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カノン専用?

「え?え?え!?」


セシルにこれあげると言われ、これ…魔銃を手に震えるカノン。


気持ちは分かる。


俺も数時間前に初めてあった人から高級車を上げると言われたとしても詐欺かどっきりかのどっちかだと思ってしまうだろう。


『おいおい……どういうことだよ』


「どういう事も何も、カノンちゃんがそれを使ってくれたらうちも儲かるって話だよ」


何を当然の事をとでも言いたげな口調だ。


「えっと……使用料とか?」


リーゼが首を傾げて聞く。


「違うよ。カノンちゃんならそれで魔物蹴散らせるでしょ?そうしたらそんなに簡単に魔物に勝てる武器なんだってなって……ふふ…」


最後の笑みがとても悪い笑みに見えて仕方ない……。


そもそもカノンとその辺の冒険者じゃ魔力量からして違うわけで……。


『それ……他の冒険者が使ったとしてもカノンみたいには使えないぞ?』


「いいよそんなのは。別にカノンちゃんが魔銃の説明するわけじゃないんだし、カノンちゃんが使うの見て同じように使えると思うか素質か練習が必要と思うかはその人たち次第なんだから」


言っていることは最もなのだが……。


魔物相手でも戦える威力の弾を連射できるカノンでそれをすると……。


『それは詐欺みたいなものだろう……』


通販とかでよくやってる、確実にやせると謳ってるサプリ並みのうさん臭さになってしまうぞ?


まぁ、こっちはからくりを理解しているからそう思うのかもしれんが……。


「失礼な!勝手に勘違いするのが悪いのよ……ってのは冗談としても、一応あたしも説明はするよ?でもそれを聞かずに買っていく馬鹿は知らないよ?」


一応説明をするのなら……客寄せの対価としてはまぁ妥当なところだろうか?


日本でも有名な動画サイトのチャンネルに自社の商品を提供して宣伝してもらうなんて普通にやってることだろうし……。


しかし……。


『どうしてカノンなんだ?』


これだけは念のために聞いておかねば……。


信用していないわけじゃないんだが、流石にこれは話が上手すぎる気がする。


「え?だってカノンちゃんの魔力すごく多いもん。それに刀なんて珍しい武器を使うリーゼちゃんとコンビなら、しっかり目立ってくれるでしょ?」


なるほど、一応考えはあったらしい。


いまいち理解に苦しむのは心の中にとどめておこう。


「ハク?いいのかな?」


『まぁ……変な話ではあるが……一応筋は通ってるし……どうせしばらくは王都で活動するはめになりそうだしな』


アイリスに巻き込まれた時点である程度の覚悟はしている。


しばらくしたらレセアールに帰るが、王都にいる間くらいは広告塔をするくらい問題はないだろう。


カノンもそこまで嫌そうではないし……。


というか、最近目立つことが増えたせいが耐性が付いてきたのだろうか?


「……分かりました…でも王都を出るときにはお返しします」


渋々と言った様子ではあるがセシルの提案を受け入れたカノン。


渋々なのは高価なものをただでもらうからなのだろう。


だから王都にいる間だけ借りているということにしたいようだ。


「返さなくてもいいんだけど……そうだね。もしあたしの予想より売り上げが伸びなかったら考えるね」


セシルはそんなあいまいな返事を返す。


これ、多分返却は受け付けてくれないんだろうな……。


最初にカノン向けの調整みたいなことを仄めかしていたし、カノン専用のつもりで調整したのだろうからな。


そもそも、カノンが断っても無理やり渡すつもりだったのかもしれない。


目的は自分の利益の為だろうが、上手くいくかどうかも分からない物にこれだけつぎ込むのだ。


ある程度は準備も……。


いや、多分していないな。


むしろ勢いだけで突っ走ろうとしている気がするぞ?


大丈夫なのだろうか?


まぁ心配しても始まらないし、俺たちは魔銃をかっこよく使いこなして見せればいいか……。


というかそれしかないか……。


そもそも……。


『カノン?それ使えるのか?』


実はさっきのカノンの射撃を見た時から気になっていた。


カノンが魔銃を撃ったのは2回だけ。


1発目は普通に外し、2発目は難なく当てていた。


本来なら、もっと苦労して狙いを定める練習をする物なのではないのだろうか?


「え?何かさっきは普通に狙えたよ?慣れた?」


いや…そこで疑問形にされてもこっちが困る。


やっぱりカノンの成長速度というか順応性は高すぎる気がする。


俺が封印されている影響なのか?


もしくはカノンのスキルのどれかが影響を与えているのか……。


単純にカノンが器用だという可能性もあるが……。


「あたしでも狙いは下手なんだけどね……。あ、一応これも渡しておくね?」


セシルはそう言って魔石の入った筒をカノンに渡す。


「あたしはカートリッジって呼んでるけど、まぁ魔石を使った魔力タンクだね。さっき渡したものと最初から魔銃に入れたものと合わせて合計3つあるからね。もし足りないようなら言ってくれれば作るよ?流石に代金は頂くけどね」


そういいながらカートリッジを押し付けるセシル。


これはもう、魔銃本体はカノンに押し付ける気だな。


まぁ、これだけの武器がもらえるんだ。


こっちもやることはしっかりやることにしよう。


実際に使うのはカノンだけど……。


いや……。


俺が触手から撃つのも……ないな。


剣で戦うカノンの体から触手が伸びて銃を撃つ光景を想像して、かっこよく見えそうにないことに気が付いた。


こういう時人外転生って損だと思う。


人だったらかっこよく使えそうなのに……。


しかし、人に転生していたらカノンと出会わなかったんだしカノンと出会うための対価だと考えれば安い物か。




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