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王都までもう少し

その後順調に進み、ムードラも通過して明日には王都に到着するという所までやってきた。


そしてその休憩中、アイリスからこれからの事を説明されていた。


「で、私は一足先に王都に行くから悪いんだけど二人は王都に入ったらまずはギルドに行ってくれる?伝言は残しておくから」


「それは構いませんけど……一緒にはいかないんですか?」


アイリスの話を聞いたリーゼが首を傾げる。


「一緒に行きたいのは山々なんだけど、私は少し用事もあるからごめんね」


そう言って手を合わせるアイリス。


「じゃあここからはのんびり行きます?」


カノンがリーゼに言うと、リーゼは少し考え込むそぶりを見せた。


「私はその方がありがたいんだけど……、大丈夫?」


『時間なら問題ないだろう。どうせアイリスとは違って期日のある予定はないしな』


しいて言うのならリーゼの鞘だけは早めの方がいいだろう。


しかし、それも早めというだけでいつまでにといった類の物ではない。


そんなわけで、ここからのんびり行っても大して問題にはならないというわけだ。


「それにここからなら歩いても三日もあれば着きますし、のんびり走れば明後日にはつけると思いますよ?」


「う、うん。そうだね」


カノンの言葉を聞いたリーゼの顔が引きつる。


『大丈夫だ。さいあくリーゼを掴んで飛ぶ』


「う、うん。ありがと……」


あれ?


フォローしたつもりだったがフォローになってなかったか?


まぁいいか。


『そういえば、ギルドってのは一か所にしかないのか?』


ゲームや漫画だと王都のように大きな町には複数のギルドが点在していることも多い。


これだけは確認しておかないと、いざギルドに行っても伝言が無い可能性もあり得る。


「王都にギルドは4か所あるはずよ。本部と支部が3つね。一応本部に行って伝言を残しておくけど支部でも聞けると思うから」


同じ町なだけあってある程度の情報は共有されるという事だろうか?


「分かりました」


それを聞いたカノンが頷く。


「話はそれくらいかな?」


『アイリス?町へ入るときの注意点を忘れてますよ?』


「あ!」


ソルに言われてアイリスがはっとした。


注意点?


『そんなものがあるのか?』


「えぇ。王都には門が5か所あるんだけど、その内一つは貴族用で入れないわ。それに貴族が多いからトラブルにもなりやすいし」


あぁ、そういったトラブルってのもよくあるイベントだよな。


俺たちは今のところ無縁ではあるが……。


「後はどこから入っても大丈夫だけど、検問の待ち時間も長いから気を付けてね?あとできれば王都に付いたら真っ先にギルドに行って?私の知り合いだって分かればトラブルも減るはずだから」


まるでトラブルが起きるのが前提のような言い方だが……。


「大丈夫なんですか?」


カノンも不安になったようだ。


「大丈夫よ。ていうか、その辺の冒険者に絡まれても何とかなるでしょ?」


確かに何とかなるだろうが……。


権力相手は無理だけどな。


「じゃあそういう事で、私は先に行くわね」


アイリスはそういうとそのまま走り去ってしまった。




























それから三日後、あと半日で王都まで到着できそうな場所まで来た。


ここまで普通に道を歩いてきたのだが、魔物などは出ずに平穏な道中だった。


そして徒歩でもあと半日ほどで到着できるので走る意味はなくなり、カノンは俺を召喚して抱っこしたまま歩いていた。


『なぁカノン?魔力の無駄遣いじゃないのか?』


「トレーニングにはちょうどいいんじゃない?」


精一杯の抵抗を試みてみるものの全く意味はなかった。


「カノンさん、後で私にもいい?」


「少しならいいですよ」


本人の承諾なしで貸与契約が結ばれていた。


『ここまで来たら別にいいが……モフモフって訳でもないだろうし楽しいのか?』


「モフモフじゃないけどこれはこれで……」


うっとりとした顔で俺を抱きしめるカノン。


「どんな感じなんだろう?」


俺を抱いたことのないリーゼが首を傾げる。


「すべすべしてます。でも柔らかいです」


そう言って俺をリーゼに差し出す。


「いいの?」


「少しならいいですよ?」


カノンにそう言われて、差し出された俺を受け取り抱きしめるリーゼ。


「あ~、ひんやりして気持ちいい……」


ぬいぐるみみたいな扱いになってきたな……。


最近は諦めも付いてきたが……。


「ハク、今度はモフモフもお願いね?」


『無茶を言う……、どうしろってんだ……』


「…………変身したら?」


確かに毛皮がある魔物に変身できなくもないが……。


『サーベルボアはごわごわしてそうだし……ファングウルフか?』


オオカミなら辛うじてモフモフか?


「ファングウルフの毛皮は肌触りが悪いって聞いたことがあるけど?」


なら無理か。


「スキルはないの?」


『そんなスキル有るわけないだろ!』


モフモフになるだけのスキルなんぞ何の意味があるんだ。


副次的な物ならあるかもしれんが……。


「じゃあ探す?」


どっちをだ?


まさかスキルを探すとか言わないよな?


「う~ん、あ!ホーンラビットは?」


ホーンラビットか。


一度捕まえたことはあったがその時は倒さなかったから変身できないんだよな……。


しかしあれはたしかにモフモフだろう。


『なら見つけたら倒してみるか……』


変身するかどうかは別問題ではあるが……。


いや、どうせカノンに押し負けて変身するはめになるんだろうな……。


別にいいんだが……。


「じゃあハク、気配察知お願いね」


今から探すんかい!


『はぁ…、分かったよ』


もう反論はしない。


この話題において反論は無意味だと学んだからな。


気配察知を発動してみると、近くに人の反応を見つけた。


『ん?なんだこれ?』


思わず声が漏れる。


「どうしたの?」


そんな俺をカノンが不思議そうに見る。


『あぁ、森の中に人の気配なんだが……』


ここから一キロほど離れた場所に大勢の人の気配がある。


最初は冒険者かと思ったが、どうもそんな感じではない。


もっと幼い感じのする気配だ。


「……あれ?近くにもいない?」


『え?』


カノンに指摘されて改めて気配を探ってみると、確かに俺たちから百メートルほど離れた場所をこちらに向かって走ってくる気配を見つけた。


しかもご丁寧に魔物を引き連れている。


というか追われてる?


はぐれたのか?


「ハク、もしもの場合はお願い」


確かに召喚状態なら俺が戦ってもいいかもしれないな。


カノン達が歩いている道の周りは森とまでは行かないが木が多くて見通しが悪い。


そんな中走ってくる気配は、もう間もなく俺たちとエンカウントする場所まで迫っていた。




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