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VSゴブリン

「ギギィー」


独特の鳴き声と共にゴブリンが迫る。カノンとゴブリンの一体が切り結ぶ瞬間に、俺はカノンの方から触手を伸ばす。目的はカノンに両端から襲い掛かろうとしているゴブリンだ。


「ギギャ!?」


カノンと切り結んでいる奴はカノンに任せる。その間に他の二体の動きを止めるべく、触手で拘束して更に針で地面にも固定する。こうしないとカノンが引っ張られてしまうからだ。


因みに触手の内側からは、毒針と麻痺針を打ち込んである。これで放っておけば勝手に弱っていく仕組みである。


『カノン、こっちの二体は捕まえた。俺はこのまま後ろをやる!』


「了…解!」


カノンは身体強化でゴブリンを押し返しながら返事をしてくれた。


俺は残った触手をゴブリン・メイジめがけて伸ばす。理想はこのまま捕まってくれることだが、そう簡単にはいかないだろう。


「ギギー!」


ゴブリン・メイジが杖を振り上げると、その先端から火の玉が飛び出した。その火の玉は俺の触手とぶつかり、小規模な爆発が起こった。


『痛ッ!』


「ハク!?」


流石に触手を吹き飛ばさてたら其れなりに痛かった。カノンの心配そうな声が聞こえてくる。しかし充分我慢できる。正直エアカッターで切られるだけかと思っていたので少し焦った。しかし爆炎とは丁度いい。本当はウィンドボムを目くらましに使うつもりだったのだが、この爆炎を利用させてもらおう。


俺は触手を高速再生で回復させる。しかし高速再生では回復が終わるころには爆炎が晴れてしまうので、残ゴブリンを拘束している触手を少し減らし、こっちに回すことにした。麻痺と毒のダブルコンボだから大丈夫だろう。


触手の再生を待っている時間はないので、再生が終わった部分を順次攻撃用に回していく。


攻撃用の触手を地面につけると、できるだけ細くして長さを確保、そのまま土を収納で消しながら地面の中を突き進む。そして触手がゴブリン・メイジの足元に辿り着いたとき、ようやく爆炎が晴れた。


「ギギ?」


ゴブリン・メイジが触手が地面に付いていることに疑問を感じているのか首を傾げている。どうやら触手が地面を潜って行っているとは考えもしていないらしい。こいつらが馬鹿でよかった。


そしてゴブリン・メイジの足元の土が盛り上がり、そのまま触手が飛び出してゴブリン・メイジを捕まえる。


「ギギャ!?」


こいつは他のゴブリンよりも触手の量が少ない代わりに、口と杖を抑え込んだ。魔法さえ封じてしまえばどうとでもできる。


「ギャ!」


そんなことをしている間にカノンが最初の一体を切り捨てて、次のゴブリンに突っ込んだ。


『カノン!俺の触手ごとやれ!』


「了解!」


俺の触手は高速再生ですぐに復活できる。なので触手ごと切るのが一番安全で効率がいい。いくら毒と麻痺がかかっているとはいえ油断はしない。












その後残りのゴブリン三体をカノンが切り捨てると、俺は完全にカノンの中に戻って高速再生を行った。


しかしやっぱり高速再生は魔力消費が多い。戦闘中に使うようではだめだろう。


今回は初めてのゴブリン戦だったという事もあるだろうが、もっと戦い方を考えなくては。


因みにゴブリン戦を通して俺たちのステータスはこうなった。


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種族・キメラドラゴン 名称・ハク

HP・721/741 MP・879/1037

状態・封印

スキル

鑑定Lv3・同化Lv3・捕食吸収・触手伸縮Lv6・自己再生Lv10・高速再生Lv2・収納Lv2・粘液Lv5・飛行Lv7・麻痺針Lv8・毒針Lv7・方向感覚Lv5・風属性Lv7・火属性Lv1・針生成Lv3・気配察知Lv4・毒耐性Lv3・身体強化Lv1・形状変化Lv1・威嚇Lv1・高速思考Lv1・念話・剣術Lv1・魔力操作Lv1・詠唱短縮Lv1・解体Lv1・魔装(使用不可)

固有スキル

キメラLv2・スキルテイカー・スキルシェアLv1

ユニークスキル

世界の記憶(アカシックレコード)(詳細不明・ナビゲート機能のみ解放)

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種族・人間 名称・カノン 年齢・13

HP・131 MP・5(1037)

スキル

魔力操作Lv10・剣術Lv2・身体強化Lv2・料理Lv4・〔鑑定Lv3・風属性Lv7・気配察知Lv4・威嚇Lv1・毒耐性Lv3・方向感覚Lv5・収納Lv2〕

固有スキル

???(詳細不明)

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俺に関してはHPすら減っていた。多分触手を壊された分だろう。多分痛みを感じる=HPが減るようなイメージでよさそうだ。


そして、どうやらキメラやスキルテイカーは、カノンが倒してもカウントされるようだ。ついでにカノンのステータスも少し上がっていた。もしかすると鑑定とかでは見えないだけで、この世界にはレベルのような概念があるのかもしれない。


今カノンには7つのスキルを渡している。せっかくなのでゴブリンから奪ったスキルも渡しておこうかな?


『カノン?さっきゴブリンから奪った詠唱短縮とか火属性って「欲しい!!」まだ最後まで言い切ってないぞ……』


俺が言い終わる前に即答された。とりあえず詠唱短縮、火属性、解体を渡しておくか。






















倒したゴブリンはカノンが角をはぎ取った。昔村に来た冒険者から、冒険者ギルドにゴブリンの角を持っていくと買い取ってもらえると聞いたようだ。


『ん?』


カノンが角をはぎ取っていると、ゴブリンが来た方向から二つの気配が近づいてくるのが分かった。また戦闘とかは勘弁してほしいが、今回の気配はカノンに近そうだ。多分人だろう。


少しすると二人の人影が見えてきた。


流石に人だからと言って無条件に信用するわけにはいかないので鑑定してみよう。


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種族・人間 名称・グラン 

性別・男 職業・剣士・Dランク冒険者 年齢・26歳

HP・431 MP・312

スキル

身体強化Lv5・剣術Lv4・物理耐性Lv5・夜目Lv2

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種族・獣人 名称・イリス

性別・女 職業・弓士・Eランク冒険者 年齢・22歳

HP・499 MP・106

スキル

身体強化Lv1・弓術Lv3・狙撃Lv3

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何というか…グランとかいう男の方は完全に前衛特化のスキル構成に見える。

そしてイリスとかいう女性は獣人だった。確かに遠目にも小さいほうの人影には頭から何かが飛び出しているのが見える。


「おーい!」


そんなことを考えていると、男の声が聞こえた。


「どうする?」


『多分このゴブリンを追ってきたんだとは思うが…少し様子を見るか?』


「分かった」


カノンが小声で話し、俺が念話で答えるというこのやり取りを人に見せるわけにはいかない。ここからはカノンから俺には話しかけることはできなさそうだ。


「嬢ちゃん!無事か!……「え?」」


二人組が近づいてきて、カノンの足元に転がるゴブリンの死体を見て言葉を失った。


カノンの状況を客観的に見てみると、カノンの服装はファンタジーゲームに出てくる村人と言ったらこれだと言いたくなるような格好だ。つまり、どう見ても戦えるようには見えない。


そして武器だ。カノンが持っているのは護身用のナイフのみ。いくら護身用と言っても魔物から護身できるわけがなかった。


うん。確かに言葉を失うよね。


「こ…これは…君が?」


ようやくフリーズから立ち直った男が聞いてきた。


「はい。襲われたので返り討ちです」


カノンは笑顔で言うが、その顔にはまだ返り血が付いており、少女が血まみれの笑顔を見せてくれるというような状況だ。下手なホラー映画よりも怖いかもしれない。実際に、二人の顔は引きつっている。


「な、何はともあれ無事でよかった。さっきのゴブリンなんだが、討伐依頼を受けていたんだが逃がしちまってな……」


「そうそう。女の子がいるのが見えたからやばいって思ったのよね。こっちの不注意でごめんなさいね」


なるほど、確かにカノン以外ならやばかったかもしれないな。


「いえ、私は大丈夫でしたので…」


カノンは苦笑いになっている。実際、そこまで脅威ではなかったのだから仕方ない。


「依頼を受けていたという事なら、この角お譲りしましょうか?」


カノンがそういってはぎ取ったばかりのゴブリンの角を見せる。


しかし二人は首を横に振った。


「いや、戦闘中に横入りされたのならともかく、俺たちが一度逃がしたんだ。それはお嬢ちゃんのもんだ」


「そうそう。気にしなくてもいいのよ。あ、そういえばまだ名乗ってなかったわね。私はイリス。で、こっちのむさ苦しそうなのがグラン。二人で冒険者をやってるの」


「グランだ。よろしくな。てかおい!イリス!誰がむさ苦しいだ!」


グランがイリスに文句を言うが、イリスはどこ吹く風だ。


「私はカノンです。ご丁寧にありがとうございます」


カノンはそういうとお辞儀をした。13歳なのに意外としっかりしている。


「カノンちゃんね。あなたも冒険者なの?もしそうなら依頼はあなたに譲渡するわよ?」


「あ、いえ、私は冒険者じゃありません。でも少し事情があって…町に行って冒険者になりたいと…」


カノンがそういうと二人は顔を見合わせた。カノンの服装はどう見ても冒険者には見えないが、冒険者がいつも戦える格好をしているわけではないはずなので、カノンの実力から冒険者ではないかと思ったのだろう。


「えっと……両親がいなくなってしまったので…生活のために…」


カノンが少しうつむきながら言いうと、グランはおもむろに目をそらした。よく見ると目じりには涙が浮かんでいる。


そしてイリスはというと……


「うぐっ…ひっく………カノンちゃん………大変だったのね………」


号泣していた。


この二人は涙腺が弱いらしい。




























それからしばらくして、泣き止んだ二人と共に町に向かった。カノンが一人で行っても町に入るのには審査があるし、ギルドに行ってもゴブリンを倒したことは信じてもらえないかもしれないので証人として同行すると言ってくれたのだ。


そしてその間に、町やギルドについて色々教えてもらった。


まず、町に入るにはその町の身分証を持っていない場合、通行料として200ゴールドが必要という事だった。ゴールドというのはこの世界のお金の単位で、宿に一泊するのに素泊まりで大体300ゴールドという話から、1ゴールド=10円くらいの価値なのではないだろうか。


そして冒険者にはランクがあり、SSランクを筆頭にしてFランクまでが存在するらしい。さらにその下に見習のGランクが存在するようだ。


因みにそれぞれのランクのイメージはこういう風になるらしい。


SSランク⇒欠番、現在は存在しない。

Sランク⇒伝説・歴史に名前を刻まれるほどの存在。個人での戦闘力は大国に匹敵する。世界に数名だけしか存在しない。

Aランク⇒英雄・国のギルドの事実上の最高戦力。

Bランク⇒小さい国のギルドでは最高戦力になる。

Cランク⇒ベテランやエリートと言われる立場。

Dランク⇒一人前の冒険者。

Eランク⇒初心者ではないがまだまだ一人前ではない。

Fランク⇒初心者


Gランク⇒見習い・孤児などの子供が所属することになる。先ほどのセーフティーネットもこのランクになる。



となるようだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 因みに触手の内側からは、毒針と麻痺針を打ち込んである。 ↑これサーベルボアの時に何でしなかったんだ? 追加で粘液で全身ベトベトにしてたら大分弱体化と拘束できてたと思うけど
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