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スキルの勉強

その後守衛が逃げ出してしまったのでカノン達は入場手続のために事務室に来ていた。


場所は通用口からまっすぐ進んだところにある建物の一角で、アイリスもここにリーオを呼びに来たようだ。


「じゃあいくつか書類を書いてもらうのと……少し質問をさせてもらうよ」


リーオがそういいながら書類を二人の前に置く……あれ?


「あの…学長さんが手続きを?」


カノンも可笑しいと思ったのか首を傾げる。


「あぁ、せっかくだし誰かに頼むようなことでもないからね」


そういいながら書類を配り終えたリーオは、そのままカノン達の対面に座った。


「じゃあその書類を書いてもらう前に……二人ともギルドカードはあるかな?あれば出してほしいんだけど」


「あ、はい」


リーオに言われカノンは収納からギルドカードを出す。


リーゼは普通にカバンの中から取り出す。


「ほぉ…収納魔法……いや、収納スキルかな?これはまた珍しいものを見たね」


カノンの収納を見たリーオは面白そうに笑う。


そしてカノン達のギルドカードを確認すると、すぐに返してくれた。


カノンはそれを手に触れた瞬間に収納に入れる。


最近収納の発動速度も上がってきている気がするな……。


レベルもかなり上がっているし……。


「カノンさんの収納スキルは時間経過があるタイプだね……でももう少しで時間経過もなくなりそうだ」


「え?どういうことですか?」


リーオの言葉にカノンが首を傾げる。


「あぁ、収納スキルはレベルによって容量が増えていくんだけど、基本的には収納の中でも時間は経過するものだ、それは知っているよね?」


そう言われカノンがゆっくりと頷く。


「収納スキルは最大レベルになっても時間経過が発生するわけなんだけど、このスキルのレベルが最大になると次元収納というスキルになるんだ。このスキルは収納スキルの10倍ほどの容量があって、中に入れたものの時間は止まる。ただしこのスキルはかなり珍しいから持っている人は中々いないよ。だから収納スキルを持っているのならこのスキルを目指す人が多いんだ」


なるほど、確かに亜竜の素材も鱗みたいな腐らないものはあまり気にしていなかったが肉などは出来るだけ早く処分したかったしな。


「収納スキルは使えば使うほどレベルが上がるから君ならすぐに次元収納に出来るだろうね」


そう言われたカノンは真剣な顔で頷いた。


「それにカノンさんの封印者(シーラー)は聞いていたけど、リーゼさんは巫女かい?この巫女の元になっているスキルは先天性の物かな?」


「え?多分……気が付いた時にはもっていました」


突然スキルについて聞かれたリーゼが少し考えながら答える。


というか、先天性ということは後天性、つまり何らかの要因で神に関するスキルを手に入れることもあるのか?


「リーゼさんの巫女の元のスキルって……」


「あ、神域系のスキルだね」


「なるほど、二人は神域というスキルについてはどれくらい知ってるかな?」


リーオの言葉に二人が考え込む。


「私は…全く知りません」


「私も詳しくは……何となくこんなことが出来るってくらいで……」


二人の言葉に納得したように頷いたリーオは口を開いた。


「なるほど。まず神域とは、神々の領域の事を指しているんだ。もっと詳しく説明すると、その神様の力がより強く及ぶ場所みたいなものかな?神域と言っても色々な種類があるんだけど、基本的にはどの神様の神域かって違いがあるだけだね。で、神域を発動すると自分の周りにそのもとになっている神様の支配する領域を作って、その神様の眷属にあたる者の能力を引き上げることが出来るんだ」


つまり、リーゼの神竜の神域は神竜の眷属の能力を引き上げるバフを掛けているようなものという事か……。


「あの…眷属って言うのは……」


カノンが小さく手を上げてリーオに聞く。


「あぁ、眷属って言うのは……それぞれの神様の管理している種族の事だよ。例えばリーゼさんみたいな竜人なら神竜、そしてその上に竜神がいるね。獣人でも同じように神獣がいてその上に獣神がいるよ」


ということはリーゼは自分で自分にバフを掛けながら戦えるという事か?


そう考えるとリーゼってまだ実力を出し切ったことはないんじゃないだろうか?


「あれ?」


俺がそんなことを考えているとカノンは何か引っかかったのか変な声を出した。


「あの、じゃあ魔物はどうなるんですか?」


あ、そういえば魔物はどの神様の眷属になるんだろう?


「いい質問だね、魔物は基本的に魔神か邪神の眷属って言われているんだけど、魔物によっては別の神々の眷属なんだ。だからはっきりとは説明できないんだよ」


確かに魔物って定義もかなり曖昧だし、極論を言えば竜だって魔物と同じように分類する人間もいるだろうしな。


「……っと、なんだか授業みたいになってしまったけど、後はこれを記入してくれればいいよ、後はこっちで処理をしておくから今日帰るときには入場許可書を渡せるからね」


確かに授業になっていたが、これはこれでためになる話だった。


ここで勉強をすることがカノンにとっていい事であることは間違いはない。


そう考えてしまうのは義務教育があった日本に住んでいたからだろうか?


書類を書いているカノンから伝わってくるわくわくした感情は何に対してなのだろうか?


それはまだ分からないが、ここにはカノンと同世代の生徒もいる。


出来ることなら対等な友達でも作ってほしいところだ。





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