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王都の武器屋

翌日、アイリスは朝早くに宿を出て行ってしまった。


どうやら学園での依頼はもう始まっているらしい。


そしてカノンとリーゼは豪華な朝食に驚きつつも朝食を済ませ、そのまま宿を出て武器屋に向かった。


一応宿の受付で場所を聞いたので、そこで修理を出来るのかどうかは分からないが、武器屋にさえ行けば後は何とかなるだろう。


で、朝から気になっているのだが……。


『なんかお前ら…仲良くなったか?』


「「え?」」


俺の疑問に見事にハモった声が返ってきた。


「そうかな?リーゼさんはどう思う?」


「私?別に変らないと思うけど?」


……明らかに仲良くなっている……。


一体いつの間に……。


カノンがリーゼと会話していれば俺には分かるはずなんだが……。


もしかして何かスキル覚えたのか?


後で聞いてみるか……。


「刀直せるといいんだけど……」


カノンがリーゼの腰にぶら下がっている刀を見ながら呟いた。


ユーリの手によって応急処置は施されているが、流石に完全に直したいものだ。


「うん、いい武器屋が見つかるといいんだけどね」


リーゼは苦笑しながら言う。


『それについては大丈夫だろう。もし直せなくても、情報は間違いなく手に入るだろうしね』


万が一ここの武器屋で手に負えなくても、ここは王都、この国で一番栄えている町だ。


その分情報もたくさん入ってくるだろう。


「ハクは直せないって思う?」


『いや、直せる可能性の方が高いとは思ってる。万が一ってだけだ』


少し不安そうに聞いてきたカノンだったが、俺の返事を聞くと安心したように頷いた。


まぁ実際、ほぼ間違いなく直せるだろう。


すれ違う冒険者風の人を観察していると、数はかなり少ないが数人だけ刀を持った人とすれ違っていた。


他の町では見かけなかったので、この町でなら刀が手に入る可能性も十分にあるだろう。




















しばらく歩いて目的の武器屋の前まで来た。


「ハク?ここ?」


『ここでいいと思うぞ?』


「リーゼさん、ここでいい?」


「うん……って言うかここ以外知らないし…」


リーゼが苦笑しながら扉を開けて中に入った。


カノンもそれに続いて中に入る。


「すみませーん」


「お邪魔します」


そういいながら中に入ると、店の奥のカウンターには若い女性が座っていた。


「ん?お客さん?……竜人さんかな?」


店主はリーゼを見ながらそういうと、カウンターの中から出てきた。


「あたしはセシルっていうの。ここの店主だよ」


どうやらこの女性が店主らしい。


「あ、始めまして。リーゼと言います」


「カノンです」


店主…セシルに合わせてカノンとリーゼも自己紹介をする。


「リーゼちゃんとカノンちゃんね?で、武器を見に来たの?」


「いえ、この刀なんですけど……」


そう言って腰に差していた刀を差しだすリーゼ。


「メンテ?……修理かな?」


少しだけ刀身を出して、すぐに修理と結論付けていた。


見た目に似合わず実力は確かなのかも知れない。


「は、はい。鞘の方なんですけど……」


「うん。無理に抜いて中の魔法陣に傷が入ったんだね……そのあと応急修理してあるけど……これは刀を扱えない職人かな?でも技術はある人が直してるね」


刀身を鞘から抜いて鞘の中を覗き込んだセシルは感心したように呟く。


「……うん。これなら……直せなくはないね。期間は一週間って所かな?修理代は……金貨1枚でいいかな?」


金貨1枚……日本円換算で10万円か……思ったより安いか?


日本刀とかのイメージがあるから、もっと高いと思っていた。


「ハク?」


『あぁ、いいと思うぞ?』


「あ、はい。それでお願いします」


リーゼの返事を聞いたセシルは頷いて刀をカウンターの下に仕舞う。


「じゃあ前金で……ってお金ある?」


あぁ…そういや俺たちにとっては問題なく出せる金貨一枚だが、普通の冒険者にとってはねん出するもの大変な金額だった。


「あ、はい。これでお願いします」


カノンがそう言って収納から金貨を取り出して差し出す。


それを見たセシルは目を丸くした。


「おぉ……収納が財布代わりなのはいいとしてあっさり出てきたね……。あなた達結構ランク高いでしょ?」


そう言われたカノン達は顔を見合わせる。


「え?私達Dランクですけど……」


「普通はDランクの冒険者って金貨一枚中々出せないよ?そもそも刀なんて使えないよ?高いもの」


あぁ……確かに鞘の修理だけで金貨一枚だしな。


しかも使いにくいうえ中々手に入らない刀なんて誰も使わないか……。


あ、そういえば……。


『リーゼ?一週間の間の武器はどうする?』


「あ!……カノン、また剣貸してもらってもいい」


俺が言うと思ったようにリーゼが声を上げてカノンに頼み込む。


それを聞いてセシルが首を傾げた。


「ん?予備の武器ないの?」


「あ、予備は…カノンに借りてました」


「カノンちゃんは剣何本も持ってるの?」


セシルに話を振られたカノンは収納から魔法剣と普通の剣を取り出した。


「えっと……この二本です」


「魔法剣?また面白いものを持ってるね……、もう一つは……なるほど、魔法剣の予備って感じだね」


確かに見た目は似ているが、そこまで分かるものなのか?


「その剣じゃ使いにくいでしょ?もっと細身の剣を予備に持ってた方がいいよ」


カノンの剣から視線を外したセシルは店内を物色し始めた。


「ハク?どうする?」


『あの店主の言うことは尤もだ。というか、リーゼの予備武器の事は俺も忘れてたしな……まだ余裕はあるし……今のうちに買っておいてもいいんじゃないか?』


正直なところ、これは本心でもある。


いざというとき、自分専用の武器が無いのはリーゼにとっても危ないしな。


「そうだね」


カノンも同意してくれた。


リーゼの返事は聞いていないが、こういう時に遠慮しようとするのであえて聞いていない。


カノンとの距離は縮まってきているので、こういった所も遠慮しないようになってほしいものだ。



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