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セシルの秘策?

魔銃の銃弾は無音、尚且つ発射までのタイムラグもほとんどなく弾速も元の世界の拳銃と相違ない。


これ、市場に出回ったら武器のパワーバランス崩壊するんじゃないか?


『セシル、これの欠点とかはあるのか?』


まだまだ試作段階の武器に欠点も何もないだろうが、一応聞いてみることにする。


「欠点?そりゃまだいろいろあるだろうけど……魔力がガンガン減っていくのと魔石への魔力補充の難しさかな?」


セシルはそう言ってカノンに何かを差し出す。


円柱状になった金属に見えるが……。


「この中に魔石が入っていて、そこに魔力を貯めれるんだけど……私は錬金術スキルも持ってるから魔力付与でどうにでもなるんだけど普通は無理ね。魔力操作が最大レベルでもギリギリじゃないかな?」


カノンはそれを受け取り、ためしに魔力を流し込んでみた。


しかし、カノンが流し込んでいる魔力はすぐにどこかから漏れ出てしまう。


「…………ハク、手伝って…」


珍しくカノンが苦戦している。


魔力操作まで持っているカノンがここまで魔力の扱いにてこずるのは初めてじゃないだろうか?


魔力感知で確認してみると、どうやら魔石の周りにある回路に邪魔をされてそのまま魔銃に魔力を送る回路から流れ出ているようだ。


というか、カノンの奴回路の上から無理やり魔力流し込んでるし……。


「あれ?魔力が入ってるんだけど……普通ならそんな強引に出来ないよ?」


それを見ていたセシルも目を丸くしている。


やっぱりカノンの魔力操作は少し可笑しいらしい。


『これは……魔銃に魔力を送り込む回路から流し込むのが正解か?』


大丈夫だとは思うが、俺も参加した結果壊したのでは後味が悪い。


一応確認してみる。


「いや~、それもどうかと思うんだけど……でもできそうだよね……。本来は反対側に魔力を流し込む回路を仕込むんだけど……サイズの関係で出来なかったし……」


ん?


ちょっと待てよ?


『つまり何か?そもそも錬金術スキルでもないと魔力は貯められないってか?』


「あはは~、そうなるね~」


ならなんで難しいだけで出来るようなこと言ったんだ!?


というか、正規の方法がないのなら仕方がない。









俺も参戦するとしよう。


『カノン、魔力が漏れ出している場所は分かるな?』


「うん、押し込むので精いっぱいで余裕がないから……」


普通は押し込めないんだけどな……。


『ならそこから魔力押し込んでみたらどうだ?溢れそうなら俺が抑えるから』


「……やってみる」


そういうとカノンは魔力をいったん止めて、今度はさっき流れ出していた場所から魔力を流し込み始めた。


それと同時に魔法陣同士が重なっている場所から魔力がにじみ出始めるが、この程度なら問題ない。


俺はカノンを通じて魔力を抑え込み、そのまま魔石に通じている回路に魔力を誘導していく。


魔石自体には魔力は浸透していないが、このまま魔力の圧力が高まれば勝手に入っていくだろう。


イメージは水だから魔力にも適用されるかは分からんが……。


しかし、俺の疑問はあっさりと霧散することになった。


カノンが流した魔力は俺の制御を受け、そのまま魔石に流れ込んでいった。


そして魔力を200ほど流し込んだ時、急に魔力が流れて行かなくなった。


まるで密閉された空間に圧縮した空気や水を流し込もうとしているかのように、流し込む魔力の圧力が負けているのだ。


今のカノンの魔力制御ならもっと圧力をかけて無理やり流し込むことも出来るだろうが、どこまでやっていい物か……。


『なぁ、どこまで魔力込めていいんだ?』


行けそうではあるのだが、一応セシルに確認してみる。


「……さぁ?」


しかし返ってきたのはそんな答えだった。


『それでいいのか!?』


お前は製作者だろうが!


「仕方ないじゃない。付与スキルってそんな強引じゃないんだもの」


まぁ強引なのは認めるが……。


「えっと…どれくらい入れればいいんですか?」


カノンがセシルに聞いた。


そうか、そういう聞き方の方がよかったか。


「そうだね。付与スキルだと大体100ちょっとだったかな?」


ん?


既に二倍ほど入ってないか?


嫌な予感がしてきたぞ?


そしてこういった予感とは大体当たる物だ。


案の定、突如魔石が発熱を始めた。


「熱ッ!!」


驚いたカノンが手を離してしまい、魔石は地面に落ちる……。


『…っと…ってホントに熱いな』


咄嗟にスライムの触手で受け止めたが、触手でもしっかりと熱を感じる。


「魔石の許容量を超えたんだね……。っていうかどれだけ込めたの?」


セシルから呆れたような視線が飛んでくる。


『大体300くらいかな?』


因みに時間にすると大体3分ほど、これなら空き時間に予備を作っておいても問題はないだろう。


「何で3倍も込めてるの!?」


まぁ……確かにやりすぎた感は半端ない。


うん、反省しよう……。


とりあえず魔石で火傷をしたカノンの手のひらに高速再生を行使しつつ、ある程度温度の下がってきた魔石をカノンの手の高さまで持ち上げる。


『魔力が熱に変換されて減ったな。この感じだと上限は200って感じか?』


多分、それ以上に魔力を込めたとしても熱に変換されて逃げてしまうのだろう。


しかし、ある程度の威力を出せる2段階目の射撃で20発分、マガジンとしては充分だ。


「あ、交換は簡単だよ?」


俺から渡された魔石を手に困っていたカノンに、セシルは魔石の交換法を説明する。


どうやら小指の部分を押し込むとそのままマガジンが外れ、新しいものは軽く押し込むだけで問題ないようだ。


よくこれだけの機構を作り上げたと感心するが……。


『確かにこれなら売れるだろうな』


これは間違いなく行けるだろう。


「値段次第だけどね」


ずっとカノンの後ろで空気になっていたリーゼが口をはさんだ。


まぁ……確かにその通りだけどな。


「因みに値段は金貨30枚が最低ラインで、威力調整とかをてんこ盛りにしたら金貨100枚くらいかな?」


オプション高すぎるだろうが!っと言いたいが、まぁ……これくらいは仕方ないか……。


「売れるんですか?」


カノンが首を傾げる。


まぁ、そうだな。


金貨30枚で30万ゴールド、日本円換算で約300万円だ。


しかもそれが素の状態で、そこにフルオプションでプラス700万円……。


高級車並みの値段になったぞ?


カノンの疑問を受けたセシルは、しかし不敵な笑みをを浮かべている。


「それは大丈夫。秘策があるから」


「「秘策?」」


カノンとリーゼの声が重なった。


「カノンちゃん。これあげる」


そう言ってカノンが持ったままの魔銃を指さすセシルだった。


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