表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/317

竜対亜竜

ブレスの仕組みは意外と簡単だ。


そもそもブレスとは、竜魔法スキルの中にある攻撃手段の一つだ。


魔力を喉元に溜めて、それを一気に吐き出すだけ。


ただし、竜魔法のスキルがないとそもそも魔力を喉元に溜めることが出来ないみたいだ。


これは流石に図書館で本を漁っても分からなかった。


竜魔法スキルに意識を傾けると何となく分かったというだけだ。


因みにさっきの石つぶてのような変わり種のブレスは、種族自体が持っている魔力の傾向によるものらしい。


ロックワイバーンは地属性を使えるのでその影響を受けてあのようなブレスになったのだろう。


俺の場合はそもそもブレスを自力で習得できないし、キメラという種の特性上傾向は不安定のはずだ。


下手をすればブレスを使うたびに属性がランダムになる可能性もあり得る。


命のかかった実戦でそんなうん任せな戦い方は出来ないが、ブレスに意図的に属性を付与することは出来る。


自分の持っている属性スキルを使って、喉元に溜めた魔力に属性を与えればいいようだ。


というわけで、さっそく溜めた魔力に属性を付与することをイメージする。


そしてそのまま魔力を口から吐き出した。


『行けぇぇぇぇ!!』





俺の口から吐き出されたブレスは、青白い色をした光線だった。


今回使ったのは雷属性。


雷を集束して発射したので光線のようになったようだ。


雷属性を選んだ理由は、一番反動が少なそうだったからだ。


下手に火属性などを使おうものなら反動で吹き飛ばされてしまうだろう。


巨大な竜ならいざ知らず、俺はカノンに抱えられるほどの大きさなのだ。


体重も軽いし踏ん張りの利かない空中だ。


出来るだけ反動を抑えようと考えたら雷属性に辿り着いたというわけだ。


バシュ


そんな音と共に、ワイバーンの尻尾の一部が斬り飛ばされた。


「ギャォォォォォォ!!!」


そんな悲鳴を上げるワイバーン。


あれ?


思ったより威力がある?


電気で切断なんて出来たっけ?


よく見ると、ブレスが直撃した部分が炭化している?


あぁ、高電流で焼けたのか……。


いや、それにしても威力がおかしいとは思うが……。


初めて使ったので狙いがズレたが、上手くやれば一撃だったのではないだろうか?


そんな事を考えている間にも、ワイバーンはぎこちない動きで落ちていく。


電気を浴びたせいで体が上手く動かないらしい。


よし、チャンスだな。


俺はワイバーンに急接近すると、その背中にしがみついた。


岩のようにごつごつした鱗は触覚も鈍いのか、ワイバーンは俺が触れていることに気が付いていない。


『さて、大人しくしてろよ?』


俺は足をマンイーターの根に変え、鱗の隙間に食い込ませていく。


「ギュオオオオォォォォォ!!!!!」


流石にこんなことをされると痛いのか、ワイバーンが暴れ始める。


ブレスを当てていてよかった。


万全の状態で暴れられたら簡単に振り落とされていただろう。


『大人しくしてろっての!!』


俺は自分の首の左右からファングウルフとサーベルボアの首を出す。


そして自前の頭も使い、三つの首でワイバーンにかじりつく。


流石に岩みたいな鱗のせいで多少食い込んだだけだが、振り落とされなければ充分。


もう少しそればマンイーターの根も完全に張り終えるだろう。


しかし……、鏡がないから自分の姿を見ることが出来ないが、恐らく今の俺は竜とはかけ離れた姿をしている事だろう。


キメラと言いつつ殆ど活用されなかったが、初めてキメラらしい使い方をしているかもしれない。







マンイーターの根を張ったのには理由がある。


『さて、魔力捕食発動っと…』


魔力は本来、生き物の体の中を巡っている。


魔力捕食や魔力吸収のように魔力を奪うスキルはその魔力に体外から干渉して奪っていくのだが、体の外から中の魔力に干渉するため効率が落ちる。


なので根を体の中に入れ、そこから魔力を奪うことにしたのだ。


こうすれば効率も上がるし根が張っているので振り落とされにくくもなって一石二鳥だ。


更に、召喚術の持続時間の問題も魔力を吸い取って維持に利用すればかなり長い時間使用できるのではないかという狙いもある。


ついでに言ってしまうとさっきのブレスで俺の魔力がごっそり持っていかれたので、その補充をしたいというものある。


魔力が回復すればもう一度ブレスで今度は首を飛ばせばいい。


大概の生き物は首を刎ねれば死ぬだろう。


……たまに首だけで生きている生き物もいるので絶対とは言い切れないのが怖いが……。


正直言って上手く取り付けるかどうかは賭けだったが、さっきのブレスの影響もあって上手くいった。


もし無理ならここからスライムの粘液で固めて、火属性の魔法で焼いたり、首の近くに取り付いてウィンドカッターを連射するといったことも考えてはいたのだが……。


まぁ、あのブレスの魔力消費は想定外だった。


この間の土竜やこのワイバーンが問題なく扱えている辺り、魔力の込め方の問題のような気はしているが……。


もう少し消費魔力を減らして威力を絞れば連射できるかもしれない。


もしくは拡散させて広域殲滅に使うか……。


どっちにしても十分な検証は必要だな。


そんなことを考えている間にも、ワイバーンは辛うじて体勢を立て直して上昇を始めた。


そして再び俺を振り落とそうと身構える。


しかし……。


『もう魔力は充分だよ』


俺はそう言ってワイバーンの首目がけてブレスを放つ。


「ギャ…………」


短い悲鳴と共にあっけなくワイバーンの首は消し飛んだ。


そして首を失った体はそのまま地上に落ちていく。


流石にこれをそのまま落とすわけにはいかない。


そう思って胴体を収納に放り込んだ所で、俺の体が光に包まれた。


そしてある方向に引っ張られる感覚に襲われた。


あぁ、時間切れだったか……。


召喚術で召喚された俺は魔力がなくなるとカノンの中に戻される。


どうやら封印を解除したというわけではないようだ。


この状態でもカノンが俺のスキルを使え、魔力も俺の物が使えると分かった時から何となく察してはいたが……。


というわけで、封印が解除されたわけではないので俺の居場所はそのままカノンの中というわけだ。


封印された時には最初こそ焦ったが、今となってはこうして実体化している方が落ち着かない。


慣れとは恐ろしいものだ……。


というかカノンは大丈夫だよな?


魔物とかに襲われたりしていないよな?


いらない心配だと理解しつつ、そんな事を考えながらカノンの元に戻るのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ