何日も他の生徒が終わるのを待つのも……何日も?


『なぁカノン?俺、この課外授業が何日もかかるって聞いた記憶ないんだけど……』


「うん、私も聞いてないと思うよ?犯人誰かな~」


楽しそうな声でそういうカノン。


それを見た三人とリーオまでが引いている。


「か、カノンさん?この授業の事はどれくらい……」


マルガレーテが勇気を振り絞って聞いてきた。


「アイリスさんに、今日は町の外で授業をするって聞いただけですよ?」


「それはアイリス君が原因じゃ……」


ボソッと呟いたリーオの言葉に三人が頷く。


そしてカノンはその笑顔を森の方に向けた。


「ハク?アイリスさん探せる?」



『探せるかって言われると……』


気配察知を発動してみたが、流石に分からない。


アイリスの気配なら覚えているので多少距離が離れていても探せなくはないのだが、流石に気配察知の圏内にいないとどうしようもない。


『どうせここで野営するんだしその内戻ってこないか?』


既に日は傾き始めている。


カノン達も戦闘は二回だけだったとはいえ、中々魔物が見つからなかったので捜索に相当時間を費やしてしまったからだ。


流石に今から王都に戻ったりはしないだろう。


「でもマルガレーテさん達って戻るんだよね?護衛しなくていいの?」


確かにそれはあるな。


「あ、それについてはご心配なく。これから町に向かうのは危ないですから今日はここで野営して明日の朝戻ることにします」


そういうマルガレーテに残る二人も頷いた。


「そうですか?じゃあ私もアイリスさんとお話しできそうですね」


そう言ってにっこり笑うカノン。


アイリスよ……。


今日は戻ってこない方が良いぞ?


修羅のごときカノンが待ち構えているから……。




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