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江末ふみは馴染めない③

 とりあえず江末の宇宙人診断アプリをやることになった心から部の三人。江末から教えてもらったアプリをダウンロードし、各々のスマホで自分が宇宙人かどうかの診断を始める。

 真剣な表情でスマホに向かう会長と、楽しそうに液晶を指で突っついている綾辻。アプリひとつやるのにも性格が表れるもんだな。


 さて、仕方がないから僕もやるか。

 僕はダウンロードした宇宙人診断のアプリを起動し、液晶の中央部にある「診断開始」を人差し指で押した。

 どれどれ最初の質問はと……。


 Q1 あなたは宇宙人ですか


 一問目からド直球だった。

 大丈夫かこのアプリ。宇宙人かどうかを調べるためにやるのに最初からそれを聞いてどうする。……まあいい。次だ次。


 Q2 酸素の無い環境や極端な高温に耐えることができますか


 できねーわ。テラフォーマーか僕は。


 Q3 人間を含めた地球上の生物を根絶やしにしようと思ったことはありますか


 ……だからテラフォーマーか僕は。


 Q4 全裸のエイリアンやプレデターに性的な興奮を抱いたことはありますか


 いやだからテラフォ…………これは違うか。


「なあ江末。これって何問くらいまで続くんだ?」


 ぶっ飛んだ質問ばかりで頭が痛くなってきた。正直言ってもうやめたい。


「……全部で百問。そんなに時間はかからない」


 十分長いわ。これがあと九十六問も続くのか。苦行でしかない。

 ふと隣を見回すと会長は真剣な表情のまま、綾辻は楽しそうな表情のままアプリを続けていた。……この人たちはなんでそんなに集中してできるの?

 一人だけやらないわけにもいかないし、適当に答えてさっさと終わらせるか。



 そんなこんなで十分後。


 綾辻と会長は僕より少し早くアプリが終わり、早速診断結果が出たようだ。どれくらい宇宙人なのかというパーセンテージとそれに伴う総評が表示される。


「宇宙人度は三十五パーセントかぁ。ちぇー」


 綾辻は不満そうな顔でスマホを見つめている。ねえ綾辻さん。悔しがっているってことは宇宙人になりたかったの?


「あ、でも総評には今後の生活次第ではもっと上を目指せるって書いてある」


 なんて適当な総評だろうか。このアプリ曰く、宇宙人かどうかは生まれつきではなく日頃の行いで変わるらしい。


「私は……二パーセントね。残念ながらほぼ人間ですって書いてあるわ」


 会長は喜べばいいのかがっかりすればいいのかわからないようで、なんとも言えない表情をしている。

 会長のパーセントを聞いた綾辻は、


「わぁーい♪私の勝ち!」


 と何故かご満悦の様子。だからそれでいいのか綾辻。パーセントが高い方が宇宙人に近いということだぞ。


「鵜久森くんは?」


「え、僕は終わったばかりで……あ、今出ます」


 携帯の画面に「あなたの宇宙人度は……」と表示され、ドラムロールが流れる。

 そして「ぱんぱかぱーん」という効果音と共に、画面いっぱいに僕の宇宙人度が出てきた。


 99%


 ……何故だ。


 ☆総評☆


 すごいすごーい!ほぼ間違いなく宇宙人だよ!もしかしたら体の何処かに触覚やトゲトゲの突起物があったりするんじゃないかなぁ?地球人にマイナスの感情を抱くのもほどほどにね☆


 ……解せぬ。


「ええっ!? ハルくんって宇宙人だったの!?」


 僕のスマホの画面を覗き込んだ綾辻は、驚いた顔で僕を見た。


「僕も今はじめて知った」


「……すごい。我でも七十五パーセントだったのに」


 綾辻と同様に驚愕の眼差しを僕に向ける自称宇宙人の江末ふみ。江末からしても九十九パーセントはかなりの得点らしい。

 ていうか江末。お前七十五パーなのかよ。七十五パーで自分を宇宙人だと思い込んじゃうのはジャッジが弛くないか?


「……鵜久森春は宇宙人。我の同志、いや得点から考えると先輩……」


 江末は独り言のように呟いた。

 いや待て。違うから。こんなアプリで勝手に僕を宇宙人仲間に加えるな。


「先輩? ハルくんも一年生だから同級生だよ」


 江末の発言に対して綾辻は相変わらず噛み合わない指摘をした。


「……違う。地球外生命体の我々にとって学年などという概念は関係ない。あくまでも宇宙人歴の話」


 早速「我々」って言うな。しかも僕の方が宇宙人歴が長い設定なのかよ。


「なるほど。江末だけではなく鵜久森も宇宙人だったのか」


 腕を組み、ヘラヘラしながら清沢先生が言った。ていうかあんたいたのかよ。仕事をしろ仕事を。


「いや、ちょっ……待ってください。こんな訳の分からないアプリで宇宙人にされても」


「……アプリ云々が無くても我はこの部室に入った時から鵜久森春が宇宙人であると気が付いていた」


「嘘つけええええええお前!後出しだろそんなもん!」


「……後出しではない。ちゃんとテレパシーで交信を試みていた。どういうわけか鵜久森春からの応答は無かった」


「そりゃねえわ!僕は宇宙人じゃないからな!」


「ハルくん。もういーよどっちでも」


「そうね。こんなことでムキになっても仕方がないわ」


 あれ?二人とももうなんか冷めてるし。何か僕ばっかり大きな声を出して馬鹿みたいじゃないか。


「ふみちゃん。安心して? 心から部は地球人でもナメック星人でも誰の悩みでも解決するよ」


 部長は地球外生命体にも寛大だった。

 ナメック星人の悩みって「最近魔⚫光殺法の出が悪くてぇ……」とかそんな感じかしら。解決できねえわそんなの。

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