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ノルマの為に

その後カノン達は目的となる魔物を求めて森の中を移動していた。


カノン達がいる班のノルマは150ポイント。


カノンはあくまで護衛なのでノルマの数には入らず、一人当たり50ポイントがノルマになるようだ。


因みにこの森、王都の近くだが魔物の生息数がそれなりに多いのだが、探し始めて30分ほど、気配察知には魔物の反応は全くない。


他の生徒らしき反応はあるのだが、人数が多いせいか先に獲物は取られてしまっているようだ。


「ハク?どう?」


『いや…全く魔物の気配がないぞ?空から探せば別かもしれんが……』


というか普段ならそうしている。


しかしこれはあくまで課外授業の一環であり、カノンの力に頼るのは違うだろう。


「えっと、マルガレーテさん?私空から……」


カノンがマルガレーテにそう提案したが、彼女は首を横に振った。


「ありがとうございます。ですがこれは私達生徒の力で切り抜けなければいけませんから」


「あ…ごめんなさい…」


「謝る必要はありません。そもそもカノンさんがそう提案してくださったということはカノンさんの索敵範囲にも魔物はいないという事ですよね?」


マルガレーテがそう聞くと、カノンは頷いた。


「ならこれ普通に探してても見つからないですよね……」


そう言って思案顔になったソフィア。


「あ!なら私探し出して連れてきます!」


いい事を思いついたかのようにそういって走り出そうとするソフィアを、マンイーターの蔓で掴む。


「ふぎゃ!」


『あ…すまん……』


足を掴んでしまったのでその場に転んでしまった……。


聞こえないとはいえ思わず謝ってしまった。


「えっと、ソフィアさん?前の事忘れました?」


涙目で起き上がったソフィアは、カノンのそんな声で冷や汗を流しながらカノンの方を見る。


「え…えっと……カノンさん?……ひっ…」


カノンを見て小さな悲鳴を上げるソフィア。


無理もない。


カノンはとてもいい笑顔をしているのだから。


ただし、目は笑っていないが……。


「ソフィアさん?前に私達と会った時の事覚えていますか?」


「は、はい……覚えています…」


カノンの表情を見た瞬間に正座をしたソフィアにカノンが笑顔のまま詰め寄る。


それに消え入りそうな声で返事をするソフィアはなんだか小さく見えた。


「魔物を見つけるまではいいです。でも、その後はどうするつもりですか?」


「あ、あの…皆さんの所まで逃げてこようかと……」


「私たちの居場所分かるんですか?森の中には私達と同じくらい人数の集団なんてたくさんありますよ?」


これは本当である。


そもそも課外授業でこの森に入っているのだから、生徒と引率の教師、アイリス達を含めれば50人ほどの人数がこの森の中にいる。


しかも殆どが狩りをしやすいようにか4~5人程度の人数に分かれて行動しているようだ。


ある程度は散らばっているとは言っても、俺の気配察知の範囲内にも3組ほど確認できる。


ソフィアもカノンに指摘されそれに思い至ったようだが、目が泳いでいるのでまだ言い訳を考えているのだろうか?


「え、えっと…皆さんがここで待ってて下されば……」


「そんなことをするくらいなら全員で探すのも同じですよね?」


言い訳をしたソフィアだがカノンに速攻で潰された。


「…………ごめんなさい」


まだ必死に何か考えていたようだが、早くも諦めた様子のソフィア。


それを見てカノンの表情もいつも通りに戻った。


「で、ソフィアさんは魔物を見つける秘策でもあるんですか?」


ソフィアの言っていたことは、魔物を見つけられるのは前提の物だった。


なのでカノンはソフィアが魔物を探す、もしくはおびき寄せる方法を持っていると考えたようだ。


カノンにそう言われたソフィアは目が泳いでいる。


これは当たりだな。


まぁ、言いたく無いことかもしれんが……。


それを見てカノンはため息を吐いた。


「別に無理に聞き出したりはしませんけど、ソフィアさんがその方法を使う場合は気配を消して見守ってますからね?私、透明になれますから」


そう言って笑顔を見せるカノンに、ソフィアは悟っただろう。


もし勝手にやろうとしてもカノンが見張っている。


つまり見られたくないことを見られるということに。


とはいえ、危険な事をするのに一人にするのは護衛としては問題があるのでそれは仕方ないとも分かっているようではある。


そんな二人を見ていたマルガレーテとセシリーは、カノンの後ろで意外そうな顔でカノンを見ていた。


まぁ、さっきまでと雰囲気が全然違うし仕方ないか……。


「あ…」


ソフィアへの説教を終えて一息ついたカノンがふと思い出したようにマルガレーテの方を見る。


「私じゃだめですけど、アオちゃんに飛んで探して貰ったらどうでしょう?」


「アオちゃんに…ですか?」


「キュ?」


首を傾げるマルガレーテとその腕の中で「自分?」と言った感じで首を傾げるアオ。


「はい。アオちゃんも空から探せますよね?」


「多分できるとは思いますけど……やったことないですし……」


「キュキュ~」


自信なさそうに言うマルガレーテと任せてと言わんばかりに張り切るアオ。


とはいえ不安ではあるし……仕方ない。


『カノン、俺を召喚してくれ。こいつに着いてく』


俺が一緒に行けば大丈夫だろう。


「いいの?えっと、ハクがアオちゃんと一緒に行ってくれるそうですので」


「キュキュ!キュ~」


それを聞いてなぜか嬉しそうなアオ。


そしてそんなアオを見て仕方ないと言った様子のマルガレーテ。


「アオちゃんが行きたいならしょうがないですね。白竜さんがいれば危険もないでしょうし……アオちゃん?お願いね?」


「キュ~!」


そう言ってそのままマルガレーテの腕から飛び上がっていくアオ……って!


俺はまだ準備ができてないぞ!?




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