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カノンと魔銃

その後カノンは首を傾げるセシルに自分のギルドカードを見せ、自分の中の魔力の事を説明した。


それを聞いたセシルは安堵したような息を吐いた。


「そういう事だったんだね。威力が上がってたからびっくりしたよ……。で、使ってみてどうだった?」


「どう……と言われても……、使いにくい?」


「ぐっ…」


ストレートな物言いにセシルが胸を押さえる。


急所に当たったな……。


「そ、それはそうなんだけど……あくまでお試し品だからだよ?魔法陣を弄れば威力は上げられるから!」


悲痛な表情でそういうセシルだが……。


『威力が上がった所で……魔法使った方が楽なんじゃないのか?』


「確かに……魔法の方が楽?」


「そもそも魔法が使えない人に関していえば、威力を上げても連射できないしね……」


俺の声は聞こえていないが、それでもボロクソに言われている。


「……分かってるもん…。でもしょうがないじゃん……。魔力を変質させてるだけなんだから威力が出ないのは……」


うん……。


属性を与えていないせいで威力が低いのはそうなんだけど……。


そもそも……。


『魔力を溜める構造とかに出来なかったのか?』


もしそれが出来ていたのなら、平時に魔力を溜めて有事の際に使えるようになり実用性は高くなっていたはずだ。


「魔力を…貯める?」


俺の独り言にカノンが反応した。


「魔石とか?」


『こいつで出来るかは知らんが、それならまだ実用性があるってだけだな』


あくまで素人である。


職人が考えた事が無いとは思えない。


「ん……?カノンちゃん…誰かと話してるの?」


カノンの俺との会話に疑問を持ったらしいセシルが聞いてきた。


「えっと…はい。ハクって言って私の中の竜です」


「もしかして……そのハクは改善案があったり?」


恐らくダメもとで言ってるんだろうが……。


人外にアドバイスを求めるな……。


『まぁ……あくまで素人の考えだが……』


ここまで話したのならカノンを介して話すより直接話した方がやりやすい。


そう思ってセシルにも念話を繋いだ。


「あ、この声がハクの声なのね?初めまして…でいいかな?」


『あぁ……そうなるな。ハクだ。よろしくな』


「うん、よろしく、で、さっそくなんだけど、どうしたらいいと思う?」


いきなりだな……。


『あくまで俺の私見だが……。魔力を前もって貯めておけないのか?それだけで実用的になると思うんだが……』


俺がそういうと、セシルは考えるそぶりを見せた。


「魔力を貯める……一応考えたことはあるんだけど、費用がかさむだけで使わないかなって思って着けなかったんだよね。あった方がよかった?」


『それがあれば魔力が少なくてもあらかじめ魔力を貯めればいつでも万全の状態で使える。それに銃を撃つごとに自分の魔力は消費しないから管理もしやすい』


もっと言えば、もし魔力を蓄えておけるのなら体内の魔力を使えなくする結界内でも使用できるはずだ。


そうなると実用性は跳ね上がるだろう。


メインウエポンとしてではなく、サブウエポンとしてだろうが……。


普段使いには弾数が少ないだろうしな……。


いや、弓矢と比べるとコスパはよくなるかもしれんが……。


俺の言葉を真剣な顔で聞いているセシル。


自分で戦わないと、どういった機能が使いやすいのかはいまいちわかりにくいし、外からの意見は大事なのだろう。


「なら魔石を組み込んで……せっかくだし交換できるようにするかな……、でも交換の手間が……」


何やらぶつぶつ言いながら考え込んでいるが、内容から察するにマガジンのようなものになるのだろうか?


「ねぇ、戦いながら魔石の交換って出来る?」


不意にセシルがそんなことを聞いてきた。


出来るかどうかと言われると……。


『分からん』


そういう回答しかできない。


「……カノンちゃん達は?」


残念そうにカノンに話を振るセシル。


「えっと……手間がかかると難しいと思います……。どうやってやるかによるかと……」


いきなり話を振られたカノンだったが、一応俺の言いたいことは言ってくれた。


例えば、日本の自動拳銃のように簡単に交換できるのなら戦いながらでも出来るかもしれない。


しかし、リボルバーのように手間がかかるのなら一度戦闘から離脱しないと難しいだろう。


『まぁそういう事だ。そもそも、魔石ってサイズが違うよな?そんな簡単に付け替えできるのか?』


「え?……あぁ、それは大丈夫だよ、魔石の周りにフレーム作ってそこに魔法陣刻むから。まぁサイズが小さいから魔石も小さいのしか使えないし連射は出来ないと思うけどね……」


だから確認したのか……。


確かに魔物の前で弾切れなんて洒落にならないな。


かといって弱い魔物と強い魔物で同じ威力の弾を撃つのも非効率だよな……。


『なぁ、ダメもとで何だが……威力を調整できるようにできないのか?』


さっきの説明を聞いた限りだと魔法陣で消費魔力の調整をしているようだしもしかしたら出来るのではないだろうか?


「え?それくらいは簡単だけど……大まかな調整しかできないよ?」


出来るらしい……。


『なら数段階の威力調整と……』


せっかくなのでそのまま思ったことを伝えることにした。


何処まで出来るかは分からんが……。


俺の話を聞いていたセシルの目には、段々と光が宿ってきた。


そして説明が終わるころには、今にも工房に行って作ってみたそうな、職人の顔になっていた。


「ありがとう!早速試してみるね!」


どうやら本格的に取り組むつもりみたいだ。


とは言っても魔法陣やらいろいろ複雑な機構になるだろうし、最低でも数日はかかるだろう。


そう思っていたのだが……。


「また感想聞きたいから今日の夕方以降で来てくれない?」


今日中に出来るんかい!


本気の職人、恐るべし……。





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