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作戦開始

アイリスを呼んで戻ってくると、そのまま打ち合わせが始まった。


「じゃあ冒険者の方はロイド君が指揮を取るから、何かあったらロイド君にね」


ロンがそういうと、隣にいるロイドが頷く。


「領主軍の方は俺が指揮を執る。とはいっても、移動中は冒険者に任せることになるわけだが……」


領主軍の方はカリムらしい。


「ふん、そもそも冒険者なんていらないだろ……」


その横で悪態をつくフィルマン。


どうやら冒険者と合同なのが気に食わないらしい。


「冒険者、領主軍とは別に、カノンさんの索敵部隊、そして万が一のためにアイリスさんが同行するけど、カノンさんたちは索敵に集中してもらいたいから戦闘は冒険者組に投げちゃってね」


「は、はい」


「私は?」


緊張しながら返事をするカノンと、首を傾げるアイリス。


「アイリスさんは万が一の最高戦力だよ?出番がない方が良いでしょ?」


そういったロンに対して不満そうなアイリス。


戦いたかったのか……。


「道中は領主軍を冒険者が護衛する形になるけど、カノンさんはマンイーターだけじゃなく魔物を見つけてもロイド君に報告して冒険者を回してもらってね。普通の冒険者でどうにもならない魔物はいないはずだから」


『ならロイドへの報告は俺がするか?多少の距離なら念話が使えるし……』


「いや、緊急時はともかく伝令役の冒険者を使ってやってくれ」


苦笑いでそういうロイド。


まぁ、他人の仕事を奪う必要はないか。


『了解だ。なら俺たちに付く伝令役は……リーゼか』


「そうなるだろうな。まぁ、カノンちゃん達が先頭なんだ。俺も出来るだけ前には出るから伝令はいらんかもしれんが……」


もしいる状況なら、ロイドも戦闘中か指揮を執っている最中だろう。


弱い魔物なら俺が魔法を使うかリーゼに処理してもらった方が早い気もするが……。


「カノンさんが関わってくるのはこれくらいかな?後は……あぁ、進行速度だけど……」


「あ、それは普通に歩く速さで行けます」


そうなるように練習したからな。


俺に関しては高速思考を使えばいいが、後の二人は大変そうだったが……。


「よし、じゃあ索敵は頼む。まぁ、マンイーターの索敵に集中してくれれば他の魔物は冒険者も索敵するからあまり気にしないでくれていい」


ロイドはしっかりと役割分担をしている。


そうしないと特定の人間に仕事が集中してしまうのだろうか?


もしくは、基本的に少人数で動く冒険者だ。


そうでもしないと上手く連携できないのかもしれない。

























その後領主軍も到着し、冒険者と領主軍で簡単な位置取りの説明が終わってすぐに出発した。


カノンは先頭、その横には少し離れてイリーナとシグリッドが歩いている。

まだマンイーターが出る場所まで距離があるが、マンイーターは移動できる。


この間の亜竜のせいで生息域が変化している可能性もあるので既に鑑定による索敵を行っている。


カノンの後ろにはリーゼとアイリス。


更にその後ろにはカリムとロイド、その後ろに冒険者たちがいて、冒険者に守られるようにして領主軍がいる。


出来るだけ縦に並ぶように、細長く隊列を組んでもらっている。


これで鑑定する範囲が狭くなり、普通に歩くだけの余裕が生まれている。


しかし…………。


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……………



こんな感じで鑑定を使い続けている俺の負担はかなりの物だ。


俺はまだ高速思考で余裕が出せるし、移動自体はカノンがしてくれるのでましだが、イリーナとシグリッドは大変だろう。


高速思考で余裕を作り、二人の方を見てみると、真剣な顔で歩いている。


他の事に気を遣う余裕はなさそうだ。


「カノンちゃんは大丈夫なのか?」


後ろにいたロイドもカノンと二人の違いに気が付いたのだろう。


カノンに聞いてきた。


「あ、はい。鑑定はハクがしてくれてるので……」


『まぁ二人と違って、鑑定しながら会話する余裕くらいはあるけどな……』


ただし変なことを口走らないという保証はないが……。


「………ん?」


ふいにカノンが首を傾げた。


『どうした?』


「魔物?みたいな気配が……」


鑑定に集中していて気が付かなかったな……。


『カノン、鑑定代わってくれ』


「う、うん」


カノンが鑑定を使い始めたのを確認して、俺は気配察知に切り替える。


するとゴブリンの群らしき気配を見つけた。


進行方向から少し逸れているので動かなければ出くわす可能性は低いだろう。


しかし、それを考えるのは俺じゃないな。


『一時の方向約200メートル、ゴブリンの群だ』


ロイドに念話を飛ばしておく。


「ゴブリンか……よし、分かった」


ロイドは少し考えるそぶりを見せると後ろに下がっていった。


冒険者に指示を出しに行ったのだろう。


少しすると冒険者が数人飛び出していった。


『カノン、まだしばらく行けるか?』


俺がそういうとカノンはわずかに頷く。


『シグリッド、そっちは俺が受け持つから冒険者を追ってくれ』


「あぁ、分かった」


短い返事を返して、シグリッドはそのまま冒険者の後を追う。


一組だけが魔物の討伐に動く場合はシグリッドかイリーナのどちらかが後を追って索敵を担当。


どちらかが抜けた穴を俺が担当して俺の穴をカノンが埋める。


これが考えていた作戦だ。


これならなんとかなると思ったのだが、ギリギリ行けそうだ。


問題はこの途中で他の魔物が出ないかどうかだが……。


まぁ、最悪その場合は気配察知に嗅覚探知、さらに魔力感知を同時発動させて俺がここから確認するしかないだろう。


魔力感知まで発動すれば擬態ならなんとかできる可能性もある。


もしくは俺の鑑定の範囲内まで近づいてくるのを待ってから戦ってもらうか……。


最終手段として、カノンが空から爆撃するというのも考えてはいるが……。


それをしてしまうと色々と問題になりそうなのでやめておく。


とりあえずはこのまま順調に進んでいくことを祈るようにしよう。



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