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スキルと才能

その後午後までリーオの特別従業を聞いたカノン達は、リーオの案内でグラウンドに向かっていた。


グラウンドで模擬戦をして大丈夫なのかと心配したが、魔力感知で確認してみるとかなり広いグラウンド全体を覆うように結界のようなものが展開されていることが分かった。


これは魔法やスキルで発動させているタイプではなく、魔道具で展開するタイプなのだろう。


グラウンドの周りに起点のようなものがあり、そこから結界全体に魔力を流して維持しているようだ。


それに流れている魔力的にも強度は相当高いだろう。


『この結界…維持費が凄そうだな……』


何でそんな感想が真っ先に出てきたのだろう?


「結界?」


俺の独り言が聞こえていたカノンが首を傾げ、恐らく魔力感知を使ったのだろう。


グラウンドの方を見て驚いた顔をする。


「……凄いね…」


「カノン?何かあるの?」


魔力感知がないリーゼはカノンの隣で首を傾げている。


「全体を囲む結界?障壁?みたいなものが……」


「あ~、確かにこんな場所で戦えば校舎も壊れるしね……」


確かに校舎も吹き飛びかねんが、そういう問題ではない。


いや…逆に考えれば、こういった結界が必要なレベルの生徒もいる、もしくはいたという事なのだろう。


まぁ、どうやって維持をしているのかは不明だがコストは高そうだし今もあるということは必要な生徒がいるんだろうな。


「カノンさんはどうやら気が付いたみたいだね、ここの結界は魔法を遮断することが出来るから周りへの被害は考えなくてもいいんだよ。とは言っても中にいる人間が死なないわけじゃないからそれだけは気を付けてね」


「は、はい……」


つまり戦う相手には結界は関係ないので死なないように気を付けろということだ。


ついでに言うと、カノンのメイン武器である魔法剣は使わない方が良いだろう。


「ハク?どうする?」


『風属性の魔法メインでやれば殺しはしないだろう。おまけで魔銃の弱モードでどうだ?』


あれなら石つぶて程度のダメージだ。


頭に直撃でもしない限り死にはしない。


骨の一本や二本程度は覚悟しないといけないかもしれんが……。


「…あの…怪我とかは大丈夫なんですか?」


「あぁ、それは心配いらないよ。この学園には優秀な治癒属性魔法の使い手がいるからね。死んでなけれな何とでもなるさ」


なんともスパルタなことで……。


まぁ騎士なんて危険な仕事もあるだろうし、それくらいじゃないとだめなんだろうが……。


「っと、もう始まっているようだね」


リーオの視線がグラウンドの方に向いた。


カノン達がその視線を追うと、中ではアイリスが数人の生徒相手に暴れまわっていた。


生徒たちはそれぞれ魔法を撃ちまくっているが、アイリスはそれら全てを躱している。


見た感じ獣装は使っているだろうが……。


因みに生徒たちの魔法が結界にあたった瞬間に消えていく。


この結界が魔法を無力化しているようだ。


リーオは遮断と言っていたが、どうやら魔力を相殺して魔法をかき消しているようだ。


どれだけ強力な結界なんだか……。


「あれ?アイリスさん、まったく音がしない?」


近づくにつれ、アイリスの戦い方に違和感を覚えた。


確かにカノンの言う通り、アイリスは飛んでくる魔法全てを躱しているのに足音が全くしない。


まるで獲物を襲う猫のように……。


って白虎だから猫の仲間か……。


「ハク、同じことできると思う?」


カノンに聞かれ、少し考えてみる。


『速度は問題ないと思う。あれくらいなら魔装で出せる』


アイリスは確かに縦横無尽に動き回って魔法をよけ続けているが、とんでもなく速いというわけじゃない。


速度自体はカノンでも出せそうなレベルだ。


ただし、それだけであの弾幕のごとき魔法を躱せる訳はない。


『問題は前後左右、ついでに上下どっちに避けるか一瞬で判断することだな、間違えれば別の軌道を行く魔法が当たる』


実際、あの中には頭が回る生徒がいるようでアイリスが避ける先を予想して魔法を撃っていそうな生徒がいる。


殆どの生徒がアイリスへの直撃コースで魔法を撃っているのにも拘わらず、たまに全く違う軌道を行く魔法がある。


そしてそれはその前の魔法を躱したアイリスのすぐ横を通り過ぎたりしているのだ。


アイリスにしてみればその程度考慮するまでもなく認識してから躱せるのだろうが、カノンに出来るとは思えない。


「ん~、無理かな?」


『少なくともあの動きは経験のなせる業だ。俺たちがやっても間違いなく当たる』


「防御は?」


『余裕』


カノンの問いに今度は即答する。


魔力感知で魔法に込められている魔力を確認したが、子供だけあって魔力の総量が少ないのかかなり抑えめにして撃っている。


あれならスライムの盾で充分防げるし、地属性らしき石つぶては物理無効で問題なく防げるだろう。


それに、そんなのを使うまでもなく……。


『カノン?お前は忘れているかもしれんが魔装は本来は余った魔力を防御に回すためのスキルだからな?』


「……そうだっけ?」


こてんと首を傾げるカノンに俺は心の中で盛大なため息を吐く。


カノンは魔装で固定化した魔力を体の一部に回すことで身体強化の延長のような事をしているが、普通はそういった使い方をするものではない。


そもそもカノンのように魔装を使うには魔力制御が必要で、魔力操作がレベル10になったとしても魔力制御を覚えるわけではないようなのでただでさえ少ない魔装の使い手にそんな使い方を出来るものはまずいないだろう。


そもそも魔装の使用条件は魔力操作と身体強化をレベル10にすることであり、この二つは才能としては完全に別物だ。


自力でこの二つのスキルをレベル10にした者が魔力制御を使える可能性はほとんどないらしい。


魔力制御はいわば魔力の扱いの才能があるという事で、その場合は身体強化も才能がある事は少ないらしい。


そして、殆どのスキルはある程度のレベルを超えると才能の有無でレベルが上がるかどうかが分かれてくるらしく、それを踏まえるとまずカノンのような魔装の使い方は出来ないだろう。


ついでに言うと、俺たちがやっている既存の魔法の範囲や威力を弄る方法は数は少なくても出来るものもおり、こちらは魔法の高等技術となっているようだ。


まぁ、これらの知識は全てさっきリーオの特別授業で学んだことだが……。




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